今、何故、NHK大河ドラマ「龍馬伝」なのか!その七(尊王攘夷)
尊王論は江戸初期から始まり、幕末には攘夷運動と合体して尊王攘夷運動となり、討幕運動に発展して、明治維新変革を成功させた。日本の近代民族国家を創設することを目的とした維新変革は、富国強兵と西欧文明の近代技術を輸入消化することを手段としながら、変革のイデオロギーは尊王攘夷であった。
後進地域であるアジアの一国としての日本が、西欧先進国との国際的競争に打ち勝つためには、日本の主体性の主張が先決問題であった。尊王攘夷は日本の民族主義の主張であり、西欧近代国家のナショナリズムと性格は同じである。ナショナリズムは合理的・理性的であるよりは、非合理的で感情的である。
「尊王」 戦国時代末期から江戸時代初期にかけて日本に渡来したイスパニア・ポルトガル・オランダ・イギリスなどの西欧諸国は、重商主義国としてアジアの植民地化を企て、キリシタン布教により宗教的進出をも目的としていた。1637~1638年(寛永14~15)の島原の乱と1633~1639年(寛永10~16)の数次の鎖国令は、近世の日本が西欧の脅威に民族としては初めての危機を痛感した象徴的史実である。
1657年(明暦3)に始まる徳川光圀の「大日本史」編纂は、江戸時代初期の国際的危機に、日本の国体の尊厳を古代的・大和神話的権威の象徴である天皇尊崇を歴史研究によって確かめるための事業であった。江戸小石川の彰考館で「大日本史」編纂に従事した館員は、安積澹泊・朱舜水ら朱子学派が15名、栗山潜鋒ら敬義学派が3名、国学神道の学者が4名、その他となっている。
朱子学の大義名分論、敬義派儒者山崎闇斎の垂加神道、その他国学や神道のような既成思想の影響が彰考館でも大きかったが、「大日本史」は日本の歴史事実を史料的に実証して、天皇を頂点とする家政国家や君臣の階級節度の史実を明らかにすることを目的とした。
前期水戸学の尊王は、国民の自覚を高揚させるが、対外的な攘夷思想ではなく鎖国と同様な性格である。1758年(宝暦8)の宝暦事件は、竹内式部が京都の公卿に垂加神道の尊王思想を宣伝して処罰されたが、これも朝幕関係にかかわる国内問題に過ぎなかった。徳川斉昭が彰考館で、豊田天功・藤田東湖・会沢正志斎らと「大日本史」編纂を続けた1829~1860年(文政9~万延1)の頃は、ロシア・イギリス・アメリカなどが日本の近海に出没し、1853年(嘉永6)のペリー来航以来、日本の存亡にかかわる外圧の時代であった。
会沢正志斎が1825年(安政8)に世に問うた「新論」は、激越な尊王攘夷思想の宣伝文書で、幕末尊攘運動の志士たちの指針となった。
その八に続く 以上
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