「平成の船中八策」を実現する市民の会、その194[欧州連合における(再生可能エネルギー開発問題③)」
今後の見通し(目標達成率:215%)
EU 委員会が策定した風力開発長期計画には、2003 年に1,000 万kW、2010 年4,000 万kWの開発目標が掲げられているが、開発実績はこの目標を大きく上回っている。2001 年にすでに2003 年の目標値1,000 万kW を750 万kW 以上も上回っている。長期計画の最終年である2010 年の4,000 万kW についても、専門家は、2006 年には達成されると見ており、2010 年に8,500 万kW と、目標の2 倍以上に到達すると想定している(図-1参照)。
図ー1 風力開発に関するEU 目標値との比較図(単位:MW) EurObserv'ER 2002
年 実績 EU目標値
2001 17535 0
2003 27760 10000
2010 85000 40000
風力発電開発は、再生可能エネルギー開発分野における優等生であり、経済性においても石炭火力を上回り、ところによってはガス火力と匹敵するまでに成長している。
1-3 液体バイオ燃料
液体バイオ燃料は、2 種類の燃料に分かれる。その1つは、
エタノールといわれるもので、ETBE(ethyl-tertio-butyl-eter)
に改質されて、ガソリンエンジンの添加物として利用され
る。もう1 つは、バイオディーゼル燃料で、ディーゼルエンジン
の添加物に使われる。なお、ある種のエンジンは、純粋な
エタノールやバイオディーゼル燃料を直接使用すること
が出来るが、エンジンを変更することなく使用できる混合燃料
として利用するのが一般的であり、EU 各国も混合燃料の
規格を定めて普及を図っている。
1990 年代のはじめから、欧州における液体バイオ燃料生産
は一貫して増えてきている。ビート、コーン、大麦、小麦の発酵
によって生成されるエタノール生産は、1993 年に47,500
トンであったものが2000 年には191,000 トンと、4 倍にも
拡大している(表-2参照)。
表-2 EU加盟国におけるエタノール生産(単位:トン)
EurObserv'ER / Ademe - 2001
年 エタノール生産量
2000 191000
1999 110850
1998 117900
1997 103370
1996 80340
1995 57900
1994 58500
1993 47500
しかしながら、EU 加盟国のうち、液体バイオ燃料生産に
熱心な国は3カ国に過ぎない。その第1 の生産国はフランス
である。フランスは2000 年に91,000 トンを生産した。第2 の
生産国はスペインで、急速に生産高を上げてきている。
1999 年に操業を開始したスペインのカタジェナ生産設備は、
2000 年には大麦を主たる原料としてエタノール80,000 トンを
生産した。第3 の生産国は、スウェーデンであるが、
規模は格段に落ちる。2000 年時点で
20,000 トンの生産設備を試験的に稼動しており、翌年には、
40,000 トンの新規蒸留設備を建設、運転開始している。
菜種油などの油性植物から抽出されるバイオディーゼル
燃料についても、生産量の増加が注目される。1992 年に
55,000 トンであったものが2000 年には700,000 トンに拡大した。
このうち、フランスは、最大の生産国であり、一カ国で47%、
生産量で328,600 トンをEMHV(methyl ester from vegetable oil)
の形で生産している。ドイツが第2 位で246,000 トン、
その他、イタリア78,000 トン、オーストリア27,600 トン、
ベルギー20,000 トンのバイオディーゼル燃料をそれぞれ
生産している。
今後の見通し(目標達成率:70%)
現在までの生産増加傾向からみて、EU 委員会が設定した
液体バイオ燃料生産の2003 年目標値、480 万トンは達成
可能である。しかしながら、現在の増加率で経過すると、
2010 年目標値1700 万トンに対しては500 万トン程度不足
することになる。この結論は、増加傾向線からの判断で、
定量的な計算からの結論ではないが、ただ言えることは、
2010 年の目標値を達成するためには、2003 年に改めて
加盟国に、より一層の努力が求められるということである(図-2参照)。
その195に続く 以上
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