2004年9月~12月の動き
2004年10月6日、欧州委員会は、トルコが加盟基準を満たしているかどうかに関する報告書を提出することになっているが、これを肯定的に評価し、加盟交渉の開始をEU理事会に提案するものと解されている。この提案を受け、EU理事会は、12月16・17日、加盟交渉を実際に開始するか決定する。
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ヨーロッパの政治家で構成される「独立トルコ委員会」(unabhängige
Türkei-Kommission) は、2004年9月6日、トルコのEU加盟に関する
報告書をEUに提出する予定であるが、同国のEU加盟にまつわる誤っ
た懸念を否定し、EU加盟を支持するものと解される。
当初の予定通り、9月6日、報告書が公表され、トルコとのEU加
盟交渉開始を支持する見解が示された。独立トルコ委員会によれ
ば、トルコのEU加盟は「問題」ではく、「挑戦」とされている。また、加盟が実現しても、(欧州憲法による立法手続をも含めて)、EU
の諸制度を大幅に変更する必要はないとしている。
また、同委員会の Ahtisaari 氏(元フィンランド大統領)は、イス
ラム教徒による反動は、トルコがEUに加盟する場合にではなく、
加盟が拒絶された場合に生じるとしている。 |
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Verheugen 欧州委員(EU拡大担当)は、9月6日よりトルコを訪問し、最終調査を行う予定である。アンカラに到着した Verheugen 氏は、欧州委員会は、公正で、客観的かつ実直な報告書を作成することを明らかにし、これをトルコ政府要人に約束した。トルコのEU加盟問題について検討することは、EU拡大担当委員としての Verheugen 氏の最後の任務になると見られている。
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9月23日、トルコの Erdogan 首相は、ブリュッセルに赴き、欧州議会の会派のリーダーにEU加盟支持を訴える予定である。なお、加盟国内に同じく、欧州議会内でも、見解は分かれており、最大勢力を誇る保守会派(EVP)では、意見が半々に割れているとされる(スペイン、ポルトガル、ギリシャ、イタリア、ベネルクス3国出身の議員は賛成しているのに対し、ドイツ、フランス、オーストリア出身の議員は反対している)。他方、第2党の社会党派は、トルコのEU加盟を支持しているが、Schulz 代表(ドイツ)は、絶対的に支持するわけではないと述べている。 |
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離婚刑の再導入をきっかけに、欧州委員会との関係が緊張したこと
を受け、 Erdogan 首相は、当初の予定より早く、22日にブリュッセルに
入り、翌23日は、「旧友の」Verheugen 欧州委員とも会談を行った。
離婚の処罰化が廃案になるとの説明を受けたVerheugen 委員は、
23日、トルコとの加盟交渉開始を阻む要因は、もはや何も残ってい
ないと述べた。10月6日の欧州委員会の報告書発表に先立ち示され
た「ゴーサイン」は、トルコの株式市場や為替市場でも好意的に受け
止められているが、依然として拷問は行われていることや、トルコの
EU加盟より生じる負担の大きさを指摘し、Verheugen 委員の発言を
批判する声もEU内からは聞こえている。
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10月6日、欧州委員会は、トルコのEU加盟に関する見解をEU理事会
に述べるが、その前日、EU加盟25か国の外相は、トルコの最大都市
イスタンブールで会合を開く予定である。
その116に続く 以上
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