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2010年8月 1日 (日)

「平成の船中八策」を実現する市民の会、その85[欧州連合の問題点」(欧州連合の機関および権限⑩)

「欧州連合の機関および権限」

この規律によれば,柔軟性条項はいずれにしても,憲法による,すなわち個々の管轄規定によれば,その調和が許されない領域で,構成国の法規範や行政規範を調和するために利用することは許されない。最後に,権限法上特に重要で,極めて複雑に規律された領域が,内政および司法政策に見いだせる。この領域は伝統的に共同体化されておらず,従って,構成国間の政府間協力を基礎としていた。

しかしまさに犯罪撲滅を想起してみれば,ここでも集中的な統合が必要であることは明らかとなる。欧州連合が国境を開いた領域であるならば,犯罪も文字通り国境を越えて当然に広がる。このような国境を跨る犯罪は,国境を跨って,従って共同体的に行動しうる規律や制度でのみ対処しうる。このような理由から欧州憲法においてはいくつかの改善,従って密接な協力の可能性が創設された。

これはとりわけ,国境を跨った意味を有する困難な種類の犯罪について妥当する。民事法についても,国境を跨る事案が問題となる限りで,統一措置が用いられうる。刑法の領域では,最も重要な制度が,欧州警察機構,欧州検察機構,欧州検察官である。これらはすべて,従前は,十分に実効的には規律されていなかった。これらすべての領域においては,一定の改善が見られ,とりわけ欧州警察は将来的に,「実行的措置(operative Massnahme)」を講ずることができるが,これは従前にはなかったことである。

欧州警察は,従前,もっぱら情報収集および情報探索を国内警察機関に提供する機関であった。今や,――もっともかなり限定的ではあるが――緊急で必要であった時には,実行的措置も講ずることができる。
一定の調和は,刑事法の領域でも,状況の現実的な評価に際し,確かに,例えば統一的な欧州刑法典が公布されるには程遠いにもかかわらず,可能であるとされる。まさに刑事法の領域では依然として個々の構成国間で,――伝統に基づく,法文化および事実上の展開に基づく――明白な差異が存在する。

この場合,刑事法におけるよりも相違はそれほど大きくないにもかかわらず,同様のことは民事法にも妥当する。ともあれ,欧州連合は既にこれまで,消費者保護の権限タイトルのもとで,直接構成国の民事法に作用し,一連の法統一化を導く多くの規律を導入してきた。しかし全体として,依然,内政及び司法政策の領域は,望まれていたほど十分には共同体化されていない点を出発点としなければならない。この領域において,欧州連合がここでもその統合能力の点で,欧州連合の全領域について広範な統一的な法規範を実現し,とりわけ刑事法または民事法の領域で作用を与えるものとなる程に成熟するには,なお多くの時間を必要とする。

まとめよう。欧州憲法は,欧州連合の機関の基礎となる規範を創出し,管轄権についても広範に発展させた。これらすべては必要なものであると同時に歓迎されるべきものである。しかし依然として,不十分な点(Defizite)も存在する点,欧州統合のプロセスがまさに欧州連合の管轄においてなお完全には決着を見ていない点は,依然として残されたままであ
る。

      その86に続く                             以上

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