「平成の船中八策」を実現する市民の会、その97(欧州連合における全労働 世界の労働者のたたかい③)
欧州労連は3月11~12日、ブリュッセル開いた執行委員会で第1次協議文書に関する決議(付属文書として「欧州労連の見解」を収録)を採択した。労連見解は「欧州労連のこの領域における行動への強力な支持にかんがみて、文書における分析内容面に関しても、提案されている措置に関しても、不十分さに失望を禁じ得ない」とする一方、「確かに、積極的な要素もある」として、「失望」と「積極的要素」の両面からのコメントをした後、「第二次協議において、さらなる野心的な対策の試み」をと、次のように求めている。
「そうした対策には、次の内容が含まれるべきである。
- 諸規定の調和と法的効果を確保するために、さまざまなEU指令において定められている情報・協議諸規定(欧州会社法指令、いわゆる欧州の『最良の順守』規定を基準として活用して法典化するための提案。環境問題に関する情報・協議権も確立されるべきであり、中小企業に関する情報・協議規定を拡充するために、さらなるイニシアチブが必要とされている。
- とくに、リストラ実施の場合の情報・協議を強化するための、欧州労使協議会指令の見直し。
- 企業に、雇用、労働条件、環境に影響を及ぼす変化および異動に関する年次報告の作成を義務づける指令あるいはEUレベルの枠組み合意。
- 変化を予測し管理する能力を強化するための――原則的に部門および地域別の――変化に関する欧州モニタリング・センター(EMCC)の展開。
- 変化および再訓練に関する構造基金の活動の策定および実行における各国レベルの労使関係当事者の役割の強化。
- 集中に関係したリストラ実施に関して、欧州委員会、権限ある各国当局の双方または一方とともに訴訟手続きを開始することに関する労働者代表の権利の強化について定めた規則4064/89の見直し。
- 技能および職業資格を維持し発展させるための、継続職業訓練への参加権の確立。欧州労連は生涯学習の領域におけるEU雇用戦略の強化を支持する。われわれは2002年3月に労使関係当事者間で合意された『行動の枠組み』の各国および部門レベルでの実行がこの領域における明確に定量化できる前進への指針をもたらすことを希望する。現行の職業訓練をつうじて労働者の能力を維持することなしに労働者を解雇する企業を罰するために産業上の変化に関する上級グループによって検討されたこの考え方は、依然として妥当性を保っており、さらに検討されるべきものである。
- さまざまな関連指令(集団解雇、企業間移動〔=既得権〕、欧州労使協議会の各指令)における、労働者の事前の情報・協議に関する規定の不服従の場合の、EUレベルおよび各国での制裁の強化。
こうして、欧州労連が積極的に推進する立場で望んでいるのに対し、経営者側の欧州産業連盟(UNICE)は協議文書受領直後の声明および今年3月8日の欧州委員会への回答で、現状以上の法的拘束に反対の立場を表明した。
■派遣労働の均等待遇をめざすとりくみ
派遣労働に関する欧州レベル労使間の交渉が2000年7月に開始された。しかし、交渉は2001年春、事実上、決裂した。この事態を受けて欧州委員会がイニシアチブを発揮し、2002年3月、指令案を提出した(ただし、この時点で加盟15国中、11国はすでに、派遣労働者の均等待遇を法制化していた)。
指令案(「派遣労働者の労働条件に関する欧州議会・欧州理事会指令案」)は主に次のような内容を規定している。
- 非差別原則 「派遣労働者はその派遣期間中、待遇上の差異が客観的理由によって正当化されないかぎり、職務上の年功〔勤続年数〕を含む基本的な雇用および労働条件に関して、少なくとも、利用者企業の比較可能な労働者と同等の有利な待遇を受ける。それが適当な場合、時間比例原則が適用される。」
- 派遣労働の質的改善(正規の良質な雇用への参入)1)派遣労働者に派遣先での正規採用の機会を与えるために、空きポストについての情報提供を保障する。利用者企業との間での派遣期間終了後の正規採用契約の締結を妨害されない。派遣企業による派遣労働者からの、正規採用見返り手数料の徴収の禁止。派遣労働者への派遣先企業の社会的サービス〔企業がその労働者に関する提供する便宜〕への参加・利用保障。派遣企業と派遣先企業はともに派遣労働者の職業訓練参入の改善に努める。2)派遣労働者は、労働者代表制の選出・指名基準に関して、派遣企業の労働者数に参入される。3)派遣先企業の労働者代表機関は派遣労働者の採用について通知を受ける。
同指令案に関する関係当事者・諸機関の検討は12月3日、欧州議会が第一読会を終了するにいたったものの、主に、使用者側が均等待遇の明記に抵抗していることのために、指令の採択には至っていない。
その98に続く 以上
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