「平成の船中八策」を実現する市民の会、その23「欧州連合」(政策分野)
「政策分野」
リスボン条約では、欧州連合の3つの「柱」構造は廃止されることになっている。欧州連合の2つの大きな「柱」に例えられる政策分野、即ち共通外交・安全保障政策と警察・刑事司法協力に関する欧州連合の権能は拡張されることになる。
ところがイギリスは条約の是非を問う国民投票の実施を回避するためにこれらの分野について、欧州連合の超国家的権限の拡大に反対していた。2007年6月の合意によって、イギリスは内務・警察分野での欧州連合の協力体制への参加義務を免れることになった。外交政策や防衛に関して、各国政府には拒否権が残されたが、一方で欧州憲法条約からはほかの分野の変更点が継承されている。
リスボン条約において、欧州連合の政策分野は次の3つに大別される。
「排他的権限ー当該分野では、欧州連合は排他的に指令を策定する権限を持つ。また欧州連合の法令で授権されている場合、国際的な合意についての最終決定を下す排他的な権限を持つ。」
・関税同盟・域内市場の機能に必要な競争ルールの設定・ユーロ導入加盟国の金融政策・共通漁業政策の下での海洋生物資源の保護・共通通商政策
「共有権限ー当該分野では、加盟国と欧州連合との間で権限を共有する。」
・域内市場・リスボン条約で定義されている社会政策・経済、社会、領域の結合・海洋生物資源の保護を除く農業、漁業・消費者保護・運輸・トランス、ヨーロピアン、ネットワーク・エネルギー・自由、治安、司法分野・リスボン条約で定義される公衆衛生
「支持権限ー当該分野では、欧州連合は加盟国の行動への支持、調整、補完といった行動を実行することが出来る。」
・人間の健康の保護、改善・工業・文化・観光・教育、青少年、スポーツ、職業訓練・市民保護・政府協力
加盟国はこれらの政策分野の一部について適用除外を受けることが出来る。たとえばイギリスは自由、治安、司法分野の法令について例外規定が設定されている。さらにイギリスの働きかけとチェコの支持により、リスボン条約では警察・刑事法分野について欧州連合の政策から対象外とされる規定が設けられている。
2007年6月の欧州理事会で策定された条約草案の枠組みの規定において、加盟国と欧州連合との間での権限の区分は、欧州連合から加盟国へ権限が戻されうる双方向の経路を持つ。
その24に続く 以上
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