「平成の船中八策」を実現する市民の会、その254[欧州連合における(再生可能エネルギー開発問題63)」
4-6-3 電力需給
(1)電源構成
フィンランドの電源構成は、他の北欧諸国とくらべ、水力比率が低く
火力比率が高い。2001年の供給電力量816 億kWh の電源別内訳は、
火力44.6%、原子力26.8%、水力16.3%、純輸入(輸入-輸出)12.2%、
風力0.1%となっている。なお、火力による供給電力量の7割は、熱併
給発電によるもので、これが同国の発電熱効率を世界的にも高い水
準に高めている理由である(表-7参照)。
表-7 フィンランドにおける発電電力量および消費電力量
(単位:100 万kWh)
発電電力量(送電端)
年 水力 風力 火力 原子力 計 輸入 輸出 消費
CHP※ 電力量
産業 自治体 従来型など
1995 12,788 11 9,450 11,267 8,897 18,128 60.541 8,501 96 68,946
1996 11,704 11 9,705 12,470 13,788 18,679 66,357 5,367 1,706 70,018
1997 11,795 17 10,940 12,271 10,876 20,051 65,950 8,103 450 73,603
1998 14,777 23 11,980 13,248 6,320 20,976 67,324 9,582 276 76,630
1999 12,547 49 12,034 12,810 7,155 22,060 66,655 11,356 232 77,779
2000 14,453 77 11,740 12,718 6,715 21,575 67,278 12,206 326 79,158
2001 13,287 71 11,465 14,409 10,534 21,879 71,645 11,769 1,810 81,604
(出典)フィンランド通産省
※ CHP=熱電併給発電
(2)火力発電用燃料構成
2001 年における火力発電用燃料構成は、石炭46.7%、天然ガス
28.3%、泥炭(ピート)を含むその他のバイオマス(大部分が製紙過
程で発生する黒液利用)23.0%、石油2%となっている。第一次石
油危機以降、原子力の導入、天然ガスの導入、バイオマスの利用
など、脱石油に努めた結果、石油の発電用燃料に占めるウエイト
は、石油危機時の1973 年の50%超から、2001 年には2%にまで激
減している。今後は、CO2 削減のために石炭の使用を減らし、天
然ガス、再生可能エネルギーの利用が一層高まるものと思われる。
4-7 まとめ
以上のように、ベルギーとスウェーデンの2 国が再生可能エネルギ
ー開発促進のためにグリーン証書制度を採用するとしているのに
対し、フィンランドは開発補助金と炭素税の組み合わせで対応しよ
うとしており、RES 制度導入する予定は無い。フィンランド政府は、
グリーン証書制度よりも補助金制度や戻し税制度のような直接的
かつ確定的支援策のほうが効果的と考えている。直接的支援策
の典型的な事例としては、ドイツ、スペインの固定価格買上制度
(Feed-in tariff 制度)が挙げられる。この制度は、グリーン電力を
長期(15~20 年)にわたり一定価格で買い上げることを保証する
もので、投資家にとっては、将来の見通しが可能となり、リスクの
軽減となる。ドイツやスペインが固定価格買上制度の導入により、
風力開発で大きな成果を挙げている。また、グリーン証書制度は、
大規模開発者に有利となり、NGO 等のような小規模開発者に不
利となるとの意見がスウェーデンのエネルギー関係者から聞か
れた。最後に、二酸化炭素排出権の国際間取引制度(CO2
Emission Trading)の導入問題についての欧州各国の対応は、
様子見の段階にとどまっているといえる。EU 議会は、CO2 排出
権の取引制度のEU 大での導入を考えているが、加盟各国の国
際間取引に対する熱意は低く、各国の検討が進んでいるとはい
えない。各国のCO2 排出の違いがあることに加えて、取引制度
導入にあたって必要となる公平で妥当なCO2 排出権割り当てが
困難であることがネックとなっている。このため、何時からEU 大
での実施が可能となるか否か、現在のところ見通しが立ってい
ない。EU 担当者から、実施のためのEU 議会の手続きだけでも、
最短時間で1.5 年~2 年の検討期間が必要との見解が示された。
その255に続く 以上
« 米国 ついに破産か? | トップページ | インドネシア・クラカトワ火山噴火始まる! »
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- 中国の抗日戦争記念日の軍事パレード後、ロシアと朝鮮が軍事的な連携をアピール(2025.09.15)
- ドイツで地方選挙を目前にして「保守系の政治家6人が相次いで死亡」という不自然な事態が勃発(2025.09.17)
- 「抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利80周年」への「呼び水」として開催された「上海協力機構首脳会議」の最大のテーマは、日本をいかに取り込むか、その「懐柔策」が真剣に話し合われたという(2025.09.21)
- 世界の5大権力センター パート3(全3回シリーズ)(2025.07.08)


コメント