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2010年6月に作成された記事

2010年6月30日 (水)

「平成の船中八策」を実現する市民の会、その53[欧州連合・共通通貨ユーロ」(概要)

 今度は「欧州連合・共通通貨ユーロ」を勉強したいと思います。

ユーロとは、欧州連合における経済通貨同盟で用いられている通貨ヨーロッパでは22の国で使用されている。この22か国のうち16か国が欧州連合加盟国である。

ユーロはアメリカ合衆国ドルと並んで世界でもっとも重要な通貨の地位を有しており、第2の基軸通貨と呼ばれることも多い。

1999年1月1日に決済通貨として導入されたユーロは、3年後の2002年1月1日に現金の流通が開始される。これによってユーロは、導入国の従来の通貨に替わって法定通貨となった。ユーロ硬貨ユーロ圏16か国のほかに、合意によって認められている3か国がそれぞれ鋳造しており、裏面は各国で独自のデザインを採用している。ユーロ紙幣のデザインは統一されているが、紙幣に印刷されている番号の先頭の文字によって、その紙幣の印刷された国が判別されるようになっている。

ユーロ
紙幣 硬貨
紙幣 硬貨
ISO 4217コードEUR (num. 978)
公式使用国・地域
非公式使用国・地域
インフレ率-0.1%
情報源 欧州中央銀行
指数 調整消費者物価指数
ペッグしている通貨
通貨記号
通称欧州単一通貨
硬貨
広く流通 1, 2, 5, 10, 20, 50セント、1ユーロ、2ユーロ
流通は稀 1セント、2セント(フィンランドおよびオランダ)
紙幣
広く流通 5, 10, 20, 50, 100ユーロ
流通は稀 200ユーロ、500ユーロ
中央銀行

欧州中央銀行

ウェブサイト

www.ecb.europa.eu 

サイト検索「ユーロ紙幣」=http://homepage2.nifty.com/arumukos/ththrs/b-c-euro/index.html

   その54に続く                        以上

2010年6月29日 (火)

「平成の船中八策」を実現する市民の会、その52[欧州連合3つの柱(EU)」(3本柱構造の由来・柱構造の廃止・他)

「3本柱構造の由来」

欧州連合がこのような柱構造がなされたその経緯は、マーストリヒト条約締結までの事前交渉にある。つまり、共同体に外交、安全保障・防衛、難民・移民、犯罪対策・司法協力といった分野に関与できる権限を付与することが求められていたことにある。

ところが一部の加盟国から、このような権限を共同体に付与することは各国の国家主権にかかわることであり、これらの分野は政府間の協議で扱われるべきで、共同体の秩序の範囲内とするのは国家主権を脅かしかねないとして、反対の声が上がった。当時、これらの分野を共同体で扱う場合には、各国間において、主に欧州政治協力の枠組みにおいて協議されていた。

結果、先に挙げた分野は欧州共同体が担うものとはされなかったが、これらは欧州共同体に2つの「柱」を追加するという形で組み込まれた。新たに加わった柱の1本目(共通外交・安全保障政策)は外交政策、安全保障・防衛問題を担い、他方新しい柱の2本目(司法・内務協力)で残りの分野を扱うこととなった。

アムステルダム条約やニース条約による近年の修正を受けて、新たに加わった2本の柱は政府間主義的なものから超国家主義的なものに変わりつつある。とくに重要なものが、アムステルダム条約の結果、難民・移民問題と民事紛争に関する司法協力が第1の柱に移されつつある状況である。このため、3つ目の柱は名称を警察・刑事司法協力と改められた。なお、「司法・内務協力」という用語はのちの第3の柱と、第3の柱から移された分野の両方を示すさいに、その後も使われている。

欧州連合の機構の変遷
署名
発効
条約
1948
1948
ブリュッセル
1951
1952
パリ
1954
1955
パリ協定
1957
1958
ローマ
1965
1967
統合
1986
1987
単一議定書
1992
1993
マーストリヒト
1997
1999
アムステルダム
2001
2003
ニース
2007
2009
リスボン
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欧州諸共同体 3つの柱構造
欧州原子力共同体
欧州石炭鉄鋼共同体 2002年に条約失効・共同体消滅 欧州連合
欧州経済共同体 欧州共同体
司法・内務協力
警察・刑事司法協力
欧州政治協力 共通外交・安全保障政策
組織未設立 西欧同盟
2010年に条約の効力停止

「柱構造の廃止」

欧州憲法条約では3つの柱の統合が企図されていたが、フランスオランダでの同条約の批准が国民投票により拒否された。しかし欧州連合の機構改革が求められる中で3つの柱構造の一本化は欠かせないものであり、2009年12月に発効したリスボン条約では3本柱構造を廃止した。

    その53に続く                以上           

            

2010年6月28日 (月)

「平成の船中八策」を実現する市民の会、その51[欧州連合3つの柱(EU)」(3つの分野)

 今度は「欧州連合3つの柱」を勉強したいと思います。

「3つの柱 (EU)」

州連合の3つの柱(3つのはしら)とは、欧州連合の創設を定めたマーストリヒト条約において定義された、主要な政策分野を3つに分類したうえで、それぞれを担う欧州連合の構造を柱に例えた枠組み。リスボン条約により廃止された。

「3つの分野」

  1. 第1の柱「欧州共同体」- 経済、社会、環境政策分野
  2. 第2の柱「共通外交・安全保障政策」- 外交、軍事分野
  3. 第3の柱「警察・刑事司法協力」- 犯罪対策協力。かつては「司法・内務協力」とされていた。
欧州連合
第1の柱第2の柱第3の柱
欧州共同体共通外交・安全保障政策警察・刑事司法協力

外交政策

安全保障政策

いずれの柱の分野においても、超国家主義政府間主義の原則の間でさまざまな均衡が保たれている。

超国家主義はとくに第1の柱に強く表れている。第1の柱に含まれる使命は、3つの欧州の共同体欧州石炭鉄鋼共同体欧州経済共同体欧州原子力共同体。なおこれら3共同体の各機関は1960年代ブリュッセル条約で既に統合されている。また欧州石炭鉄鋼共同体はパリ条約の失効により2002年に消滅した)のそれとほぼ一致している。その後、マーストリヒト条約において欧州経済共同体の名称から「経済」が取り除かれ、単に欧州共同体となった。またアムステルダム条約においては、さらに第3の柱の分野が部分的に第1の柱に移された。

第2、第3の柱の分野については、欧州議会欧州委員会欧州司法裁判所に与えられた権限は、欧州連合理事会のそれと比べると、まったくというほどではないが大幅に限定されたものである。第1の柱で図られているバランスは、欧州共同体によってなされていることから、しばしば「共同体の秩序 (community method)」と表現されることがある。

         その52に続く                    以上   

2010年6月27日 (日)

「平成の船中八策」を実現する市民の会、その50[欧州連合の法律」(社会憲章・競争法・他)

「社会憲章」

欧州連合における社会憲章は、ローマ条約第141条の下での男女の平等な待遇および労働時間に関する指令の下での労働時間の制限に触れているマーストリヒト条約の一部で言及されている。最近の差別禁止に関する立法に指令2006/54/ECがあり、これは雇用や職業について男女の平等な機会と待遇の原則を実現するものである。

「競争法」

ローマ条約の目的は共通市場の設立、また単一欧州議定書は域内市場の設立であることから、加盟国政府のこれらに対する取り組みを企業が市場を破壊することによって阻害されることがないようにすることは重要である。このため諸条約には、自由競争の促進が確保され、市場を共有し価格を固定化する企業連合や独占企業の出現を阻止するための対策が用意されている。欧州連合の競争法はアメリカの反トラスト法に極めて類似したものである。

「談合と企業連合」

ローマ条約第81条1項では次の禁止条項が存在する。

(日本語仮訳)事業間の合意のすべて、事業連合体の決定および協定された取り扱いであって、加盟国間における貿易に影響を与え、それらの目的または効果として共同市場内における競争を阻害し、制限しまたは不公平な取扱い

ここでいう合意、決定、協定はいわゆる「談合」であり、ローマ条約第81条第2項にしたがって無効であるが、同3項には市場の利益につながる談合に関する例外がある。

(日本語仮訳)ただし、第1項の規定は、次の場合に適用されない旨を宣言することができる。

- 事業間の合意または合意の部類
- 事業連合体による決定または決定の部類
- 協定された取扱いまたは取り扱いの部類

であって、商品の生産もしくは分配を改善し、または技術革新もしくは経済発展を奨励し、同時に消費者に結果としての利益の分配に公平に与らせるもので、かつ、次に該当しないもの

(a) これらの目的に不可欠ではない制限を関係事業に課すもの;
(b) 問題の生産の本質的部分に関する競争の排除可能性を与えるもの。

ここで条文に出る "undertaking" (英語)は原則として事業をさすが、また同時に取引を行う事業体のことも示している。

「優越性と独占」

ローマ条約第82条では市場において優越性を持つ巨大企業による不正とされる禁止行為について定めている。

(日本語仮訳)1または複数の事業が共同市場またはその本質的部分において優越的地位を濫用することは、加盟国間の貿易に適用する限りにおいて、共同市場と矛盾するものとして禁止する。

同条では不正と判断される行為の分類を例示している。

(日本語仮訳)そのような濫用は、とくに次の場合に推定する:

(a) 直接または間接に不公平な売買価格そのほか不公平な取引条件を課す場合;
(b) 消費者の不利に生産、市場または技術革新を制限する場合;
(c) 他の取引当事者と同じ事業に異なった条件を適用し、それによって競争上不利益にする場合;
(d) その性質または商慣習によると、契約の内容と関係のない付随的義務を相手方に受け入れさせるために契約を結ぶ場合。

「合併と取得」

ローマ条約第82条により、欧州委員会は優越的地位や市場における圧力を悪用するような大企業の行為を制限することができるだけではなく、そもそも不正が行われうる市場構造において、企業に地位を与えることもできる。規則139/2004では、「共同体次元」での合併に対処し、手続きを経た上で、欧州委員会の承認を受けた企業間で「統合」(合併、取得、支配)を行うことができる。

「公共部門の制限」

公共部門産業、つまり公共サービスを事業とする産業は競争法に関して多くの点で民間企業と同じような扱いを受ける。EC 法ではローマ条約第86条と第87条に公共部門のサービスの実施を保障する例外条項がある。鉄道や通信、電力、ガス、水道、報道といった多くの産業ではそれらの特性に合わせて独立した制限が定められている。このような政府系機関は、民間企業が公共サービスに関して社会福祉にかなうよう事業を行うことを義務としている

      その51に続く                以上

2010年6月26日 (土)

「平成の船中八策」を実現する市民の会、その49[欧州連合の法律」(基本権・4つの自由・商品の移動・労働者の移動・資本の移動・開業の自由)

「基本権」

詳細は、欧州連合基本権憲章」および「人権と基本的自由の保護のための条約」をttp://ja.wikipedia.org/で検索して下さい。

「4つの自由」

欧州連合の経済・社会政策の核となるものは4つの自由という考え方にある。すなわち、商品・労働者・資本の移動の自由と開業の自由である。

「商品の移動」

ローマ条約では第3部第1編において商品の移動に関する条項が規定されている。2つの世界大戦間の時期、また世界恐慌にかけて、世界各国の政府は保護貿易政策を推し進めていた。輸入品、時には輸出品にかけられる関税の急激な上昇により、各地で貿易高や経済成長が失速した。

アダム・スミスデイヴィッド・リカード以降の経済学者は、長期の低迷と国際貿易に関する障壁や費用を排除することによって諸国民の富は強化される、と唱えてきた。このような障壁をすべて取り除くということがローマ条約の条文につながっている。同条約第28条には次のように規定されている。

(日本語仮訳)輸入に関する量的規制及び同等の効果を有するすべての方策は、加盟国間において禁止する。

同じく第29条には輸出に関して同様の規定がされている。注目するべきは規制の禁止は加盟国間のみを対象にしていることである。機関の主要な業務のひとつに、アメリカ中国と言った第3国との貿易政策の管理がある。

例えば、議論はあるが共通農業政策では第34条第1項の定めに基づいて、欧州の共通機関に「国内市場機関の強制的協調」の権限が与えられている。次に第30条に着目すると、商品の自由な移動に禁止に関する例外規定がなされている。

(日本語仮訳)第28条、第29条の規定は、良俗、公の秩序または公衆の安全;人、動物または植物の健康および生命の保護;芸術的、歴史的及び考古学的価値を有する国民財産の保護;もしくは興行場及び商業上の財産の保護に基づく正当事由による輸出入または商品の移動に関する禁止または制限を妨げない。ただし、禁止または規制措置は恣意的な差別のための手段であったり、加盟国間の貿易に関する偽装的な制限であってはならない。

このため加盟国政府は良俗や公の秩序、公衆の安全、健康、文化、あるいは工業及び商業の財産が、障壁を完全に排除した場合に脅威にさらされるのであれば、一定程度の障壁を残すことを正当化することができる。近年の例ではイギリスでの狂牛病発生のさいに、フランスがイギリス産牛肉の輸入停止を実施したものがある。

「労働者の移動」 詳細は「労働者の移動の自由」をhttp://ja.wikipedia.org/

で検索して下さい。この他に資本の移動」開業の自由」がある。

      その50に続く                      以上

2010年6月25日 (金)

「平成の船中八策」を実現する市民の会、その48[欧州連合の法律」(上記以外の機関・EU法の優位性・直接的効力)

上記以外の機関」

欧州中央銀行本店がおかれるユーロ・タワー(フランクフルト)

欧州中央銀行は16か国のユーロ圏金融政策を司っている。欧州中央銀行は1998年に設立され、本店をドイツフランクフルトに置いている。欧州会計監査院は欧州連合の会計を監視する機関である。このほか地域委員会経済社会評議会のような諮問機関がある。

これらのほかに欧州理事会があるが、これは基本条約に定められた欧州連合の機関ではない。欧州理事会は各国の政府首脳と欧州委員会委員長で構成され、年4回の会合を開催する。議長はそのときの欧州連合理事会議長国の首脳が務める。

「EU 法の優位性」

欧州司法裁判所においては加盟国の国内法、時には憲法でさえも EU 法の方が優越するという判決が下されている。EU 法と加盟国の法令が相反する状況では EU 法が優先され、国内法は適用されないことになっている。この原理は EU 法の優先と考えられているが、これは欧州司法裁判所におけるイタリアの市民が電力会社を訴えた裁判で採用されたものである。

原告のフラミニオ・コスタはエネルの株主であり、同社の国営化に反対していた。その抗議を表すために電気代の支払いを拒否し、そのうえで国営化は国家が市場を阻害するとしてローマ条約第86条、第87条に違反すると訴えていた。イタリア政府はこの件について、国内法で対処できるとしてたいした問題にならないと考えていた。欧州司法裁判所は、市場原理の阻害に関する条約に違反するとしてイタリア政府を訴えることができるのは欧州委員会だけであるとして、イタリア政府を支持した。

そのため一私人には欧州共同体の条約について争うことはできないとして、コスタに訴訟を提起する余地はないとした。ところがコスタが正当な手続きで加盟国政府が EC 法に反するという訴えを提起することについては、法理として EC 法の優越が当てはまるため、加盟国内の裁判所で判断される前に欧州司法裁判所はイタリア政府と反対の見解を示した。つまり、国内法が EC 法に反しているにもかかわらず、そのことを訴えることができないというのならば、EC 法は有効なものではないと判示した。

(日本語仮訳)EC 法としてその性質を失うことなく、またその法的根拠に疑念がなければ、相反するような法律が国内法に存在していても、条約から派生した法律、独立した法源はその特殊性のために無効になることはないという考え方に従うものである。

しかし、EC 法が加盟国の国内法に優先するものとして各国に受け入れられている一方で、法的紛争が生じるとき、EU 法が国内法を無効にする根拠について、欧州連合の諸機関が示す解釈に関しては、加盟国すべてが共有しているものではない。

多くの加盟国の最高裁判所では、EC 法が加盟国の憲法の基本的原則、つまり欧州連合の諸機関ではなく、加盟国(正確には加盟国の裁判所)の最終的な判断を尊重するものである限りは、EC 法は優位性を持つという判断を示している。

これは加盟国が「条約の主体」であることを反映したものであり、EU 法の有効性の根拠となっている。このほかの事例では、憲法に EC 法の優位性を記載している国がある。例えばアイルランド憲法では「欧州連合およびその諸共同体の一員であるための義務として、国家が施行し、採択した法令はこの憲法の条文により無効となることはない」という条項が存在する。

「直接的効力」

EU 法は加盟国の法体系と同程度に広範囲の分野にわたる(マーストリヒト条約第3条)。条約、規則の規定はともに水平的に「直接的効力」を有するとされている。これはすなわち、私人たる市民は相互にこれらの法令によって与えられる権利を行使し、また義務を負うことを意味する。

例を挙げると、女性客室乗務員は雇用主である航空会社を性差別で訴訟を提起することができる(ローマ条約第141条)。このほか欧州連合の法令の形態として「指令」があるが、これは同様に直接的効力を持つが、垂直的なものである。私人は別の私人を、指令に基づいて訴訟を提起することはできない。指令は加盟国に対して発せられるものである

加盟国は指令を国内で執行するさいには、ある程度の翻訳または置き換えの方法が認められており、たいていは国内の立法手続きで法令化される。国内で法令化されてはじめて、市民は指令を法律として扱うことができるが、訴訟に関しては、政府が指令を正しく執行することを怠っていることについてのみを「垂直的に」提起しうる。例えば製造物責任に関する指令があり、これは消費者を害する危険で欠陥のある製品について、企業に責任を負わせることを定めたものである。

    その49に続く                     以上

2010年6月24日 (木)

「平成の船中八策」を実現する市民の会、その47[欧州連合の法律」(欧州議会・各機関の法令・立法手続き・欧州司法裁判所)

「欧州議会」

欧州議会は加盟国の市民が直接選出する議員で構成される欧州連合唯一の機関である。5年ごとに選挙が欧州連合加盟国全体で数日にわたって実施され、立法を担当する議員を選出する。議員は出身国ではなく、それぞれの所属する政党に分かれており、議長は議員の中から互選で選ばれる。

「各機関の法令」

欧州議会、欧州委員会、欧州連合理事会は欧州連合の枠組み内における事案についての立法権が基本条約により授権されている。この立法権に基づいて第2次法(基本条約に対する2次的な法令)や規則指令決定勧告意見などを定めることができる。第2次法は機構間の協定も含まれており、それぞれの権限やとくに予算に関する問題を明確にしている。欧州議会、欧州委員会、欧州連合理事会はこのような取り決めを結ぶことができる。

それぞれの立法機関がどのような法規を定めるかについては3つの柱に対応して異なる。第1の柱に関する事案では、第2次法の制定については法令を遵守させる対象や執行の形態によって決められる。規則や指令は、その対象が全体に及ぶのに対して、決定は特定の対象(個人、企業、加盟国)に限定される。

規則は直接的な効果を持つ。すなわち、規則は国内法の一部として効力を持つ。これに対して指令はその効力を持つために国内法の制定が必要とされるものである。加盟国が指令を国内法の一部として執行することを怠ったり拒んだりしたときは、欧州司法裁判所に提訴されることになる。

指令と規則には最大限の調和 (Maximum harmonisation) と最小限の調和 (Minimum harmonisation) の条項が混在しており、自国または他国の法令に効果を発する。すべての EU 法は特定の条約の条項に基づいておらねばならず、その条約の条文が第2次法の法源とされる。欧州憲法条約が発効していれば EU 法を法典化し、第2次法令を EU 法、連合枠組み法、決定、規則、勧告、意見の6つの類型に分けることになっていた。

「立法手続き」

欧州連合の立法手続きの主なものとしては次の3つのものがあり、それらは欧州議会が欧州連合理事会の立法過程にどのように関与するかで異なる。

「欧州司法裁判所」

欧州司法裁判所がおかれるビル(ルクセンブルク

欧州司法裁判所と第一審裁判所は欧州連合の基本条約と第2次法の内容を解釈してそれぞれの法の意味を示す機関であり、ローマ条約第220条によると、「この条約の解釈・適用において法が遵守されていることを確保する」ことが求められている。裁判所における法理でもって法は実効性を有するものとなり、欧州連合の諸機関や加盟国はそれらの法の下に支配されることとなる。

マーストリヒト条約が発効されてから、欧州司法裁判所は法に違反する加盟国に対して罰金を科すことができるようになった(ローマ条約第228条)。同裁判所は欧州連合において法体系を定着させることに大きく寄与しており、法の解釈・適用についての同裁判所の姿勢はよく目的論的であるといわれる。

       その48に続く                     以上

2010年6月23日 (水)

「平成の船中八策」を実現する市民の会、その46[欧州連合の法律」(条約・機構・欧州委員会・欧州連合理事会)

「条約」

EU 法において主要な法、条約は欧州連合の設立に関する諸条約である。これらの条約は欧州連合加盟国政府の総意に基づいて作成されたものであり、欧州連合の基本政策や機構、立法手続き、連合の権限を定めている。このような条約には以下のものがある。

これらの条約にはさまざまな付帯文書や議定書が付属されており、同様に主要な法源となっている。2004年10月、加盟国の国家元首や首脳は欧州憲法条約に署名したが、加盟国の一部での批准反対の動きを受けて発効を断念、2007年6月には欧州憲法条約に代わる基本条約として、リスボン条約の作成で各国首脳が合意した。

「機構」   

欧州委員会本部がおかれるベルレモンブリュッセル
欧州連合理事会本部がおかれるユストゥス・リプシウス・ビル(ブリュッセル)
欧州議会の本会議場があるルイーズ・ワイス・ビル(ストラスブール)

「欧州委員会」

欧州委員会は行政を執行する機関である。2007年1月以降、欧州委員会の委員は加盟27か国から1人ずつが務めており、すべての法案の作成や、EU 法の調整を独占的に行うこととされている。また欧州連合の行政機関や日常業務を統括する。欧州委員会委員長は欧州理事会が指名し、欧州議会の同意を受けて任命される。

「欧州連合理事会」

欧州連合理事会(閣僚理事会、あるいは単に理事会ともいう)は欧州議会とともに欧州連合の立法を担う機関である。理事会を構成するのは各国の閣僚であり、理事会はそれぞれの政策分野ごとに分かれて EU 法の審議や制定を担当する。例えば農業に関する法律は各国の農相で構成される理事会で議論されることになる。

欧州連合理事会は欧州理事会や、欧州連合の機関ではない欧州評議会と混同されがちであるが、同一のものではない。議長の任期は6か月で加盟国の輪番制をとっているが、継続性の確保のために当期の議長は前任と後任の議長と連携することになっている。

サイト検索「欧州評議会」=http://www.clair.or.jp/j/forum/forum/tyosa/121/INDEX.HTM

           その47に続く                  以上

2010年6月22日 (火)

「平成の船中八策」を実現する市民の会、その45[欧州連合の法律」(概要・発達の過程・刑事法)

今回より「欧州連合の法律」を勉強したいと思います。
欧州連合
欧州連合の旗
欧州連合の政治

欧州連合の法律(おうしゅうれんごうのほうりつ)は、欧州連合加盟国内の法律と平行して執行される独自の法体系である。EU 法ともいう。EU 法は加盟国の法体系に直接作用し、とくに経済政策や社会政策においては国内法に優先する。

「概要」

欧州連合という連合体は連邦政府でも政府間機構でもない。欧州連合とは、加盟国間相互の社会・経済上の利益を目的として、国際法における新たな法秩序を構成する連合体である。EU 法は1951年以降、次第に発展を遂げてきたものである。同年パリ条約が調印され、6か国からなる欧州石炭鉄鋼共同体が設立、その5年後には同じ6か国により欧州経済共同体が発足した。2007年においては27加盟国のおよそ5億人の欧州連合の市民が EU 法の下に支配されており、世界を見てももっとも包括的な近代法体系の1つとなっている。

EU 法には3つの柱構造と呼ばれるものがある。第1の柱は、最も古くからあり、また最も重要なもので、経済や社会に関する権利や、欧州連合の諸機関の設立の根拠について定められている。この柱は欧州共同体条約(ローマ条約1957年調印)で設置されたものであり、その後加盟国間で幾度かの修正が加えられている。2つ目と3つ目の柱は欧州連合条約(マーストリヒト条約1992年調印)で導入されたものである。2つ目の柱は欧州連合の共通外交・安全保障政策に関するものであり、3つ目の柱は警察・刑事司法協力(以前は司法・内務協力とされていた)に関するものである。したがって正確に言うと、「EC 法」は第1の柱に、「EU 法」は3つすべての柱に関する法をさすものである。

「発達の過程」

当初、欧州共同体の機構間の主要な相互作用の方法は諮問手続きであった。諮問手続きを要する案件については、緊急を要する場合を除いて閣僚理事会(欧州連合理事会)は欧州議会が意見を採択するまで待たなければならない。かつては案件を遅滞させることが欧州議会に唯一与えられていた武器であった。

欧州連合理事会と欧州委員会との3者の関係において、欧州議会の占める役割は次第に大きくなっていった。この過程においてとくに大きな出来事は次のものである。

EC 法を確実に発達させたのは欧州司法裁判所によるところが大きい。1963年のヴァン・ヘント・ロース社事件において、欧州司法裁判所はローマ条約に含まれる加盟国の意図を鑑みて、欧州共同体について「たとえ限定的な分野の利益であっても、この利益のために加盟国の主権は限定されるものであり、欧州共同体はその利益を追求する国際法の新たな法秩序を形成するものである」と判示している。

EC 法と EU 法の違いは欧州連合の基本条約の構造によるものである。欧州共同体は欧州連合の3つの柱の1つであり、単一市場の社会・経済分野の基礎をなすものである。第2の柱と第3の柱は共通安全保障・防衛政策と域内の治安に関するもので、マーストリヒト条約によって導入されが、第2と第3の柱に関する政策決定は現在のところ多数決によるものではない。マーストリヒト条約では第3の柱として司法・内務協力を導入したが、これはのちにアムステルダム条約によって不法移民や査証、難民、民事司法協力に関する政策が第1の柱である欧州共同体分野のものとして移管されており、現在では警察・刑事司法協力が第3の柱となっている。したがって司法・内務協力は欧州共同体と警察・刑事司法協力の2つの柱にまたがる分野となっている。

補完性原理比例性原理授権原理予防原理といった欧州連合の基本原理は EU 法の発達においてとくに注目されるものである。ケンブリッジ大学のキャサリン・バーナードなどによると、欧州連合の域内市場の内部における商品サービス資本労働力という4つの自由が欧州連合の法律を形成するとされている。

「刑事法」

2006年コートジボワールでヨーロッパの船舶から有毒廃棄物が流出した事件を受けて、欧州委員会は有害廃棄物対策に関する法整備について検討を始めた。環境問題担当委員のスタブロス・ディマスは「このような高度に有害な廃棄物の流出事件は欧州連合から2度と起こしてはならない」と表明した。スペインのように有害廃棄物の輸送に対する罪刑に関する規定を持たない国があることを受けて、司法・自由・安全担当委員のフランコ・フラッティーニはディマスとともに「環境に対する罪」の創設を提唱した。新たな刑罰の創設に関する欧州委員会の権限については2005年に欧州司法裁判所において議論され、同裁判所はこれを認める判断を下している。このことは欧州委員会という超国家的な機関が刑事法を制定しうるという例となった。従来は超国家機関が刑事法令を定めるといったことはなかったが、基本条約に含まれる権限であると判示されたものである。ほかにこのような権限が認められた例には知的財産権に関する指令があったのみである。欧州議会ではこのような刑事法令の制定は欧州連合の権限を逸脱しているとして撤回を求める動議があったが、多数決により否決された。

サイト検索「4つの自由」=http://www.asahi.com/sympo/kukan-keizai/05.html

 その46に続く     以上

2010年6月21日 (月)

「平成の船中八策」を実現する市民の会、その44[欧州連合の政治」(外交・問題点)

「外交」

外務・安全保障政策上級代表キャサリン・アシュトン

欧州連合の外交は共通外交・安全保障政策を基調としており、また欧州委員会による経済・通商協議を通じて実行される。欧州連合の外交の最高責任者は外務・安全保障政策上級代表である。

「問題点」

2007年から2013年の欧州連合の財政見通しが2005年に定められ、加盟国は欧州連合の予算の規模を域内総生産の 1.045% に固定することで合意した。イギリスの首相トニー・ブレアは、1984年にマーガレット・サッチャーがとり決めた対英払戻措置の見直しに同意した。フランス大統領ジャック・シラクは予算規模の増大によって、欧州連合の予算から農業や研究・技術開発といった共通の政策に資金を出すことができるものだとした。

このときフランスが求めていた、外食産業における付加価値税の減税要求は却下されている。財政に関する協議では、対英払戻措置、フランスが受けている共通農業政策からの利益、ドイツやオランダの欧州連合の予算への負担、欧州地域開発基金改革や、欧州議会がブリュッセルストラスブールの2か所に拠点を置き続けていることへの是非が争点となった。

欧州のための憲法を制定する条約は欧州連合の憲法を制定することが企図された条約であった。ところがこの条約はフランスとオランダで実施された国民投票で否決され、この結果はほかの国でも実施される予定だった国民投票や批准手続きの延期や中止につながった。欧州のための憲法を制定する条約に替わって「改革条約」と位置づけられるリスボン条約が署名され、すべての加盟国による批准が完了したことを受けて2009年12月1日に発効した。

欧州連合への新規加盟は主要な政治課題となっており、欧州連合をどこまで拡大させるかということが議論となっている。拡大は欧州連合の発展を助ける大きな政策手段とする考え方があるいっぽうで、欧州連合の過剰拡大と希薄化を懸念する考え方もある。

サイト検索「欧州地域開発基金」=http://www.clair.or.jp/j/forum/c_smry/html/034/index.html

            その45に続く                以上

              。

2010年6月20日 (日)

「平成の船中八策」を実現する市民の会、その43[欧州連合の政治」(選挙・政党)

「選挙」

欧州議会については5年ごとに直接選挙が実施されている。理事会と欧州理事会は加盟国で選任された人物で構成され、そのため国内における規定によって責任を負っている。欧州委員会は市民によって直接的に選任されていない。ただし欧州委員会委員長の指名にあたって、欧州理事会は直前の欧州議会議員選挙の結果を考慮しなければならないことになっている。

欧州議会の選挙は欧州連合の市民による普通選挙でもって実施される。このときの選挙方法は比例代表制でなければならないが、選挙権年齢や有罪判決を受けたものの選挙権制限といった規定は各国の選挙制度に委ねられている。欧州議会議員選挙は1979年に初めて行なわれているが、2009年の選挙までにその投票率が下がり続けている。2009年の選挙の投票率は 43% にとどまっている。

「政党」

れぞれの加盟国における政党は、政治志向が近いほかの加盟国の政党と連携して欧州規模の政党を結成している。ほとんどの国内の政党は欧州規模の政党に参加しているが、11の欧州規模の政党が欧州連合に登録されており、欧州連合から資金を受け取っている。欧州規模の政党は国内の政党と似たような活動を行なっているが、欧州議会議員選挙ではとくに大きい政党である欧州人民党欧州社会党欧州自由民主改革党だけが統一的なマニフェストを掲げて運動を行なっている。

欧州規模の政党は理事会、欧州委員会、欧州議会といったすべての主要な機関において水平的にかかわっているが、もっとも活動が活発であるのは欧州議会においてであり、欧州議会では政治会派を形成している。欧州議会の任期の冒頭で各政党はほかの欧州規模の政党や国内政党、無所属議員と政治会派を結成する。

これまでにいずれの政党も欧州議会において過半数の議席を得ておらず、また政権を樹立するというようなこともないため過半数を得たところで大きな影響はないのだが、欧州議会議長の選任に当たっては2大政党の間で連携がなされてきている。

会派代表者議員数
European Parliament political groups.svg
欧州人民党グループ (EPP) ジョセフ・ダウル 265
社会民主進歩同盟グループ (S&D) マルティン・シュルツ 184
欧州自由民主同盟グループ (ALDE) ヒー・フェルホフスタット 84
欧州緑グループ・欧州自由連盟 (Greens-EFA) ダニエル・コーン=ベンディット
レベッカ・ハルムス
55
欧州保守改革グループ (ECR) ミハウ・カミンスキ 54
欧州統一左派・北方緑の左派同盟グループ (GUE-NGL) ロタール・ビスキー 35
自由と民主主義のヨーロッパ (EFD) ナイジェル・ファリッジ
フランチェスコ・スペローニ
31
無所属 (NI) N/A 28
出典:欧州議会合計736

        その44に続く             以上

2010年6月19日 (土)

「平成の船中八策」を実現する市民の会、その42[欧州連合の政治」(機関・欧州議会・欧州理事会・理事会・欧州委員会)

「機関」

欧州連合の主要機関には、欧州議会、欧州理事会、欧州連合理事会(基本条約ではたんに「理事会」となっている)、欧州委員会がある。

通常立法手続きはほぼすべての欧州連合の政策分野で適用される。この手続きでは、欧州委員会が欧州議会と理事会に法案を提出する。欧州議会と欧州委員会は理事会に対して修正案を送ることができ、理事会はその修正案を採択するか、「共通の立場」を送り返すことができる。理事会による「共通の立場」案に対して欧州議会は承認するか、修正を審議する。

理事会が欧州議会の修正法案を承認しなかった場合は「調停委員会」が設置される。調停委員会は理事会と欧州議会のそれぞれから出される同数の代表者で構成され、立場の一致を模索する。両者の立場が一致すれば、法案はふたたび欧州議会において絶対過半数でもって承認されなければならない。また通常立法手続き以外にも、欧州議会の権限が制限されるような分野では特別な手続きが適用される。

「欧州議会」

欧州議会は理事会と立法や予算に関する権限を共有している。736人の議員は5年ごとに普通選挙で選出され、議場では政治志向によって配置される。欧州連合における二院制の一翼を担っているものの、欧州議会は一部の分野において理事会よりも権限が押さえられており、また立法における発案権を持たない。しかしながら欧州議会は理事会が持たない、欧州委員会に対する権限を持っている。

「欧州理事会」

欧州理事会は欧州連合加盟国の元首または政府首脳による会議体である。毎年4度の会議で欧州連合の政策指針を定め、また統合への推進力を与えている。議長は欧州理事会の議事進行や任務遂行にあたる。欧州理事会は欧州連合における最高位の政治機関とされている。

「理事会」

欧州連合理事会(閣僚理事会やたんに理事会ともいう)は立法権と、限定的ではあるが執行権を持ち、欧州連合の主要な政策決定機関となっている。その議長国は6か月ごとに持ちまわっている。理事会は加盟国の閣僚で構成される。ただし理事会は議題によってその構成が変わる。

たとえば農業にかかわる案件について協議する場合には、理事会は各国の農業担当閣僚で構成されることになる。出席者は自国政府を代表し、自国の政治制度において説明責任を負う。採決では多数決または全会一致が採られ、多数決での各国の持ち票数はそれぞれの人口によって配分されている。

「欧州委員会」

欧州委員会は加盟国から1人ずつ任命された委員で構成されているが、委員は出身国の利益から独立した立場であるものとされている。欧州委員会はすべての欧州連合の法令の草案を起草し、立法における発案権を独占している。また欧州委員会は欧州連合の日常業務を担い、欧州連合の法令や「基本条約の守護者」としての使命を負っている。

欧州委員会は欧州理事会議長が指名し、欧州議会が承認した委員長を首班とする。ほかの委員は加盟国が委員長との協議のうえで指名し、委員長によってそれぞれの担当職域が割り当てられる。その後理事会は指名された委員の名簿を採択する。理事会による欧州委員会の採択では全会一致による決定を求める分野とはなっておらず、条件付き多数決によって承認される。

欧州議会は委員候補に対して聴聞を行い、任命の採決を行う。各委員候補に対する聴聞は個別に行なわれるが、欧州議会としての承認の採決は欧州委員会の総体に対して行なわれ、個別の委員に対する任命の是非を決めることはできない。欧州議会から承認が得られれば、委員はただちにその任に就くことができる。

         その43に続く                           以上

2010年6月18日 (金)

「平成の船中八策」を実現する市民の会、その41[欧州連合の政治」(権能・法令・加盟国)

「権能」

欧州連合の加盟国はほとんどの連邦制国家のように、欧州連合に明らかに委譲していないすべての権限を保持している。ところが一部の分野では欧州連合が排他的な権能を持たず、その分野では支援的な役割を果たすにとどまっている。分野によって権限の様態が異なるのである。たとえば外交や防衛に関する案件では、欧州議会の役割は小さいものとなっており、理事会において多数決ではなく全会一致で決定することになっている。

排他的権限 共有的権限 支援的権限
欧州連合は法令で前もって定められている場合において、指令を作り、国際協定を締結する排他的権限を有する。 加盟国は欧州連合が権限を行使した分野においては、自らの権限を行使することができない。 欧州連合は加盟国の行動を支援、調整、補完するような行動を実行することができる。
  • 人間の健康の保護と改善
  • 工業
  • 文化
  • 観光
  • 教育、青少年、スポーツ、職業訓練
  • 市民保護(防災)
  • 行政上の協力

「法令」

欧州連合が制定した法令は加盟国の法令に優先する。欧州連合が成立させることのできる拘束力を持つ法令の形態には、加盟国において直接的に法律としての効果を持つ規則、目的の枠組みを定め、加盟国の法令がその目的に合致するようにさせる指令、特定の案件にのみ適用される決定の3つがある。

「加盟国」

2007年以降、欧州連合には27の加盟国があり、これらは欧州連合の諸機関に権限を委譲している。権限を委譲しているかわりに、加盟国は理事会の採決における票数、欧州議会における議席数、欧州委員会委員などが割り当てられている。加盟国の政体はそれぞれで異なっており、大統領制、君主制や連邦制、ミニ国家などがあるが、すべての加盟国はコペンハーゲン基準で言及される民主主義、人権の尊重、自由市場経済を有することを遵守しなければならない。加盟国は長い期間を経て増えていて、1958年の原加盟6か国に始まり、これからも増え続けることが見込まれている。

加盟国の中には特定の領域で欧州連合における統合の枠組みの外にある国があり、たとえばユーロ圏は全27か国中16か国のみで構成されていたり、またシェンゲン協定には欧州連合の加盟国では21か国が参加している。しかしながらこれらに参加していない加盟国もブロックに加わる手続きが進められている。また欧州連合に加盟していない多くの国でも、ユーロ、シェンゲン協定、単一市場、防衛といった欧州連合の活動にかかわっている。

サイト検索=シエンゲン協定=http://www.fitosa.jp/docs/shengen.pdf

            その42に続く                       以上

2010年6月17日 (木)

「平成の船中八策」を実現する市民の会、その40[欧州連合の政治」(法的根拠)

今回より「欧州連合の政治」について,勉強をしてみたいと思います。

欧州連合の政治では、その独特の性質のためにほかの国際機関や国家とは異なる様態をもつ欧州連合の政策の決定や執行について概説する。欧州連合は国家連合に近いもので、多くの政策分野が法令を作ることができる機関の管轄のもとに置かれている。ただ欧州連合はたいていの国家とは異なり、外交政策防衛政策、直接課税については全面的には押さえていない。

一定の範囲までは協力の枠組みがあるものの、このような分野については加盟国が司っている。欧州連合の法は加盟国の国内法に優越し、その政策分野は過去の国家連合に比べると多岐にわたるものである。ところが欧州連合は補完性原理を基本としており、負託された権限を超えたり、加盟国や地方において行なうほうが適切であったりするような法令を立てることは制限されている。

欧州連合の機関には政府間主義超国家主義の要素が混在している。基本条約では、欧州連合は間接民主制に基づくものとうたわれ、欧州議会の選出では直接選挙が実施されている。欧州議会は理事会とともに、欧州連合における立法機関を形成している。法令は欧州議会と理事会が任命し、両者に対して説明責任を負っている欧州委員会が提案している。

5年ごとに直接選挙が実施されているものの、国内においては欧州連合の政治における統一的な政党というものがない。そのかわりに欧州議会において行動をともにするイデオロギー的に近い政党による連合が存在する。なかでもとくに大きな政党が中道右派欧州人民党中道左派欧州社会党で、前者は1999年から欧州議会において最大会派を形成している。

ヨーロッパの政治において左派と右派を分ける線があるほかにも、基本条約の改定を繰り返してきたことで絶えずその性格を変えてきた欧州連合を形作る欧州統合に対して賛成する汎ヨーロッパ主義と反対する欧州懐疑主義といった分け方もある。後者は北欧、とくにイギリスなどで色濃く、加盟国の中には例外規定によってほかの加盟国と比べてもあまり統合が進んでいない国もある。

法的根拠」

欧州連合の構成上の根拠やその組織は基本条約に基づくものである。とくにその中核となっている2つの条約は幾度の修正が加えられ、欧州連合の権能を強化したり、その機関のあいだにおける関係を再設定したりしてきた。

基本条約において欧州連合は間接民主制を基礎とすることがうたわれており、また人間としての尊厳の尊重、自由、民主主義、平等、法の支配、マイノリティに属する人びとの権利を含む人権の尊重という価値観を基礎とするものとしている。

法人としての欧州連合とその運営を担う機関は基本条約によって授権されている。ところが欧州連合としての支配権はこういった機関に授けられておらず、究極的な支配権は加盟国政府に与えられている。ただ欧州連合が権能を付与されている分野においては、欧州連合が加盟国に対して拘束力を持つ直接的な法令を制定することができる。

       その41に続く                 以上

2010年6月16日 (水)

「平成の船中八策」を実現する市民の会、その39[欧州連合の機構」(所在地、上記以外の組織・専門機関)

「所在地」

ブリュッセルには多くの機関が所在しており、欧州議会の所在地については議論となっている

欧州連合の機関は単一の都市に集められておらず、ブリュッセルルクセンブルクストラスブールの3つの都市に分散している。このような配置は1992年に取り決められ、アムステルダム条約において基本条約の付属議定書として盛り込まれた。この議定書では、欧州委員会と理事会はブリュッセルに欧州連合司法裁判所はルクセンブルクに欧州議会はストラスブールにおくことがうたわれている

ただし、欧州委員会の一部の部局の所在地や理事会の開催地はルクセンブルク、欧州議会の委員会や一部の会議の開催地はブリュッセル、欧州議会の事務局の所在地はルクセンブルクとなっている。また欧州中央銀行の本店はフランクフルト・アム・マインに置くこととされている欧州理事会はブリュッセルに拠点を置いているが、非公式会合はブリュッセル以外で開かれることがある。

ブリュッセルは主要機関がおかれていることから、欧州連合の中心地となってきた北大西洋条約機構の本部もあることから、ブリュッセルにはワシントンD.C.よりも多くの報道記者や大使が集まっている。ところが3つの都市に配置する取り決めは批判の対象となってきており、なかでも欧州議会については複数の都市を多くの人が移動するということが議論となっている。

欧州緑の党による試算では、機関が分散されていることで1年あたり2億ユーロ、20,268トンの二酸化炭素が無駄になっていると指摘されている。主要機関が集まっていることから欧州議会をブリュッセルにまとめるべきであるという考え方に支持が集まるいっぽうで、ヨーロッパの統合という歴史的重要性の観点から欧州議会をストラスブールに残すべきであるという主張も出されている。

「上記以外の組織・専門機関」

経済社会評議会と地域委員会はほかの機関に対して意見を表明している

欧州連合には上記以外にも複数の組織や専門機関が設置されている。特定の案件について上記の機関が諮問しなければならないとされる2つの組織がある。1つがおもに労使関係にかかわる経済社会政策について意見を表明する経済社会評議会さまざまな業界や職種の代表者で構成される。344人の議員は任期が4年で理事会の指名を受けているが、使用者、労働者、両者以外の利害関係を持つものを代表する3つの平等なグループに分かれている。

もう1つは地域委員会で、選挙で選出された地域・地方政府の代表者で構成される。政治会派で分かれている344人の議員は理事会によって5年ごとに指名されている。欧州投資銀行は開発や統合に寄与するような長期融資を行なっている。

欧州委員会や理事会の下には多くの専門機関や外局が設置されている。これらの組織は法令や基本条約で設置されているもので、特定の問題や分野を取り扱っており、欧州環境機関欧州刑事警察機構などがある

また複数の機関にまたがるような3つの組織があり、最古のものである欧州連合出版局欧州連合の機関が作成した公式文書の印刷・発行を行なっている。また欧州人事選考局は欧州連合の機関における人事登用を担い、欧州職員研修所は欧州連合の機関に従事する職員の訓練を行なっている。

これらのほかにも欧州連合の金銭的利害を守ることを使命とする欧州不正対策局]、欧州議会の任命を受けて欧州連合の機関に対する市民の苦情を扱う任期5年の欧州オンブズマン、欧州連合の機関がデータ処理に関して市民のプライバシー権を尊重することを確保する欧州データ保護監視官局がある。

           その40に続く                  以上

2010年6月15日 (火)

「平成の船中八策」を実現する市民の会、その38[欧州連合の機構」(比較)

「比較」

欧州連合における執行の権限は単一の機関に集中していない。これはリスボン条約でより明確なものとなり、同条約では欧州理事会を常任の議長を有するひとつの機関として位置づけている。このような配置は大統領首相が並ぶフランスの双頭体制に類似している

ところがフランスの事例とは違って、欧州理事会議長には欧州委員会委員長の直接の任免や欧州議会の解散などの権限が法令において定められていない。そのため欧州理事会議長には権威があるものの権限がなく、逆に欧州委員会委員長には権限があっても権威がない。

欧州議会の性格は加盟国の議会よりもアメリカ合衆国の下院に類似しており、とくに委員会の規模や権限が大きい点、政党がきわめて分散化されている点、執行機関とは分離している点などが挙げられる。ほかの議会と比較して欧州議会で大きく異なっているのは、立法における主導権がないことである。

ただしほとんどの議会において執行機関の支持を受けない立法があまり成功しないということを考えれば、この相違点を取りあげる価値があるかは疑問視される。同様に、欧州議会による法案の修正がなされる割合が平均で 80%、意見が分かれるような案件で 30% に上るという点を見ると、この率は国内の議会と比べるときわめて高いものであり、このことは欧州議会の独立性と権威性を示すものである。

理事会とドイツの連邦参議院はともに加盟国・連邦州政府の代表者で構成されている

理事会の構成はドイツの上院に相当する連邦参議院にきわめて類似している。連邦参議院の議員は連邦州政府の代表者であり、その交替も州政府が決定するもので、この点は欧州連合の理事会にも共通する。連邦参議院の議員は連邦州における役職も兼務し、連邦州政府が交替させたり、あるいは連邦州における役職を退任したりすれば連邦参議院議員も辞職することになる。

そのため議員は同時に選任されるということはなく、また多くの議会のような解散もない。議員は個人としてではなく連邦州政府を代表する立場として、採決においてはそれぞれの連邦州政府の意向に沿うように行動する。

各連邦州はそれぞれの人口によって持ち票数が異なっており、意思決定においては絶対過半数を要する。また欧州連合の理事会の議長国が半年ごとに持ちまわるのと同様に、連邦参議院では連邦州の首相が1年ごとに持ちまわっている。ただ欧州連合の理事会と異なるのは、連邦参議院では議論の分野ごとに構成員が変わるということがない。

         その39に続く                  以上      

2010年6月14日 (月)

「平成の船中八策」を実現する市民の会、その37[欧州連合の機構」(会計監査院)

「会計監査院」

ルクセンブルクにある会計監査院の建物

欧州会計監査院には法的権限が与えられていない。ところが欧州会計監査院は、納税者から集められた欧州連合の資金が正しく使われていることの確保を使命としている

会計監査院は毎予算年度の監査報告書を理事会と欧州議会に提出している。欧州議会はこの報告書をもとに、欧州委員会の予算執行を承認するかどうかを決めている。また会計監査院は予算案や関連法案、また不正対策に関して意見や提案を述べることがある

会計監査院は1975年に、欧州連合における不正対策のために独立した機関として設置された。会計監査院は理事会において各加盟国から1人ずつの委員が、任期6年で任命されている。また3年ごとに委員の中から委員長を選出している。

「比較」

欧州連合の機関はスイス政府に類似している

欧州連合の運営体制はもっぱら独特なものであるが、細部ではほかの事例と対照することができる。権限の配分についての一般的な観点として、欧州連合はドイツの連邦制に似ているというものがある

ドイツの連邦制では連邦が行使していない状況で連邦州が権限を行使するなど、連邦と連邦州とのあいだにおいて権限は大部分が共有されており、また連邦規模での意思決定にさいしても連邦州が強くかかわっている。このようなドイツの連邦制は、連邦と州との権限が明確に分断され、また連邦の意思決定にさいして州の関与があまりないような、アメリカ合衆国など、ほかの国における連邦制とは一線を画している。

また欧州連合の機構は、直接的に模倣したわけではないが、スイスの政治機構と多くの類似点を持っている。スイスのコンセンサス型制度は言語や宗派でもって分断された国家をうまくつなげているものと評価される。欧州委員会と連邦参事会の類似する点として、両者はすべての加盟国・言語地域から構成員が任命されている。

連邦参事会の議長は1年ごとに参事の間で持ち回りとなっているが、欧州連合では理事会の議長国が同様の方式を採っており、半年ごとに加盟国の間で持ち回りとなっている。

このような大統領制をとっているためにスイスの指導者は比較的知られておらず、また国政も高度で官僚的なものととらえられ、結果として投票率の低迷につながっているが、これは欧州連合でも同様の傾向が見られる。さらにスイスと欧州連合のあいだでの類似点として、州・加盟国の権限の確保、複数の言語への翻訳、首都・本拠地を最大都市に置かないことなどが挙げられる。

        その38に続く                    以上

2010年6月13日 (日)

「平成の船中八策」を実現する市民の会、その36[欧州連合の機構」(立法・非政治的機関・欧州中央銀行・欧州連合司法裁判所)

「立法」

欧州連合の法令の形態には複数のものがある。もっとも強力なものが規則であり、加盟国内において直接的な効力を持つ指令は達成するべき目標について加盟国を拘束する。加盟国は目標の達成のためにそれぞれで独自の法令を定めるため、その方法については裁量が与えられている。決定特定の個人や団体に対して直接的に効力を発する。また勧告や意見といったものがあるが、これらは拘束力を持たない

通常立法手続きはほぼすべての政策分野において適用され、欧州議会と理事会の両者を対等としている。通常立法手続きでは、欧州委員会は欧州議会と理事会に法案を提出する欧州議会は理事会に対して修正案を送ることができ、理事会はその修正案を採択するか、あるいは「共通の立場」を送り返す。

欧州議会は「共通の立場」を承認するかあるいはさらに修正を加えた案を提示することになる。理事会が修正案を承認しない場合には「調停委員会」が設置される。調停委員会は理事会と欧州議会それぞれの同人数の代表者で構成され、妥協を模索する。双方が合意すれば、その妥協案の可決には欧州議会の絶対過半数の賛成が必要となる。重要分野では特別な手続きが適用され、欧州議会の権限が制限される。

非政治的機関

「欧州中央銀行」

欧州中央銀行

欧州中央銀行ユーロ圏における中央銀行で、金融政策の実施によって物価安定に努めている。またすべての欧州連合加盟国の中央銀行で構成される欧州中央銀行制度中核を担っている。欧州中央銀行は各加盟国の中央銀行総裁で構成される役員会と欧州中央銀行の総裁によって運営されており、2003年からはジャン=クロード・トリシェが総裁を務めている。

「欧州連合司法裁判所」

欧州連合司法裁判所は欧州連合における司法府であり、欧州連合の法令や基本条約を解釈し、適用することを使命とする。欧州連合司法裁判所は欧州司法裁判所第一審裁判所公務員裁判所からなる。

      その37に続く                     以上

2010年6月12日 (土)

「平成の船中八策」を実現する市民の会、その35[欧州連合の機構」(理事会・欧州委員会)

「理事会」

理事会は主要な政策決定機関のひとつである

理事会(欧州連合理事会、閣僚理事会ともされる)は立法権を有しており、欧州連合の主要な政策決定機関である議長役は6か月ごとに各加盟国が輪番制で務めているが、連続3期の議長国は共通の計画を策定して協力している。

理事会はそれぞれの加盟国の閣僚1人ずつ、計27人で構成されている。ただし理事会は扱う分野によってさまざまな形態でその会合を開いている。たとえば農業についての議論を行なう場合には、理事会は各国の農業担当閣僚で構成される。

各国の閣僚はそれぞれの政府を代表し、またそれぞれの国の政治制度に対して責任を持つ。採決は多数決または全会一致で行なわれ、多数決の場合には人口によってそれぞれの国の持ち票が割り当てられている。理事会は立法や予算について欧州議会と権限を共有しており、また共通外交・安全保障政策を主導している。

「欧州委員会」

欧州委員会は欧州連合における政策執行機関である

欧州委員会は欧州連合の政策執行を担う。欧州委員会は各加盟国から1人ずつが任命されており、計27人で構成されているが、それぞれの委員は加盟国の利益から独立した立場であることと定められている。欧州委員会はすべての欧州連合の法律案を起草する義務を負い、法案提出権を独占している。また欧州連合の日常業務を担い、「基本条約の守護者」として法令や基本条約を支えることを使命としている。

欧州委員会を率いるのは欧州理事会が指名し、欧州議会が承認した委員長である。委員長は残りの委員を加盟国政府の協力を受けて指名し、それぞれの担当政策を割り当てる。欧州理事会は指名された委員人事案を採択するが、その採択にあたっては全会一致ではなく条件付き多数決が行なわれる。

欧州議会はそれぞれの委員候補に対して聴聞を行うが、承認の是非は個別の委員候補に対するものではなく、委員会全体に対して行なう。欧州議会の承認が得られれば新委員会が発足する。2004年11月からはジョゼ・マヌエル・バローゾが務め、2010年2月には第2次バローゾ委員会が発足した。

         その36に続く                       以上

2010年6月11日 (金)

「平成の船中八策」を実現する市民の会、その34[欧州連合の機構」(政治的機関・欧州議会・欧州理事会)

「政治的機関」

欧州連合における政策の執行と決定に関する権限は3つの機関に分配されている。理事会は加盟国政府を欧州議会は市民を、欧州委員会はヨーロッパの利益をそれぞれ代表するものとなっている]まず理事会、欧州議会などの機関は欧州委員会に対して法案の作成を求める。これを受けて欧州委員会は法案を起草し、欧州議会と理事会に提出する

このとき法案の成立には、ほとんどの場合において両者の承認を得なければならない法案が可決されて両期間の議長が署名すれば法律として成立する。欧州委員会は欧州連合の日常の業務において成立した法律が執行されることを確保し、法律が遵守されない場合には司法裁判所で訴えを起こす義務を負っている。

「欧州議会」

欧州議会は欧州連合において唯一、直接選挙される機関である

欧州議会は理事会とともに立法および予算に関する権限を有している。2009年7月以降、議長を務めているのは欧州人民党所属のイェジ・ブゼクである。736人の議員は5年ごとに普通選挙で改選され、政治志向によって会派が結成される。議員はおよそ5億人の市民を代表し、欧州連合の機関のなかではただひとつ直接選挙されている。

欧州議会は理事会とともに両院制を形成しているものの、一部の重要分野においては理事会と比べて権限が弱く、また法案策定の主導権を有していない。しかしながら欧州議会は、理事会には与えられていない、欧州委員会に対する権限を有している。そのため欧州議会の民主的性質や権限から、世界でもっとも強力な立法機関のひとつであるされている。

「欧州理事会」

欧州理事会は加盟国の国家元首や政府首脳で構成され、欧州連合の政治的指針を定める

欧州理事会は加盟国の国家元首または政府首脳で構成される。欧州理事会は年4回の会合で欧州連合の政治指針を定め、統合を推進している。このため欧州理事会は欧州連合の最高意思決定機関に位置づけられている。2009年12月からヘルマン・ファン・ロンパウが務める議長は会合の進行を行い、欧州理事会の業務を進める役割を担っている。

          その35に続く                   以上        

2010年6月10日 (木)

「平成の船中八策」を実現する市民の会、その33[欧州連合の機構」(変遷)

「変遷

1957年に署名された2つローマ条約によって、共同市場の創設を目指す欧州経済共同体と原子力エネルギーでの協力を促進する欧州原子力共同体が設立された。3つの共同体は司法裁判所と議会を共有していたが、理事会と最高機関は個別のものを有しており、とくに欧州経済共同体と欧州原子力共同体の執行機関は「委員会」という名称が与えられていた。

このように機関が共有されなかったのは委員会と理事会の関係が欧州石炭鉄鋼共同体と他の2共同体とで異なっていたためである。当時のフランス政府は共同体の超国家的な性格に対して警戒感を持っており、新設される2つの共同体においては執行機関の権限を抑え、理事会の監督機能を強化したいと考えていた。

3つの共同体は1967年に合併条約によって諸機関が統合され、いわゆる「欧州諸共同体」と呼ばれる体制となった。欧州石炭鉄鋼共同体と欧州原子力共同体の各機関はそれぞれ欧州経済共同体の機関に継承されており、たとえば現在の欧州委員会は欧州経済共同体の委員会を直接の起源としている。

また2つのローマ条約では共同総会(のちに「議員会議」を経て「欧州議会」に改称)は直接選挙されることが想定されていたが、実際には理事会での選挙制度の策定が遅れ、選挙が行なわれるようになったのは1979年のことであった。選挙が実施されるようになってからの欧州議会はその後の基本条約によってその権限が拡大していった。ただ一方で欧州連合条約では、政府間主義を原則とする2本の柱の分野に関して、理事会により大きな権限を与えていた。

2009年に発効したリスボン条約では、予算を含むほぼすべての政策分野での決定過程で共同決定手続き(リスボン条約によって「通常立法手続き」に改称)が適用されることになりこれによって欧州議会の権限がさらに強化された

このほかに、共通外交・安全保障政策上級代表は欧州委員会の対外関係担当委員と統合されて、欧州委員会の委員も兼ねる「欧州連合外務・安全保障政策上級代表」となった。欧州委員会委員長の指名についても直近の欧州議会議員選挙の結果を考慮することが求められている。

さらに理事会においては条件付き多数決の適用範囲が拡大され、また欧州理事会が常任の議長を持つ、基本条約上の正式な機関となった。また「欧州諸共同体司法裁判所」が「欧州連合司法裁判所」に改称されたり、欧州中央銀行が基本条約上の正式な機関となった

サイト検索「欧州議会議員選挙」=http://www.deljpn.ec.europa.eu/modules/media/news/2009/090602.html

                         その34に続く                   以上

    

2010年6月 9日 (水)

「平成の船中八策」を実現する市民の会、その32[欧州連合の機構」(沿革・草創期)

今まで「欧州連合」の概要について、勉強をしてきましたが、次にもう少し具体的な内容について勉強したいと思います。重複するような面もありますが、先ず「欧州連合の機構」から入りたいと思います。

欧州連合の機構では、欧州連合の運営を担う主要な7つの機関について概説する。欧州連合条約の第13条ではこの7つの機関について、欧州議会欧州理事会理事会(閣僚理事会)、欧州委員会欧州連合司法裁判所欧州中央銀行会計監査院の順で列挙している。

欧州連合の諸機関は1952年の欧州石炭鉄鋼共同体の発足とともに設置されたものである。その後とくに欧州議会の権能が強化されて理事会との権限の均衡が図られるようになっていった欧州委員会は両者の仲介に当たったり、あるいは一方に協力したりするなどの役割を果たしてきている。しかしながら欧州委員会は欧州議会に対する説明責任がより求められるようになっており、1999年のサンテール委員会の総辞職や、2004年のバローゾ委員会人事案の再考といった事例も見られるようになっている。

条約や合意などによる漸進的な変更を加えながら諸機関は成長を重ねてきたということは、ひとつの明確な「マスター・プラン」を持たない欧州連合の機構の進展を示す証左となっている。これについてワシントン・ポストのトム・レイドなど一部からは「だれも欧州連合のような複雑で面倒な運営体制をわざわざ作ることはなかっただろう」と評されている。その後も、従来の基本条約と置き換えられることが企図されていたもののフランスとオランダでの国民投票で否決された欧州憲法条約や、その代替となったリスボン条約では諸機関の規定に変更が加えられた。

草創期

欧州連合の機関が設置され始めたのは1950年代のことでシューマン宣言をもとに6か国の間で創設された欧州石炭鉄鋼共同体の発足によるものである。欧州石炭鉄鋼共同体は軍需品ともなる石炭および鉄鋼市場を超国家的機関の管理下におき、平和と経済成長を目指すことが目的とされた。共同体の中核となるのは「最高機関」と呼ばれる執行機関で、共同体に関して超国家的な権限を有していた。最高機関が策定した法令は司法裁判所によって司られ、司法裁判所はそれらの法令を守り、また仲介に当たっていた。

また設立条約の協議では、最高機関の権限と均衡を図るための2つの監督機関が盛り込まれることが提案された。そのひとつが、ジャン・モネが提案した監視者、重石役として機能することや、民主的正当性を与えることが目論まれた「共同総会」であり、共同総会は78名の加盟国の議員で構成された。もうひとつが、小規模の加盟国が提唱した理事会であり、これは政府間主義的な要素を加え、加盟国の政策と最高機関の政策との調整を行なう機能が企図された。

           その33に続く                    以上

           

2010年6月 8日 (火)

「平成の船中八策」を実現する市民の会、その31[欧州連合」(反応・イギリス)

「反応」

2007年6月の合意を受けて、ドイツの外相フランク=ヴァルター・シュタインマイアー「もはや残されたことは6月に合意された妥結案を法定化することだけだ」と述べている。オーストリア外相ウルズラ・プラスニックもこれに同意し、そのうえで「残されているのは多言語での正文作成と法的な詳細をまとめること」と付け加え、12週間以内に調印の準備を完了させることへの自信を覗かせた。

この考え方には欧州委員会委員長ジョゼ・マヌエル・バローゾも同調し、10月までに27の加盟国が改革条約に政治的合意に達するということに自信を見せた。またバローゾは「われわれにはいまや条約文の草案がある。先の欧州理事会で得られた政治的なコンセンサスが法典化されているのだ」とも述べている。

しかしながらポーランドといった国には一部の分野で議論の再開を望む空気があった。2007年6月、ポーランド首相ヤロスワフ・カチンスキは、ポーランドは第2次世界大戦が起こらなければ今よりもずっと人口が多かっただろうと、物議をかもす発言をしている。

欧州議会議長ハンス=ゲルト・ペテリングは、条約について実質的に新たな議論を行う余地はなく、またポーランドなどが示唆しているような議論の再開などもありえないと述べている。IGC に参加した欧州議会代表団の1人であるエルマー・ブロックはペテリングの発言に加える形で、もはやこの付託文書は条約草案にされる段階となっていると述べている]

イギリスにおいてリスボン条約は議論を呼んでいる]。与党労働党は欧州憲法条約の批准にあたって国民投票の実施を掲げていたが、同国首相トニー・ブレアは、新たな改革条約については国民投票の実施の必要はないと述べている。リスボン条約には憲法条約で提唱された欧州連合の基本的な枠組みへの変革策を多く含まれているため、メディアではイギリス世論において新たな改革条約についての国民投票が実施されるべきだと報じていた。

これに応じて、ブレアとその後任となることが決まっていたゴードン・ブラウンは、新条約では、欧州連合としての外交政策やコモン・ロー(基本権憲章がイギリスに対して法的効力を持たない内容)、社会政策、税法について拒否権が残ることから「レッド・ライン」を越えていないとして、国民投票の実施は必要ないと述べている。ブレアが妥結に至ったと主張しているが、欧州連合には外交担当機関が数多く残っており、つまり欧州連合はイギリスの利益とは関係なく外交政策を運営することとなるため、ブレアの外交政策に関する適用除外の実際の有効性に疑問が投げかけられた。

また欧州連合の目的から「自由で歪みのない」という言葉が除かれたことも関心を集めた。これはフランス大統領ニコラ・サルコジが求めたことで、サルコジはこの文言について思想的な目標ではなく目的達成のための手段として用いられていると考えていた。

(日本語仮訳)欧州連合条約修正後第3条

3. 連合は(競争が自由で歪みのない)域内市場を設置するものとする。連合は完全雇用、社会の進歩および環境の質の保護と改善の高水準を目標とし、均衡の取れた経済成長と物価安定、高い自由競争による社会市場経済に基づく欧州の持続的な発展のために機能するものとする。連合は科学および技術の前進を振興するものとする

イギリス議会の議員には当初改革条約の草案がフランス語版しかなかったことに批判するものがおり、それらの議員は庶民院に英語版の草案が用意されなかったとして新条約を適切に精査できないと主張した。

2007年10月、庶民院欧州監視委員会は、改革条約は大筋で欧州憲法条約と同質のものであり、この条約でイギリスのために規定された特例は実際のところでは効果を持たないと主張した。この見解は外相デイヴィッド・ミリバンドの意見と対立するものとなっている。

               その32に続く                     以上

2010年6月 7日 (月)

「平成の船中八策」を実現する市民の会、その30[欧州連合」(チエコの欧州懐疑派による反発)

「チエコの欧州懐疑派による反発」

議会での批准手続きは完了したものの、クラウスは「アイルランドでの2度目の国民投票の結果が出るまで批准文書に署名しない」と発言してきており、さらには憲法裁判所に再度の審査を求めるよう、自分に近い元老院議員に促してきた。

この動きに同調してイギリスの野党保守党党首のデービッド・キャメロンは、2010年に実施が見込まれている総選挙で政権を奪取したさいにはイギリスで国民投票を実施する意向を表明しており、この国民投票実施まで批准文書への署名延期をクラウスに求めた。

くわえて2009年9月29日にイルジー・オベルファルゼルら市民民主党所属の元老院議員が憲法裁判所に対して再度の審査を求め、10月1日に憲法裁判所は審査を開始することを発表した。

2009年10月にアイルランドの国民投票でリスボン条約の批准が承認されたものの、クラウスは上述の憲法裁判所における審査の結果を待つとしたうえに、リスボン条約によって欧州連合基本権憲章が法的拘束力を持つようになると、第二次世界大戦後に旧チエコスロバキア政府がいわゆるベネシュ布告によって、追放したドイツ人などから没収した財産の返還請求訴訟を欧州司法裁判所に提起することができるようになると指摘した。

クラウスはこのような事態を懸念し、条約協議のさいに盛り込まれたイギリスやポーランドに対する欧州連合基本権憲章の適用除外をチエコに対しても認めるように要求した。当時の議長国であるスウェーデンの首相フレドリック・ラインフェルトはこのクラウスの要求に応じ、同月29~30日に開催された欧州理事会の会合でチエコに対する欧州連合基本権憲章の適用除外を認めることを提案した。

この提案に各国首脳は合意し、ポーランドとイギリスに対する欧州連合基本権憲章の適用除外を規定している。修正後の欧州連合条約および欧州連合の機能に関する条約の付帯第30議定書をチエコにも同様に適用することで合意した。

リスボン条約の違法性をふたたび審査していたチエコの憲法裁判所は2009年11月3日に、リスボン条約はチエコの国内法に違反することは無いという判断を示した。欧州連合基本権憲章のチエコへの適用除外と憲法裁判所によるリスボン条約の合法性の確認を批准書への署名の条件としていたクラウスは、この2つの条件が満たされたことを受けて同日午後3時にリスボン条約に署名した。

         その31に続く                      以上

2010年6月 6日 (日)

「平成の船中八策」を実現する市民の会、その29[欧州連合」(ドイツにおける違憲審査・チエコの欧州懐疑派による反発)

「ドイツにおける違憲審査」

ドイツでは野党左翼党や与党キリスト教社会同盟に所属する連邦議会議員ペーター・ガウヴァイラーらによって、リスボン条約がドイツ連邦共和国基本法に違反するとして連邦憲法裁判所に違憲審査を求めた。

ドイツでは議会での批准手続きを2008年5月までに終えていたが、違憲審査の開始を受けて連邦大統領ホルスト・ケーラーは連邦憲法裁判所が合憲と判断するまで、ドイツでの批准手続き完了に必要な連邦大統領の署名をしないことを表明した。

2009年6月30日に連邦憲法裁判所は違憲審査の結果を明らかにし、結論としてはリスボン条約はドイツ連邦共和国基本法に反しないと判断した一方で、欧州連合の政策決定に関与する点で国内法の改正が必要であるとした。

この判断を受けて、同年9月27日に総選挙が実施されるという日程上の余裕が無い中で8月27日から議会における議論を開始し、連邦議会で9月8日に、連邦参議院で9月18日にそれぞれ改正法案を可決した。議会での改正法成立を受けてケーラーは9月25日に批准書に署名し、ドイツの批准手続きを完了させた。

「チエコの欧州懐疑派による反発」

チエコでは2008年4月24日、元老院において議員全70人中48人が、リスボン条約がチエコ国内法に反しないかどうかを憲法裁判所に審査することを求める決議を採択した。この決議によりチエコでは元老院、代議院ともにリスボン条約の批准についての審議を保留することとなった。

2008年11月26日、憲法裁判所はリスボン条約について判事全員が国内法に反しないと判断した。ところがこの判断に対してリスボン条約に批判的な立場をとる大統領ヴァーツラフ・クラウス「憲法裁判所の判断は専ら政治的なものであり、司法の立場からなされたものではない」と述べている。

他方で議会はリスボン条約批准の手続きを開始し、2009年2月18日、代議院は批准承認に必要な全議員(200人)の5分の3をわずかに上回る125人が賛成した。ところが3月24日、チエコが2009年前半の欧州連合理事会議長国であるにも関わらず、代議院においてミレク・トポラーネク政権に対する不信任決議が与党市民民主党の一部の議員の造反によって可決されるという波乱が起きる。

政治情勢が流動化する中で元老院での批准の見通しが一時は不透明となったが、5月6日に採決を行ない、全議員79人中54人が賛成して批准が承認された。

       その30に続く                         以上

2010年6月 5日 (土)

「平成の船中八策」を実現する市民の会、その28[欧州連合」(アイルランドにおける国民投票・カチンスキの反応)

「アイルランドにおける国民投票」

2009年10月2日に2度目の国民投票が実施され、翌日に開票された結果、投票率59%(1,816,098票、うち無効7,224票)で、賛成67.13%(1,214,268票)、反対32.87%(594,606票)となり、憲法改正、条約批准が国民に承認された。

前回と結果が異なった背景として、1990年代後半からおよそ10年続いた「ケルトの虎」と呼ばれる好景気で外資や輸出に経済を依存してきたアイルランドは世界金融危機の影響によって一転し、失業率も2009年中に17%にまで達するという見込みがなされるなど深刻な不況に見舞われているなかで、有権者の間で欧州連合に対する評価が再確認されたことが挙げられる。

2回目の国民投票に当たって与野党を問わずほとんどの政党が賛成に投票するよう呼びかけたほか、元ポーランド大統領レフ・ヴァウェンサや欧州議会議長イェジ・ブゼクといった国外の政治家もアイルランドで条約批准への支持を有権者に求めた。

また経済界からもアイルランド産業雇用者連合会長ダニー・マッコイやライアンエアー最高経営責任者マイケル・オリアリーなどが批准賛成を打ち出してキャンペーンを展開するなど、リスボン条約への支持が広まっていった。

「カチンスキの反応」

ポーランドでは大統領レフ・カチンスキがリスボン条約に懐疑的な立場をとってきた。2008年4月に議会両院でリスボン条約批准が承認されたが、カチンスキは直ちに批准法に署名しなかった。

2008年6月にアイルランドの国民投票でリスボン条約批准が拒否されると、カチンスキは「アイルランドが国民投票で承認しない限りは、ポーランドの批准法に署名しない」と表明した。カチンスキは「リスボン条約の障害になるつもりはないが、アイルランド国民がYesと言わないような条約に署名するつもりもない」という意思を繰り返し述べていった。

2009年10月、アイルランドの2度目の国民投票で賛成が大きく上回ったという結果を受けて、カチンスキはただちに批准法に署名することを表明した。同月10日、カチンスキは欧州委員会委員長ジョゼ・マヌエル・ドゥラン・バローゾ、2009年後半の欧州連合理事会議長国であるスウェーデンの首相フレドリック・ラインフェルト、欧州議会議長イェジ・ブゼクを大統領宮殿に招いて式典を行い、その場で批准法に署名した。

(サイト検索)

http://ja.wikipedia.org/で<ケルトの虎><ポーランド空軍TUー墜落事故>を検索して下さい。

ポーランド大統領レフ・カチンスキを殺ったのは誰か=http://answers.yahoo.com/question/index?qid=20100411110849AAEgocz

           その29に続く                      以上

2010年6月 4日 (金)

「平成の船中八策」を実現する市民の会、その27[欧州連合」(アイルランドにおける国民投票)

「アイルランドにおける国民投票」

アイルランドでは2008年6月12日にリスボン条約批准に伴う憲法改正の是非を問う国民投票が実施され、翌日に開票された結果、投票率53.13%(1,621,037票、内無効6,171票)で賛成46.6%(752,451票)、反対53.4%(862,415票)となり憲法改正、条約批准に国民の同意が得られなかった。

この国民投票は、他の加盟国政府が欧州憲法条約失敗の繰り返しを恐れて国民投票の実施を見送るなかアイルランドでは欧州連合の基本条約を批准・改廃するときは憲法第29条の規定を改正する必要があるという最高裁判所判決が下されたという経緯があり、リスボン条約の批准に当たっても憲法改正が必要となったためである。

アイルランドでは国民投票実施の前月に首相に就任したばかりのブライアン・カウエンを筆頭に与野党を問わず主要政党がリスボン条約批准賛成を呼びかけていた。その一方で有権者の間でリスボン条約に対する理解が浸透せず、これに受けて議会で少数派のシン・フェイン党などが「分らないものには反対を」という運動を起こし有権者も同調したことも反対が上回った原因に考えられている。

アイルランドでは2001年にもニース条約批准に有権者の同意が得られず2度目の国民投票で批准に漕ぎつけたということがある。ニース条約のときは2002年末までに全加盟国が批准しなければ破棄されるという規定があったが、リスボン条約第6条第2項では2009年1月1日の発効が目標とされているものの、同日に発効されなければすべての加盟国での批准手続きが完了した翌月の月初日に発効することが同時に規定されている

そのため2008年6月19~20日にブリュッセルで開かれた欧州理事会では、各国首脳が批准の議決を完了させていない加盟国での手続きを進め、そのうえでアイルランドに受け入れられるような適用除外規定を付属議定書の形で加えることなどの対応が協議されリスボン条約を発効させるための努力を続けることを確認した。

しかしながら欧州連合に対して批判的な有力政治家からはアイルランドのNOに勢いづき、2008年4月に議会での批准手続きを完了しているポーランドのレフ・カチンスキからは「アイルランドが批准しない限り批准法に署名しない」、チェコの大統領ヴァーツラフ・クラウスからは「リスボン条約は死んだ」といった発言がなされた。

2008年12月11~12日にブリュッセルで開かれた欧州理事会において、リスボン条約は欧州連合の拡大とより効率的、より民主的な運営のために必要なものであるということが再確認された。この首脳会議に先立ってアイルランド政府は2008年6月の国民投票について分析し、アイルランドから欧州委員会委員を出せなくなるという点が反対された大きな原因であると判断した。

そこで各国首脳はリスボン条約が発効していても欧州委員会では各国から一人ずつ委員を出す従来の制度を維持することで合意した。またアイルランドの税制、国防における中立性や、妊娠中絶、安楽死、同性婚などのアイルランドの伝統的な考え方について特別な配慮をまとめた付属議定書を作成することになった。

これらの対応を受けてアイルランドはバローゾ委員会の後任の欧州委員会が発足する2009年11月までに再び国民投票を実施することとなり、2009年6月18~19日に行なわれた欧州理事会で議定書案が合意された。

2009年7月8日、カウエンは議会において2度目の国民投票を同年10月2日に実施することを発表した

                その28に続く                 以上

2010年6月 3日 (木)

「平成の船中八策」を実現する市民の会、その26[欧州連合」(批准手続き)

「批准手続き」

ドイツによって計画され2007年6月の首脳会議で合意されたタイムテーブルの下、全ての加盟国は2007年6月の首脳会議で合意された付託文書を新条約の協議の基本文書として使うことになり、新条約は2007年末までにその協議を終了させ、2007年末までに全ての加盟国での批准を完了させて、2009年1月1日に、次回の欧州議会選挙に備えて発効させることになった。

発効には全加盟国の批准が必要であり、アイルランドを除く加盟国は新条約に関する国民投票の実施を回避した。アイルランドでは、欧州連合の基本条約の修正のためには憲法を改正する必要があり、そのための国民投票の実施が義務付けられている。

批准手続きに国民投票を実施することについては一部の加盟国で議論となった。デンマークでは、リスボン条約に関する国民投票の実施を求める声が高まっていたが、同国首相アナス・フォー・ラスムセンは2007年12月11日に、新条約を国民投票で諮らないと表明し、議会も同日この方針を確認した。

チエコ、オランダ、イギリスでは国民投票の実施の是非について検討がなされ、いずれの政府も議会での批准を決めている。オランダとイギリスでは議会が政府の決定に反して国民投票を強行する権限を持つが、実施反対派が多数を占めておりその見通しは殆んど無かった。

チエコは2007年10月30日に国民投票ではなく議会でのリスボン条約批准を議会で決しており、この採決にはボヘミア・モラビア共産党や与党市民民主党の造反議員3名が実施賛成に回った。

条約批准手続きの結果

調印国 賛否決定日 議会 賛成 反対 棄権 批准書寄託日

ハンガリー2007年12月17日国民議会 325  5  14 2008年2月6日

マルタ    2008:1:29  代議院     65   0   0      2008:2:6

フランス   2008:2:7  国民議会     336  52  22    2008:2:14

        2008:2:8  元老院    265  42  13    2008:2:14

ルーマニア 2008:2:4  元老院・

             代議院合同会議  387   1   1     2008:3:11

スロベニア 2008:1:29 国民議会   74   6   0   2008:4:24

ブルガリア 2008:3:21 国民議会   195   15   30   2008:4:28

オーストリア2008:4:9  国民議会  151   27    0   

       2008:4:24 連邦議会   58    4    0   2008:5:13

デンマーク2008:4:24フォルケテイング 90   25   0   2008:5:29

ラトビア  2008:5:8   サエイマ   70     3    1   2008:6:16

ポルトガル2008:4:23共和国議会   208    21    0   2008:6:17

スロバキア2008:4:10    国民議会  103   5    1    2008:6:24

イギリス 2008:3:11   庶民院    346  206   81 

      2008:6:18    貴族院  全会一 致”content”   2008:7:16

ルクセンブルク2008:5:29  代議院  47    1     3   2008:7:21

イタリア 2008:7:23   元老院   286    0      0

      2008:7:31   代議院    551   0     0   2008:8:8

ギリシャ 2008:6:11 ギリシャ議会 250   42    8   2008:8:12

キプロス 2008:7:3     代議院    31   17   1      2008:8:26

リトアニア2008:5:8   セイマス    83    5    23   2008:8:26

オランダ 2008:6:5   第二院   111   39    0 

      2008:7:8    第一院    60    15     0     2008:9:11

エストニア2008:6:11  リーギコグ   91    1     9    2008:9:23

フィンランド2008:6:11 エドゥスクンタ 151  27    21    2008:9:30

スペイン  2008:6:26 代議院   322    6    2

       2008:7:15 元老院   232    6    2    2008:10:8

ベルギー  2008:3:6 連邦元老院       48    8      1

       2008:4:10連邦代議院       116   18     7

2008:5 :14 ワロン地域議会(地域案件)56    2      4

      ワロン地域議会(共同体案件)   53    3      2

           2008:5:19 ドイツ語共同体議会22    2       1

          2008:5:20フランス語共同体議会 67   0     2   

    2008:6:27ブリュッセル首都圏地域議会     65   10     1

          2008:6:27合同共同体委員会議会   66   10    0

  2008:7:10フランデレン地域議会(地域案件) 76    21     2

       フランデレン地域議会(共同体案件) 78    22    3

    2008:7:11フランス語共同体委員会議会 70    1     1  2008:1015

スウェーデン 2008:11:20 リクスダーゲン  243   39   13 2008:12:10

ドイツ      2008:4:24   連邦議会      515   58   1

           2008:5:23  連邦参議院      65   0     4   2009:9:25

ポーランド   2008:4:1     共和国下院     384   56    12 

         2008:4:2     共和国上院     74   17    6    2009:10:13

アイルランド2008:4:29  ドイル・エアラン(憲法改正)    可決

       2008:5:9 シャナズ・エアラン(憲法改正)    可決

       2008:6:13 国民投票(一回目)   46.6% 53.4% n/a

       2009:7:8 ドイル・エアラン(憲法改正)     可決

       2009:7:9シャナズ・エアラン(憲法改正)     可決

       2009:10:3 国民投票(二回目) 67.13% 32.87% n/a

       2009:10:21ドイル・エアラン(批准関連法)   可決

       2009:10:22シャナズ・エアラン(批准関連法) 可決   2009:10:23

チエコ     2009:2:18   代議院      125   61   11

         2009:5:6     元老院      54   20     5  2009:11:13

条約発効の要件ではないが、採決を行なった議会の結果)

地域・機関    採決日   議会     賛成   反対   棄権

欧州連合    2008:2:20  欧州議会     525    115    29

オーランド諸島2009:11:25 オーランド議会 24      6      0

            その27に続く                          以上

    

              

 

2010年6月 2日 (水)

「平成の船中八策」を実現する市民の会、その25[欧州連合」(気候変動・エネルギー分野での連帯・加盟国に対する特別規定)

「気候変動・エネルギー分野での連帯」

リスボン条約では気候変動や地球温暖化に対する戦いに関する追加的合意が含まれており、これらは欧州連合の目標にも加えられている。更に条約のいくつかの規定はエネルギー供給関連の連帯や欧州連合域内におけるエネルギー政策について修正がなされている。

「加盟国に対する特別規定」

イギリス・ポーランド

イギリスとポーランドはともに自国に対する、欧州連合司法裁判所による欧州連合基本権憲章の適用を免れることを定めた第30議定書を付帯させることでともに行動した。

  第1条

     1、憲章は、ポーランドの、あるいは連合王国の法律、規則、行政規定、慣例、訴訟が再容認する基本権権利、自由、原則と相反することを宣告するために、欧州連合司法裁判所もしくは他の裁判所もしくはポーランドの、あるいは連合王国の法廷の権能を拡大しない。

     2、とりわけ、そして誤解の忌避のために、ポーランドの、あるいは連合王国の国内法で前項の権利のために規定されているかぎり以外では、憲章第4部はポーランドあるいは連合王国に適用できる裁判を受ける権利を何も創出しない。

  第2条

     憲章の規定が国内法および慣例に言及する範囲で、ポーランドの、あるいは連合王国の法律もしくは慣例で承認されている権利もしくは原則を含んでいる範囲はポーランドあるいは連合王国にのみに適用するものとする。

ポーランドの政党市民プラットフォームは2007年の議会選挙期間中、基本権憲章の適用除外を受けるとはしないとしていたが、同国首相ドナルド・トゥスクは、ポーランドは憲章に調印しないと発言している。トゥスクはかって、いずれは憲章に調印することになることを示唆していたが、前政権が協議してきた内容は尊重すると宣言した。

イギリス・アイルランド

アイルランドとイギリスは警察や司法での分野について全会一致から特定多数決での表決に変更することについての適用除外を受けることになった。この決定は(国民投票で賛成されて)条約が発効したのち、3年以内に再検討されることになっている。両国ともこれらの表決については案件ごとに適用除外を受けることができる。

            その26に続く                   以上

                                                                            

2010年6月 1日 (火)

「平成の船中八策」を実現する市民の会、その24「欧州連合」(欧州理事会議長・拡大、脱退)

「欧州理事会議長」

従来の欧州理事会議長の役職は明確に規定されておらず、既存の基本条約において任期6ヶ月で輪番制の欧州連合理事会の議長国の首脳がこれを務めると謳われているのみである。リスボン条約が発効すれば、常任となる欧州理事会議長が任命されることになる

欧州理事会議長の選出は欧州理事会において各国首脳の特定多数決でなされ、解任も同様の方法が採られる任期は2年半で、一度に限り再任可能となっている。欧州委員会委員長と異なり、欧州理事会議長の任命には欧州議会の承認を要しない。

議長の職務は理事会の業務の調整や会合の開催において統括的にこれを行う。しかしながら理事会や欧州連合の対外的な代表を務めるものの、理事会の会合後や任期の開始満了時に欧州議会に対して報告することとされている。

2009年11月19日にブリュッセルで開かれた加盟国首脳による非公式会議で、初代の常任議長にベルギー首相のヘルマン・ファン・ロンパウを任命することで合意した。

「拡大・脱退」

リスボン条約では欧州憲法条約と同じく、潜在的加盟候補国について欧州連合への加盟希望するのであるならば欧州連合の価値観を遵守させる規定がある。オランダはリスボン条約にコペンハーゲン基準を正式に含めることを提案していたが、これは加盟の是非を加盟国の首脳ではなく欧州連合司法裁判所が最終的に判断することになりかねないとして受け入れられなかった。

2007年6月の首脳会議でオランダ首相ヤン・ペーター・バルケネンデは条約により強い拡大基準を含めるべきだと主張していた。実際のところそれらに関する規定は加盟希望国の申請が承認されにくくなる内容となっており、また欧州連合の法令案についての国内議会の権限強化や、新条約が加盟国の公共サービス提供を行う権利に影響を与えないとする内容の議定書を付帯させている。

また欧州憲法条約と同様に、リスボン条約でははじめて欧州連合加盟国が法的、公式的に加盟国の資格を剥奪する規定が盛り込まれている。欧州共同体の一部が領域から離脱したことになる1985年のグリーンランドの例はあるが、従来欧州連合を離脱する内容の条約規定は存在しなかった。

欧州憲法条約から引き継いだ特長にはこのほかに、フランス、デンマーク、オランダの海外領土の地位の変更について、条約の修正を要しないこととなった点がある。代わりに欧州理事会において、当事国の発案により海外領土や外部領域などの特別領域の地位を変動することができるようになった。この規定はオランダの提案で組み込まれ、オランダでは同国領のアンテイルやアルバの欧州連合における将来についても欧州連合の機構改革の一環として調査してきた経緯がある。

(サイト検索)=http://ja.wikipedia.org/で<コペンハーゲン基準>を検索して下さい

          その25に続く                      以上

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