「平成の船中八策」を実現する市民の会、その129[欧州連合における(トルコのEU加盟問題23)」
EU加盟国外相、トルコとの加盟交渉開始について協議 |
「キプロス外相の見解」
2005年9月1日付けの Die Presse (オーストリアの日刊紙)には、キプロスの Georgios Iacovou 外相のインタビューが掲載されている。記事の中で、同外相は、トルコのEU加盟問題 について語っているが、その概要は以下の通りである。 |
加盟交渉の開始に関する判断について 2005年9月1・2日、EU加盟国の外相は、トルコとの加盟交渉を 当初の 予定通り、10月3日に開始するかどうか決定することになっているが、 現在、EU理事会の議長国を務めるイギリスは、事前に特別会議を開催 すべきであった。加盟交渉の枠組みについて、これまで実質的な検討が なされていないのは受け入れがたい。 前回の外相会議(EU理事会)において、イギリスの Straw 外相は、 トルコとの加盟交渉が議題に上がるのを阻止しており、(トルコのEU加 盟に慎重な)オーストリア外相の発言を拒んでいる。9月の会議ではしっ かり協議しなければならない。 トルコ政府の承認拒否宣言について 関税同盟の拡大はキプロスを独立国家として承認するものではないと するトルコ政府の宣言くわしく は、キプロスだけではなく、その他のEU 加盟国を挑発するものである。この政治的な宣言にトルコは、独自の 解釈を与えることができるが、この宣言のために、加盟交渉の枠組み が修正される可能性があることも考慮すべきである。 EU加盟25ヶ国は新たな加盟条件について協議し、政治的声明を採択 することもできるであろう。トルコがこれを受け入れ、挑発ないし脅しを 繰り返さないことを望む。 キプロス政府や少なくとも5つの加盟国は、トルコの一方的宣言に よって関税同盟の拡大は無効になったと捉えている(つまり、関税 同盟の拡大に関する議定書への調印は法的に無効であり、交渉 開始要件は、まだ完全には満たされていない)。その ため、我々の見解によれば、加盟交渉は開始しえない。
トルコの宣言の法的効力については、EC裁判所が判断すべきで あるが、幾つかの加盟国はこれに反対している。なぜなら、同裁 判所は判断に3~4ヶ月を要するため、政治的判断の遅延をも たらすためである。 従来、キプロスは、厳格な承認をトルコに要求しているわけ ではない。関税同盟の拡大に関する議定書が制定されたこと のみでも、十分に満足しえたであろうが、トルコの近時の発言 は、我々の不信感をあおっている。キプロス政府は、トルコ が議定書を誠実に履行するかどうか、半年ごとに調査し、 否定的な結果が得られた場合には、加盟交渉の中断を 要請する。 拒否権の行使について 第3国のEU加盟は、加盟国の全会一致に基づき決定されるが、 キプロスは、トルコの加盟に反対票を投じるものではない。しかし、 この決定は最終的なものではなく、状況に応じて変更されうる。 フランスが拒否権を行使するよう働きかけたという説は誤り である。しかし、同国がキプロス問題を指摘したことには感謝 している。 |
(参照) | Die Presse v. 1. September 2005 ("Die Türkei provoziert nicht nur Zypern") |
その130に続く 以上
(2005年8月31日 記 9月1日 更新) |
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