頭の良い人とそうでない人の差は何処に、その対策は!-その②
「頭のいい人とそうでない人の差はどこでつく?」
『知性誕生』の著書で脳科学の権威が語る
“インテリジェンス”の正体とその高め方
――ジョン・ダンカン ケンブリッジ大学名誉教授に聞く
―― 一般因子(general factor)のことか。
そうだ。ただ、彼は単純に「g」という呼び方を好んだ。スピアマンは、学校の成績と基本的な感覚能力にプラスの相関関係があることを発見した。(教科に関する)学力テストで優れている者は、2つの音や重さの弁別能力を測る感覚能力テストでも良い成績を収める傾向が見つかった(たとえば、学校でラテン語ができる子どもは、感覚能力テストでも成績がよかった)。
むろん、先述したように、日常生活で一つのことに秀でていても、他のことが苦手な人はいるので、この結果を鵜呑みにはできないが、それでも全体的な傾向としてはプラスの相関関係があることは示されている。
――それは生来の能力か。
流動性知能は、スピアマンの「g」の測定では、かなり遺伝によるもの、つまり先天的であることがわかっている。
しかし、残りの部分は、じつは環境によるものが大きい。私にとってはその部分の方が興味をそそる。というのも、この一般的な認知能力がどのように発達するかを決定するのは環境上の経験であるからだ。となると、人生のかなり初期すなわち幼年期の経験は特に重要である可能性が高いように思われる。それが社会上、文化上のバックグラウンドが異なる人の中でどのくらい影響するかを私は知りたい。遺伝的な要素についてはほとんど何もできないが、環境の要素は変えることができるからだ。
――言い換えれば、人は環境を変化させたり訓練を受けることによって自分の知能指数を向上できるということか。
訓練を通じて一般的な認知能力を向上させることができるかについては、沢山の研究が行われているし、実際に多くのプログラムがある。なかでも、スウェーデンで開発中のworking memory(作業記憶)の訓練プログラムは、有名だ。これは、子どもの作業記憶の容量を向上させるために、覚えるべきことの内容を徐々に難しくしていくものだ。
ただ、普通の人を訓練するときに一つのことを上達させることははるかに簡単だが、それがそのまま別のことまで上達させるとは限らない。これが教育の悲しい現実である。ギリシャ語を学べば、ギリシャ語のことはたくさん覚えるが、それが一般的な記憶までよくするかというと、その証拠はあまりない。
また、本にも書いたように、大切なことは、知能を使う行動はそれがいかなるものであっても、いくつの部分に分けて考える必要があるということだ。各部分は個々に取り組むものなのだ。このことは、問題解決のためにコンピュータのプログラムを作成するときや人工知能を作るときにも明らかである。
以上は「DIAMOND ONLINE」より
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