「平成の船中八策」を実現する市民の会、その247[欧州連合における(再生可能エネルギー開発問題56)」
4-4 バッテンファル電力会社の風力開発
4-4-1 スウェーデンの風力資源
スウェーデンは、西風ベルト地域に位置し、強風地帯が多く風力開発
に有利である。2001年時点で、約590 の風力タービンが稼動しており、
その数は年々増加している。風力タービンは、主として、スウェーデン
南部のスケーン(Skåne)地域の西海岸地帯並びにオーランド島
(Öland)とゴットランド島(Gotland)に建設されている。18 基の洋上風
力設備を除いて、全て陸上設置である。
風力発電がスウェーデンの電力消費に占める比率は、現在時点では、
ごく僅かであるが、その伸び率は大きく6 年前に比べて10 倍にもなっ
ている。長い目で見て風力は、電力供給分野においてより大きな役割
を果たすことになると期待されている。
風力発電に関する政府の調査研究によると、スウェーデン全体で、
陸上設置の風力発電により30 億kWh から70 億kWh、洋上風力発電
により200 億kWh の電力が得られるとのことである。
4-4-2 バッテンファル社の風力開発研究
(1) 風力タービンの大型化
バッテンファル社は、風力発電の研究開発に25 年の経験をもっており、
風力市場でも先頭を切っている。1 例を挙げれば、バッテンファル社が
開発したLyse2風力タービンは、2枚羽根風車で、スウェーデンで最新
の軽量機種である。このデザインは、その後、Nordic1000(図-2)に
発展している。Nordic1000 は、Lyse2と同じ技術に基づいているが、
Lyse2 の2 倍以上の出力がある。一般に、出力が大きくなればなるほど
発電コストは低くなる。バッテンファル社によって建設されたネースデン
(Näsudden)Ⅱ風力発電所(ゴットランド島)の風力タービン出力は3MW
であり、スウェーデンはもとより欧州でも最大ユニットである。
図-2 Nordic1000
(2)寒冷地における風力発電
1998 年にバッテンファル社は、Stora Lule River valley 峡谷上流の
Suorva 北極地域にスウェーデンで最初の風力プラントを建設した。
このプラントは、“Lappish の風力男”を意味するBiegg-Ål`mai の
コードネームがつけられ、寒冷地における風力プラントに関する重要
な経験と知見をもたらした。風車翼の氷結を防止するための
ヒーティング装置や風速・風向きを測定するためのセンサー、氷結検
知装置、ギア・ボックス暖房装置等の付帯装置に関して重要な情報
が得られた。また、深い峡谷によるトンネル効果により、平均風速
7m/s 以上の強風が得られることが判明した。
(3)洋上風力発電
バッテンファル社は、スウェーデン南部のBlekinge 郡の東海岸沖に洋
上ウインドファームを建設するために、パイロットプラントを設置して調
査研究を進めている。建設に必要な全ての許可を得るには1年以上
が必要なので、建設に着手するまでには早くとも2003 年以降となる。
第一段階として、3.5MWの風力タービン3基ないし7 基の建設を予定
している。(4)水力発電と風力発電との組み合わせダム式水力発電
に風力発電を組み合わせると非常に良い結果が得られる。風力発電
が稼動している期間、水量がダムに蓄えられ、風が無くなった時には
水力発電が風力発電を代替する。さらに好都合なことには、ダムの貯
水量が少なくなり、かつ、電力需要がピークとなる冬季において、風力
発電は最大の出力が得られる。このため、バッテンファル社は、自社
所有の水力発電所に風力発電所を建設する計画を進めている。
表-5に、バッテンファル社が所有運転する風力発電設備を示す。
その248に続く 以上
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