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2010年11月 2日 (火)

「平成の船中八策」を実現する市民の会、その178[欧州連合における(廃棄物処理の現状②)」

第1章 欧州連合における廃棄物問題

1.廃棄物の総量

 欧州連合15ヶ国で発生する廃棄物の総量は年間17億トン程度で,そのうち家庭廃棄物は1.3億トン,工業廃棄物が3.3億トンを占めている。残余の12億トン余は農業廃棄物(8億トン),鉱業廃棄物(3.5億トン),エネルギー製造過程廃棄物(0.57億トン)で他に建物解体の過程で発生する廃棄物や下水の汚泥がある。
 廃棄物の総量とその中に含まれる危険物質の量は著しく増加した。廃棄物の適正な処理が行われなかったため,土壌や地下水の汚染が多発し,住民の健康に害を与える例も起こっている。既存の最終処分場は,いずれの国でも逼迫し飽和状態になりつつあるが,それにも拘らず,新たな処分場の建設は,地域の住民の反対もあり,増々困難になっている。特に人口密度の高いベネルクス諸国では,廃棄物処理施設の建設により生活環境が悪化しないよう厳格な建設基準が適用されている。このことが施設の建設を一層困難にさせている。

2.廃棄物の種類

 欧州連合の定義による廃棄物には次の種類がある。
(1) 家庭廃棄物
(2) 工業廃棄物
(3) 農業廃棄物
(4) 鉱業廃棄物
(5) エネルギー製造過程廃棄物
(6) 下水汚泥
(7) 浚渫土
(8) 建設廃材
(9) 医療廃棄物
(10) 放射性廃棄物
 このうち最も量が多いのは,農業廃棄物で以下鉱業廃棄物,工業廃棄物と続き,家庭廃棄物は比較的少ない。主要廃棄物の量は表1のとおりである。
(注)日本の「産業廃棄物」は,上記の(2)~(9)の廃棄物を包含している。

3.廃棄物の内容

(1) 家庭廃棄物
 家庭廃棄物には,有機物,紙,プラスチック,ガラス,金属等がある。容量が最も大きいのは有機物,特に食品滓や庭木である。リサイクルの努力にも拘らず紙類も多い。さらに,プラスチックの多いのが先進国集団である欧州連合の特色である。

  表1、欧州連合における主要廃棄物発生量(1990年現在)

     廃棄物の種類             数量(億トン)

      農業廃棄物               8.0

      鉱業廃棄物               3.5

      工業廃棄物               3.3

      家庭廃棄物               1.3

      エネルギー製造過程廃棄物     0.57

      その他                  0.3

  

(2) 工業廃棄物
        多様な物質が混在しているため処理や廃棄が難しい。特に有害な

        産業廃棄物は,溶剤,塗料,重金属溶解液,酸,油性物質である。
(3) 農業廃棄物
         穀物の枝葉,家畜の糞尿等であるが,高濃度な殺虫剤の残滓を

         含んでいるため処理が難しい。農業廃棄物から得られるバイオガス

         をエネルギーとして利用する方法が開発されている。
(4) 鉱業廃棄物
       大部分が表土,岩,泥で,これらは化学変化を起こさない。

         そのほか鉱滓もあるが,これは金属や化学物質で汚染されている。
(5) エネルギー・製造過程廃棄物
        エネルギー製造過程で生じる灰が主である。
(6) 下水汚泥
        家庭・工場廃水の処理の結果発生する。一般に重金属や

         有機化合物を含んでいる。
(7) 浚渫土
        港湾や河川の浚渫により地上にもたらされた土塊で,

        有害な重金属を含んでいる。
(8) 建設廃材
        建造物等の解体作業の際発生する廃棄物で,アスファルト,

        コンクリート,鉄,木材,セメントのほかアスベストのような

         毒性の物質も含まれている。
(9) 医療廃棄物
        施療の過程で発生する廃棄物で,健康に害のある汚染

        された物質を含み,他の家庭廃棄物とは別に処理する必要がある。
(10)放射性廃棄物
     放射性を持つ危険廃棄物で,特別の法律により別途

        処理されている。

           その179に続く               以上

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