「平成の船中八策」を実現する市民の会、その108[欧州連合における(トルコのEU加盟問題②)」
前述したとおり、ギリシャ系キプロスは、単独でEUに加盟しているが、トルコ系キプロスが孤立するのを避けるため、欧州委員会は諸策を提案した。もっとも、新加盟国であるキプロスの反対にあい、採択されていない。
ギリシャ系キプロスのEU加盟により、EUはキプロス問題の当事者となったが、近時、この問題、トルコのEU加盟 の観点から注目されている。トルコのEU加盟申請は1984年に遡るが、加盟交渉が開始されたのは、2005年10月のことである。この交渉を成功裡に導き、トルコが念願のEU加盟を実現するには、(ギリシャ系)キプロスを承認し、和平を樹立することが必須の課題となっている 。なお、トルコは、キプロス問題の解決(ないし、ギリシャ系キプロスの承認)は、EU加盟交渉の場ではなく、国連の主導下で進められるべきであるとしている。また、南北統一を阻止しているのは、トルコ系キプロスではなく、ギリシャ系キプロスであるとされる。さらに、和平実現の前提条件として、EUは北キプロスに対する制裁を解除しなければならないと主張している。
関税同盟の拡大に関して
EU(EC)は 関税同盟 を基礎としているため、トルコがEUに加盟するには、キプロスを含めたすべてのEU加盟国と関税同盟を構築する必要がある。従来のEU15ヶ国とトルコの間には、すでに関税同盟が結成されているが、2004年5月にEUに加盟した10ヶ国(キプロスを含む)にもこれを拡大するための議定書は2005年7月に締結された。もっとも、今日まで、トルコはこれを批准しておらず、EUより厳しく批判されている。2006年末までに、キプロスとの関係において、関税同盟に関する義務を誠実に履行しない場合には、EU加盟交渉を部分的に中止すべきと欧州委員会は提案しているが、2006年12月、EU加盟国は最終判断を下す予定である。
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司法制度・人権保護の改善
また、最近では、離婚に対する刑罰を再導入する動きが物議を醸している。さらに、性別を問わず、不貞行為の取り締まりを強化する法改正も進められており、今後、問題になる可能性がある。
なお、近時は、トルコの憲法裁判所がオンブズマン法の適用を停止したことが問題になっている。
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その109に続く 以上 |
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