「平成の船中八策」を実現する市民の会、その148[欧州連合における(トルコのEU加盟問題42)」
EU拡大の背景 ~ 東方拡大を中心として ~
ECは、第2次世界大戦後の経済復興(また、恒常的な経済発展)や平和の維持・確立などを目的として1950年代に設立された(EC条約前文および第2条参照)。1993年にEUに発展した後も、その基本理念は基本的に変化しておらず、むしろ強化されていると言えるが(EU条約前文、第1条および第2条参照)、1989年に冷戦が終結し、東西ヨーロッパ諸国の関係が再構築される過程では、さらに、市場経済、人権および少数派の保護、また、民主主義や法の支配の重要性が強く認識されるようになった。EU拡大の背景には、ヨーロッパにおけるこれらの基本原則の確立が潜んでいる。
とはいえ、一般のEU市民にとって最も関心のあるテーマは経済であろう。輸出依存型経済の代表格であるドイツは、東欧諸国への輸出が急激に増加している(90年代後半、EU加盟申請国への輸出は約250%増えている(Auswärtiges Amt, p. 7)。さらなる経済発展が予想される加盟申請国国は、現EU企業にとって新しい市場を提供しうる。
EU・加盟申請国間の取引の約50%には、ドイツが関与している。これは、ドイツ経済の約10%に相当する。また、EU拡大はドイツの国内総生産を0.5~1.0%押し上げると予測されている。また、ドイツは新加盟国の中で最大規模のポーランドと国境を接しており、同国の主たる貿易パートナーとしての利点が拡大するとされている。 この経済効果の他に、ドイツは、EU加盟国に取り囲まれることになり(もっとも、スイスとの国境は除く)、地理的に新しいヨーロッパの中心となる。とりわけ、旧東ドイツ地方やバチェコと国境を接する南ドイツ・バイエルン州の地域は、辺境地ないし僻地としての不利益から解放されることになる。もっとも、いわゆるEU国境の喪失は、隣接する新EU加盟国からの移住の影響を強く受け、失業問題を深刻化させかねないことが懸念されている。ドイツの経済研究機関の予測では、EU拡大が実現した最初の年、22万人の労働者がドイツ国内に移住するとされている。なお、年間の移住者数は、10年内に半減すると予測されているが、ドイツ国内に居住する新加盟国の国民は、55万~250万人に上るとされている。さらに、国境付近の都市には、新規加盟国からの通勤労働者が増え、魅力的な都市では、全労働者の約10%を占めるに至ることが想定されている。産業別では、手工業、特に、建設業は低価格競争に対抗しえないと考えられている。
その149に続く 以上 |
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