「平成の船中八策」を実現する市民の会、その279[欧州連合における(言語問題⑮)」
遺伝子工学は私たちみんなのこと
スウェーデン語に適切な専門用語が存在しなければ、専門家と専門
家以外の人々の間のコミュニケーションは、困難に満ちたものになる
かもしれません。私たちスウェーデン人がスウェーデン語で、遺伝子
工学や国民経済について議論できるということは、非常に大切なこと
なのです。新たな発見がスウェーデン語で普及しなければ、スウェー
デンの企業がそれらの発見を利用できる可能性は減ってしまうでしょう。
分野の消失は、雪だるま式にどんどん周辺の分野を引き連れ、大き
くなってしまいます。今日のスウェーデンがいい例です。スウェーデン
の小学校、中学校、高校では、その後に続く高等教育の大部分が
英語で行われている現状を踏まえ、ますます英語による教育を増やし
ています。
家庭の言葉
もし様々な分野がスウェーデン語から次々と姿を消していったら、
社会に大きな反響を引き起こすでしょう。スウェーデン語はもっぱら
日常語や家庭の言葉として使われ、英語がスウェーデンの公用語
(学校および職場、行政機関などで使用される言葉)として使われる
というような結果になるかもしれません。このような地位の「高い」
言語、「低い」言語が存在するという現象は、そう珍しいことではあり
ません。例えば、以前植民地だった国などでは、国民の大多数が
母国語を別にもっているにもかかわらず、植民地時代の言語が、
今でも学校で一般的に使われているのはよくあることです。しかし、
これらの国でみられる前例は、あまり好ましい例とは言えないようです。
それどころか、教育が貧しい成果しか生み出せず、社会的緊張まで
招く、間違いなく不健康なものなのです。
みなさんは、私が単に大げさに話しているだけだと思うかもしれま
せんが、残念ながらここで述べていることは事実なのです。
競争力をつけるか、消えるか
私たちが気がつかないうちに、スウェーデン語はだんだん衰弱して
います。いずれ同じスウェーデン人でも、英語を話せる人と話せない人
の二つのグループに分かれてしまうでしょう。スウェーデン語が邪魔
な存在となり、地域社会に息づく豊かで自立した言葉としては、もはや
機能しなくなるでしょう。これは民主主義を脅かすものです。そんな
状況にスウェーデンが陥ってしまったら、今さらエスペラント語を導入
しようとしても、もう遅いのです。そうなると、日々国際化が進むこの
競争の激しい世界で、スウェーデンがその地位を守り続ける道は一つ
しか残っていません。英語で教育を受けた学生の割合を増やすしか
ないのです。競争力をつけるか、または消えていくかの二つしか、
選ぶ道はないのです。スウェーデン語が。英語に取って代わること
などまずあり得ません。この激しい国際競争を必死で乗り切ろうと
しなければ、再び私たちがこの高度に発達した福祉制度を手に入
れることは不可能でしょう。より多くのスウェーデン人が英語を自由
に話せるようにならない限り、この科学技術の上に築かれた世界
市場で生き残ることはできないのです。
スウェーデン語の勉強はそんなに大切じゃない
スウェーデンでは、自分の子どもを、英語で教育を行っている中学、
高校に入れようとする親が増えています。語学教師の話によると、
子どもにはしっかり英語を勉強して欲しいが、スウェーデン語はそれ
ほどきっちり学ばなくてもかまわないという親もいるそうです。確かに
この英語社会では、小学校に上がったときから、すべての教育を
英語で行った方がいいのかもしれません。
仮に、私たちスウェーデン人が英語を話す国民だとしたら、EUに
おけるスウェーデンの発言力はもっと大きかったのかもしれません。
英語を話すEUと、アメリカ、カナダ、オーストラリア、その他の英語
圏の国が一緒になって、英語以外のほとんどの言葉を社会の進歩
から取り残しつつ、願わくは、長期的に英語の占拠する世界を作
ろうとしているわけです。このこと自体は、私が理想とする、すべて
の人が互いに意見を交わせるよりよい世界になるわけですから、
よりよい世界につながると言えるのかもしれません。
その280に続く 以上
« 遂に発覚!9/14の小沢氏に対する起訴議決は無効であった! | トップページ | 太陽への訪問者は一体何? »
コメント