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2010年8月18日 (水)

「平成の船中八策」を実現する市民の会、その102[欧州連合(EU)の紛争防止④」

3. 早期対応メカニズム (RRM)
RRM は、危機状況に向かうか危機にある国々に対し、共同体の柔軟かつ短期間の支援を実施可能にするもので、2001 年2 月26 日の理事会規則 (EC 381/2001) によって創設された。2001 年度の予算規模は2000 万ユーロ、2002 年度は2500 万ユーロであり、活動は次の6 分野に大別できる。

第一は危機に対する共同体としての対応のアセスメント、第二は重大な不安定の兆候
を示す国々および地域における紛争の防止、第三は重大な危機管理、第四は紛争後の和解、第五は紛争後の再建、第六はテロとの闘いである。2002 年度について概要を記す。
第一分野では包括的なアセスメントのチームがアフガニスタンに送られ、欧州委員会のアフガニスタン再建政策の基礎となった。第二分野では、ネパール、インドネシア、南太平洋、スリランカにミッションが送られ、国別戦略文書に反映され、具体的な活動に役立ったとされる。
第三分野ではコンゴ、中央アフリカ、ソマリア、象牙海岸をめぐる仲裁努力への支援がなされた。
第四分野では、スリランカ、アチュの和平合意履行支援、アフガニスタン、スリランカでのメディア支援(正確な報道を行うための支援など)、パプアおよびマケドニア (FYROM) における市民社会構築などが含まれる。
第五分野では、マケドニアにおける民家の再建、アフガニスタンにおける緊急援助プログラムのもとにおける活動、スリランカにおける学校の再建が挙げられ、長期的な援助計画が実施されるまでの先鋒を努める。第六分野ではフィリピンにミッションが送られ、2003 年2 月のパキスタンおよびインドネシアへのミッションの計画がなされた。
RRM による活動と共同体としての復興・開発援助との関係は、

第一に、共同体の長期プログラムの第一段階の履行となる(たとえば、マケドニアの RRM 活動は欧州委員会の南東欧諸国支援プログラム CARDS によって続けられている)、

第二に共同体および他のドナーからの大規模な支援を可能にする(例としてアフガニスタン)、第三に紛争防止・危機対応を EU の開発プログラムに還流させることが挙げられている。

第三点については、ネパールと南太平洋が特記されている。
予算執行を概観すると、2001 年度はマケドニア(数字の単位は100 万ユーロ、12.79、和平合意履行のための信頼醸成プログラム支援および民家再建)、アフガニスタンおよびパキスタン (4.93、タリバン後の政治・経済・社会の再建)、コンゴ共和国 (2.04、和平過程の支援)、紛争防止アセスメント・ミッション (0.22、インドネシア、ネパール、パプア・ニューギニア、フィジー,ソロモン諸島)であった。

2002 年度は、行政管理 (2.25、アフガニスタンの健康管理部門の評価,フィリピ
ン・インドネシアのテロ対抗に関するアセスメント、スリランカの学校再建に関する監督など)、 政策勧告および仲裁関連 (3.00、アフガニスタンの暫定政権の行政に関する政策勧告、同国の情報・文化省、麻薬に関する国家安全保障会議などに対する政策勧告、アフリカ連合の中央アフリカに対する仲裁、象牙海岸に対する西アフリカ諸国経済共同体 ECOWAS の仲裁、インドネシアに対し、パプアの特別自治の履行をめぐる地方政府のアカウンタビリティー支援、レバノンに対する水資源アセスメントなど)、アフガニスタンの安定化プログラム(5.95)、アフリカの角の平和構築(2.60)、パレスチナの再建支援 (5.00)、ネパールの紛争緩和プログラム (0.62)、スリランカの和平構築プログラム (1.80)、アチュの敵対行動停止支援 (2.30) である。

           その103に続く                        以上

     

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