米住宅ローン担保証券、2,000億ドル訴訟の行方そのー④
米住宅ローン担保証券を不適切販売
17金融機関“2000億ドル訴訟”の行方
レプワラ問題が投資銀行にまで拡大
そして、今回の訴訟が注目されている点がもう一つある。それは、銀行を対象とした住宅ローン債権の「買い戻し問題」が、投資銀行にまで飛び火したことだ。
じつは、10年夏頃からバンカメなどの米銀に対し、住宅ローン債権を買い戻せという訴訟が頻発している。銀行が貸し出した住宅ローン債権をファニーメイやフレディマック、投資銀行などが買い受け、それを証券化して投資家に販売するが、住宅ローンの返済が焦げついた際にはファニーメイとフレディマック、保証会社が立て替え払いをすることになっている。この立て替え払いの保証を付けるために債権を売った銀行に対し、住宅ローンの内容表示に虚偽があれば買い戻すという“表明保証”を付けさせている。
そして実際に返済不能が多発し、内容を調べてみるとローンの属性に虚偽が見つかり、表明保証に基づいて住宅ローン債権の買い戻しが行われているのだ。この表明保証の英単語の頭文字を取って「レプワラ問題」と呼ばれている。
これら買い戻し訴訟を受けたバンカメなどは和解金を支払ったり、多額の引当金を計上することで幕引きを図ろうとしていた。その矢先に今回の訴訟が発生した。
住宅ローンの内容に虚偽がある点で両者は同じだが、これまでは住宅ローンの貸し手である銀行がターゲットだったが、今後はRMBSを販売したことがある投資銀行もすべてターゲットになった。
つまり、今回の訴訟ではファニーメイとフレディマックの2社にRMBSを販売した金融機関しか訴訟の対象となっていないが、この2社以外にRMBSを販売した投資銀行も今後、提訴の対象となる可能性があるということだ。
もっとも、ドイツ銀行などは「断固として闘う」とするなど、「買い手側もプロの金融機関」(伴豊・SMBC日興証券シニアクレジットアナリスト)と見る向きもある。どこまで損害賠償が認められるかは未知数だ。しかし、ファニーメイとフレディマックには1644億ドル(約12兆6588億円)もの公的資金残高がある(11年3月末)。国民感情を抑えるための見せしめとして、投資銀行がターゲットとなった可能性も否めない。今後の動向に注目である。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 藤田章夫)
以上は「DIAMOND ONLINE」より
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