福島原発から遠い横浜市の家庭菜園で
福島第一原発から遠い横浜市の家庭菜園で、放射能汚染の早期低減に取り組む
家庭菜園で育てた野菜はスーパーにある野菜と異なり、誰も放射能を計測し、チェックしてくれません。又、出荷制限をされることも有りません。自分で考え行動しなければなりません。化学肥料の使用を減らし、無農薬で有機栽培に近い栽培方法で野菜作りをされている方が多いように見受けます。私もその一人なのです。一般農家と異なり、除草剤、土壌消毒、農薬散布をしないために、微生物の多いキノコ類が畑のあちこちに出る様な赤土のカリウム不足の畑が私の畑です。作物が放射性セシウムを吸いやすい環境なのです。
2011年3月15日の福島第一原発の事故により発生した放射能雲が横浜市上空を通り、静岡県まで流れました。詳しくはこのブログ「東北・関東への希ガスの到達時刻について」を参照ください。
横浜は3月21日の降雨により上空に漂う放射性ヨウ素、放射性セシウムが雨と共に降下し畑を汚染しました。
放射性ヨウ素は半減期8日と短く、水に流れ易いので7月1日で102日経過しており102/8=12.8、0.5の12.8乗倍=1.4E-4倍、1万4千分の1になっていますので問題ありません。ここで問題になるのは放射性セシウムCs-137(半減期30年)Cs-134(半減期2年)です。セシウムは土壌に降下するとカリウムと同様に1価の陽イオンとしてふるまいます。土壌は負の電荷を帯びているため、正電荷を帯びた陽イオンを引きつけ、土壌の表面にとどめる性質があります。年に数ミリしか地下に潜っていかないとのデータも有ります。
作物はその根から放射性セシウムを吸い可食部に取り込みます。これを食べれば内部被曝となり、外部被爆を心配する必要のない横浜でも注意しなければなりません。NHKテレビで毎夕放送している放射能のモニタリングデータを見て安心していてはいけないのです。最近、横浜の市民グループが独自に市内のミニ公園の土壌汚染のデータを公開しました。その数値は放射線管理区域の6倍にもなる値です。警告と見るべきと思いました。
今までは私の畑(54坪)では何も対策をしてきませんでしたが、1年以内の除染を目指して取り組みを始めましたので紹介します。
①植物を使って汚染土壌などに含まれる有害物質を分解したり、無害化する方法を、ファイトレメディエーション(phytoremediation)というそうです。舌を噛みそうな方法です。
ヒマワリ、青カキチシャはセシウム、ストロンチウムの集積能力が高いのでこれらの作物を植えて土壌のセシウムを早期に吸い上げます。枯れたヒマワリ、青カキチシャは家庭ゴミとしてゴミ回収に出します。
②カリウムイオン(K+)は植物へのCs-137(やCs-134)イオンの吸収を抑えます。
私の肥料は、米糠、油粕をEM活性液(乳酸菌)でぼかしたものにカリウム不足にならないように剪定屑堆肥の「はまっ子ユーキ」を混ぜたものです。1kg当たりのNPKは5g-5g-5g/kgに調整しています。今回、カリウム過剰にするために「はまっ子ユーキ」を5kg/m2入れました。
③アンモニウムイオン(NH4+ )はCs-137(やCs-134)イオンの土壌吸着を抑える(土壌からの分離を促す)と言われています。
ヒマワリをファイトレメディエーションのために植えつけました。この際、硫安を入れ、カリウムの多いボカシ肥料、「はまっ子ユーキ」を使うのを止めました。
④土の中の粘土に含まれる鉱物(粘土鉱物)には色々な種類がありますが、その中には、セシウムを閉じ込めるのにちょうどいい大きさの穴を持つものがあります。このため、セシウムは他の陽イオンに比べ、土にしっかり保持されて、離れにくくなります。
落花生の苗を植える際に株の間にモンモリナイトを埋めました。台所で使用する水切りネットに粘度鉱物のモンモリナイトを入れ、それを埋め込みました。深さは5cm程にしました。セシウムを吸い込んでくれることを期待しています。落花生の収穫時に掘り出し、家庭ゴミに出します。
⑤畑に生える雑草は引き抜かず鎌で刈り、引き抜かないようにします。夏ならば直ぐに草丈が元に戻ります。又、鎌で刈り家庭ゴミに出します。草がセシウムを吸い上げて畑を綺麗にしてくれます。ちなみに、オオイヌタデ,、オオブタクサ、ギシギシ等が除染効率のよい雑草といわれています。
⑥私の畑は従前より、不耕起栽培、草生栽培、混植栽培を目指していましたので、畑に生えたものは畑の外に持ち出さず敷草にしたり、深さ50cmの溝を掘り埋めて米糠をかけて発酵させていましたが、すべて畑の外に持ち出すことに変更しました。ただし、5cm以上耕耘しない不耕起栽培はセシウムの拡散防止となるので続行します。
放射能除染に興味のある方は下記のページを参照してください。
放射性セシウムに関する一般の方むけのQ&Aによる解説
日本土壌肥料学会は今回の震災に当たり全力でバックアップしています。
農耕地の安全性について不安の声に応えて、放射能汚染問題に対応するためには、「土の中での放射性物質のふるまい」や、「土に入った放射性物質が作物にどれくらい吸収されるのか」などに対する知識が必要とされます。
そこで、「社団法人日本土壌肥料学会土壌・農作物等への原発事故影響WG」によってまとめられた、これまでの土壌肥料学の研究成果から、判断の手助けになるような情報をQ&A形式にまとめました。
「土壌・農作物等への原発事故影響WG」としての提言集
日本土壌肥料学会はこれまでの知見を踏まえ、「土壌・農作物等への原発事故影響WG」としての提言をまとめた。7回に分けて発信されたものを一つのPDFにまとめました。
土壌の放射能汚染をどう考えるか
東大農学部 森敏「WINEPブログ」よりとりまとめ
植物への放射性セシウムの集積
The Genetics of Radiocaesium Accumulation by Plants
この論文の中では44種類の植物を調べて植物の地上部のセシウム含量は同じ部位のカリウム含量と強い負の相関にあること。又、培地のカリウム含量を増やすと地上部のセシウム含量が減少すること。逆に培地のカリウム含量を減らすと地上部のセシウム含量が増えること、等が述べられています。
参考リンク
神奈川県内の農用地土壌の放射能濃度について_平成23年4月8日
神奈川県内の農用地土壌の放射能濃度について_2011年6月10日
WINEPブログ
acchyの本音トーク
社団法人_日本土壌肥料学会_お知らせ原発事故・津波関連情報
山﨑農業研究所「耕」最新号(第125号)2011年5月31日発行
財団法人・環境科学技術研究所の調査研究活動報告会(平成22年度) 環境中での放射性物質の動きを調べる
ブラウザで動く放射線・放射能の単位換算ツール(簡易)
水稲による特異的セシウム吸収の機構
小麦およびソラ豆による土壌よりのSr90、Cs137の吸収と作物体内の分布
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