「平成の船中八策」を実現する市民の会、その183[欧州連合における(廃棄物処理の現状⑦)」
2.個別的減量対策
特に問題の多い廃棄物すなわちプラスチック,容器包装物,塩素溶剤,古タイヤ及び使用済車輌については,個別的に減量対策を検討することが望ましい。
(1) プラスチック廃棄物
プラスチックの生産と消費は過去30年間に著しく増加した。プラスチックは用途が広く,原料として他の物質に取って代りつつある。特に金属,木,ガラスに代ってプラスチックが使われる分野が増えている。窓枠,床材,壁材等建築資材や家庭用汁器,自動車部品,電気製品等に広く使われている。これに伴い,プラスチック廃棄物は経済活動のあらゆる分野で増加しているが,特に家庭廃棄物の中で増加が目立っている。欧州連合内では1960年当時よりプラスチック廃棄物が8倍にも達している。
プラスチックの処理方法には,埋立及び焼却がある。埋立で問題となるのはプラスチックが変成しないこと及び容積が大きいことである。焼却での問題は,塩化ビニール(PVC)は焼却に際し塩化水素酸化物を発生し,有毒なダイオキシンを形成させることにある。さらにプラスチック廃棄物には重金属も含まれており,焼却によって生じる残滓が起こす汚染が問題となる。
プラスチック廃棄物の処理の影響を緩和するために以下の方法がある。
ア | プラスチックに含まれる有害物質の量を減少するとともに一部を他の物質により代替させる。 |
イ | 使用期間を長くするよう製品を改良する。 |
ウ | プラスチックの代替物を使う。 |
(2) 容器包装廃棄物
ア 現状
プラスチックの1/3は容器包装用に使用されている。特にその中でペットボトル,パッキング,包装用バッグが多い。
容器包装物は短期間の使用後すぐに廃棄されるという特性がある。
プラスチックや段ボール箱が家庭ゴミの中に多くなったのは,消費物質の中で容器包装物が増加したためである。欧州連合内で容器包装廃棄物がどのくらい発生するか正確な統計は作られていないが,家庭廃棄物のうち重量で30~35%,容積で50%を容器包装廃棄物が占め,そのうち再利用されるのは10~15%程度と推定されている。
欧州連合は,容器包装廃棄物を減少させるために廃棄物処理方法に関する規則を制定し,これが1996年6月から実施されている。その目的は,
(ア) 過剰包装をしない。
(イ) 包装品を環境に害の少ない物によって置き換える。
(ウ) 再利用を促進する。
と規定されている。
その結果,2001年6月までには容器包装廃棄物のうち重量で50~65%が再利用されることが期待されている。
イ 欧州連合各国における容器包装物減量の試み
既に欧州連合内の一部の国では,廃棄物減量のための共同研究が行われている。
(ア) | オランダでは,政府と包装品製造業界の間で協定が結ばれ, 2000年までに生産量を10%減少させて,1986年の生産水準以下 に保つよう目標が定められた。 |
(イ) | ドイツでは,容器包装廃棄物の再利用面で,欧州連合で最も 先進的な措置がとられている。 促進するため,産業界が瓶や缶,包装箱等使用済包装品の 回収を行い,再利用するよう指導が行われている。この回収 作業は,次のとおり三つの用途別に行われている。 この回収費用を賄うため,3,000以上の会社が共同で消費者 から包装品を引き取るための機関を設立した。この事業実施 のために製造された包装袋には緑のエコマークが印刷されて おり,1袋について0.1EUROが付加されている。年間10万 EUROが徴収される予定で,これが事業の運営費として使 われている。 減少した。もっともこの事業の結果,必要以上の包装物が 回収され,市場価格に影響を与えている。 その184に続く 以上 |
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