太陽のカオスは続く
2011年10月20日
太陽のカオスは続く
わたしたちは「この数百年ではじめて人類が見る太陽の挙動」の前にいるのかもしれない
(訳者注) 今回の記事は、先月あたりから何度かふれている「太陽活動の異常」についての続きで、太陽の現在の状態の報告となります。
前の関連記事は、
です。
上のふたつの記事の要点は、一点に集約すると、
・黒点が劇的に増えているのに太陽フレアの規模は小さくなっている
ということを書いています。
太陽活動というのは、普通の場合は単純な話として、
A 太陽活動が活発になる → 黒点が増える
B 黒点が増えると → 太陽フレアなどの太陽表面での活動が活発になる
ということになるのですが、これが「A」で止まっているという話でした。
黒点はものすごいペースで増えているのに、太陽活動が伴わない。
前2つの記事では、「しかし、そのうち事態は通常に戻るかもしれない」としいうようにしたのですが、戻るどころか、太陽活動の静かな状態は異常なほどになっています。
まず、太陽フレア活動ですが、これは、 NICT にある10月に入ってからの太陽フレアの最大値です。
「大きめのフレア」というのは「Mクラス以上」の太陽フレアのことを指します。本来ならこの(太陽黒点増大期の今なら)最大規模であるXフレアの太陽フレアに対しての警戒ということになるはずだったと思うのですが、Xクラスは 9月24日に発生したきり一度も発生していません。
それどころか、10月3日からは、Xクラスより弱い規模であるMクラスのフレアも発生していません。
では、「黒点の数」が減っているのでしょうか。
これは、昨日10月19日の太陽黒点群の状況。
大きな黒点群が8つ出ていますが、この「黒点群」というのは文字どおり、黒点がたくさん集まってできている領域のことで、たとえば、上の中で大きめの「黒点1319」を拡大しますと、このようになっています。
これら黒点全体の数は、現在、155個となっています。
そして、黒点数の推移は減るどころか増え続けています。
こちらが10月に入ってからの黒点の数の推移(NICT 黒点情報より)。
赤で囲んだところが黒点数です。
最低が10月8日の 61個で、そこから鋭角的に黒点数は増えています。
ここ数日の黒点数である 160個前後というのはサイクル24の中でも最大値くらいだと記憶しています。
そして、この数は事前の公的予測よりはるかに多いです。
NICT の予測では 10月の予測値は平均で 68個の黒点数を予測しています(下表)。
しかし、現在までの平均を計算してみると、現時点で平均黒点数 118個という計算になり、最終的にも当初の予測よりかなり多いことになることは確実だと思われます。
この「118個」という平均数は、上の NICT の予測値と照らし合わせますと、大体、2012年の5月から6月くらいの予測値あたりと並ぶくらいの数値となり、つまり、「太陽黒点最大期の直前の予測値」の数値というような考えかたもできるかと思います。
すなわち。
すでに私たちは「サイクル24の太陽活動最大期の直前にいる可能性がある」ということのようにも感じます。
しかし、昨年、このブログでも何度も書いていたような「巨大な太陽フレア活動」や、「地球に対しての巨大な CME (コロナの噴出)」もなく、ひたすら穏やかに推移しているのが現状で、さて、どうなっていくのか?
まあ、それは考えてもわかるわけもないですが、しかし、その影響の予測は部分的には考え得る部分もあります。
宇宙線の増大によっての低温下と雨の増大
以前の記事「太陽に何が起きているのか」にも書いたのですが、「太陽活動が弱いと、一般的には宇宙線の地球への到達量が増える」という事実があります。
In Deep の「宇宙線が雲を作るメカニズムを欧州原子核研究機構 CERN が解明」という記事でご紹介しましたように、宇宙線は地球の雲の生成に強く関係している可能性が非常に高いです。ほぼ間違いなく、雲は宇宙線によって作られています。
それが正しければ、太陽活動が弱いままの状態ですと、「(地球上の)雲が増える」という単純な考え方もできます。
すなわち、晴天の減少と雨の増大。
今、タイの洪水がひどいことになっていますが、他にも洪水被害は各地で出ていて、(あまり日本語報道になっていないようですので)そのうち紹介できたらしたいですが、中米の豪雨と洪水もひどいことになっていて、ニカラグア、コスタリカ、エルサルバドル、ホンジュラスなどが壊滅的な様相です。
▲ ホンジュラスのエル・マングラー市。2011年10月16日(AFP)
これらの国は昨年まではひどい干ばつで苦しんでいた国が多いです。
そして、宇宙線の地球への到達量は、この一ヶ月増え続けています。
▲ ノルウェーのオウル大学にある宇宙線観測施設サイトより。下の数字は10月の日付で、10月1日から昨日までの宇宙線の観測数値です。
まあ、これもひとつの途中経過でしかないわけで、このように随時、太陽活動をメモしていくことに意味があるかどうかよくわからないですが、ただひとつ忘れないでおきたいのは、
・多分、私たちはこの数百年で初めてともいえる太陽の挙動と直面している
と思われます。
ここにきて、数年前のウェブボットに何度も出てきた「太陽の病気」というキーワードも実感を帯びてくるわけですが、ただ、問題はこれが「病気かどうか」はわからないということだと思います。太陽自身の持つ時間的歴史は、私たち地球の人類とは比較にならないくらい長いわけで、太陽自身がどれだけ長い活動のサイクルを持っているかは私たちには誰にもわからないです。
太陽は、地球から見てもっとも短い周期だと、「27日で一周してまた地球に同じ面が向いてくる」という 27日周期があります。そして、ご存じの 11年周期のサイクルがありましたが、これは今回のサイクルで崩れて、12.6年周期(ソース)となっています。
その上にあるかもしれない「(数千年、数万年、数億年などの)長いサイクル」はまだわからないだけだと思われます。
そして、それは存在するはずです。
最後に、最新の NASA スペースウェザーの太陽関連の記事をご紹介しておきます。
QUIET SUN
Space Weather 2011.10.19
静かな太陽
現在、太陽に8個もにのぼる多数の黒点群が出現している。
なのに、どうしてこんなに太陽活動が静かなのだろう?
あまりにも静かだ。
これだけの太陽黒点が出ていて、しかもこれだけ多くの黒点が地球に面しているわけだが、この二日間というものほとんど太陽フレアを発生させていない。
下のこの二日間の太陽からのX線の出力のグラフを見てほしい。
ほとんど平ら(X線が発生していない)ことがわかる。
あまりにも静謐すぎることは事実だが、しかし、これが「嵐の前の静けさ」という可能性はある。
特に太陽黒点群 1319 は、「ベータ・ガンマ」磁気構造という強いフレアを発生させる磁気構造を持っており、フレアが発生した場合、Mクラス以上になる可能性が高いと見られている。NOAA の予報官は、今後24時間のMクラス以上のフレア発生確率を 30パーセントと見ている。
(訳者注) 今回の記事は、先月あたりから何度かふれている「太陽活動の異常」についての続きで、太陽の現在の状態の報告となります。
前の関連記事は、
です。
上のふたつの記事の要点は、一点に集約すると、
・黒点が劇的に増えているのに太陽フレアの規模は小さくなっている
ということを書いています。
太陽活動というのは、普通の場合は単純な話として、
A 太陽活動が活発になる → 黒点が増える
B 黒点が増えると → 太陽フレアなどの太陽表面での活動が活発になる
ということになるのですが、これが「A」で止まっているという話でした。
黒点はものすごいペースで増えているのに、太陽活動が伴わない。
前2つの記事では、「しかし、そのうち事態は通常に戻るかもしれない」としいうようにしたのですが、戻るどころか、太陽活動の静かな状態は異常なほどになっています。
まず、太陽フレア活動ですが、これは、 NICT にある10月に入ってからの太陽フレアの最大値です。
「大きめのフレア」というのは「Mクラス以上」の太陽フレアのことを指します。本来ならこの(太陽黒点増大期の今なら)最大規模であるXフレアの太陽フレアに対しての警戒ということになるはずだったと思うのですが、Xクラスは 9月24日に発生したきり一度も発生していません。
それどころか、10月3日からは、Xクラスより弱い規模であるMクラスのフレアも発生していません。
では、「黒点の数」が減っているのでしょうか。
これは、昨日10月19日の太陽黒点群の状況。
大きな黒点群が8つ出ていますが、この「黒点群」というのは文字どおり、黒点がたくさん集まってできている領域のことで、たとえば、上の中で大きめの「黒点1319」を拡大しますと、このようになっています。
これら黒点全体の数は、現在、155個となっています。
そして、黒点数の推移は減るどころか増え続けています。
こちらが10月に入ってからの黒点の数の推移(NICT 黒点情報より)。
赤で囲んだところが黒点数です。
最低が10月8日の 61個で、そこから鋭角的に黒点数は増えています。
ここ数日の黒点数である 160個前後というのはサイクル24の中でも最大値くらいだと記憶しています。
そして、この数は事前の公的予測よりはるかに多いです。
NICT の予測では 10月の予測値は平均で 68個の黒点数を予測しています(下表)。
しかし、現在までの平均を計算してみると、現時点で平均黒点数 118個という計算になり、最終的にも当初の予測よりかなり多いことになることは確実だと思われます。
この「118個」という平均数は、上の NICT の予測値と照らし合わせますと、大体、2012年の5月から6月くらいの予測値あたりと並ぶくらいの数値となり、つまり、「太陽黒点最大期の直前の予測値」の数値というような考えかたもできるかと思います。
すなわち。
すでに私たちは「サイクル24の太陽活動最大期の直前にいる可能性がある」ということのようにも感じます。
しかし、昨年、このブログでも何度も書いていたような「巨大な太陽フレア活動」や、「地球に対しての巨大な CME (コロナの噴出)」もなく、ひたすら穏やかに推移しているのが現状で、さて、どうなっていくのか?
まあ、それは考えてもわかるわけもないですが、しかし、その影響の予測は部分的には考え得る部分もあります。
宇宙線の増大によっての低温下と雨の増大
以前の記事「太陽に何が起きているのか」にも書いたのですが、「太陽活動が弱いと、一般的には宇宙線の地球への到達量が増える」という事実があります。
In Deep の「宇宙線が雲を作るメカニズムを欧州原子核研究機構 CERN が解明」という記事でご紹介しましたように、宇宙線は地球の雲の生成に強く関係している可能性が非常に高いです。ほぼ間違いなく、雲は宇宙線によって作られています。
それが正しければ、太陽活動が弱いままの状態ですと、「(地球上の)雲が増える」という単純な考え方もできます。
すなわち、晴天の減少と雨の増大。
今、タイの洪水がひどいことになっていますが、他にも洪水被害は各地で出ていて、(あまり日本語報道になっていないようですので)そのうち紹介できたらしたいですが、中米の豪雨と洪水もひどいことになっていて、ニカラグア、コスタリカ、エルサルバドル、ホンジュラスなどが壊滅的な様相です。
▲ ホンジュラスのエル・マングラー市。2011年10月16日(AFP)
これらの国は昨年まではひどい干ばつで苦しんでいた国が多いです。
そして、宇宙線の地球への到達量は、この一ヶ月増え続けています。
▲ ノルウェーのオウル大学にある宇宙線観測施設サイトより。下の数字は10月の日付で、10月1日から昨日までの宇宙線の観測数値です。
まあ、これもひとつの途中経過でしかないわけで、このように随時、太陽活動をメモしていくことに意味があるかどうかよくわからないですが、ただひとつ忘れないでおきたいのは、
・多分、私たちはこの数百年で初めてともいえる太陽の挙動と直面している
と思われます。
ここにきて、数年前のウェブボットに何度も出てきた「太陽の病気」というキーワードも実感を帯びてくるわけですが、ただ、問題はこれが「病気かどうか」はわからないということだと思います。太陽自身の持つ時間的歴史は、私たち地球の人類とは比較にならないくらい長いわけで、太陽自身がどれだけ長い活動のサイクルを持っているかは私たちには誰にもわからないです。
太陽は、地球から見てもっとも短い周期だと、「27日で一周してまた地球に同じ面が向いてくる」という 27日周期があります。そして、ご存じの 11年周期のサイクルがありましたが、これは今回のサイクルで崩れて、12.6年周期(ソース)となっています。
その上にあるかもしれない「(数千年、数万年、数億年などの)長いサイクル」はまだわからないだけだと思われます。
そして、それは存在するはずです。
最後に、最新の NASA スペースウェザーの太陽関連の記事をご紹介しておきます。
QUIET SUN
Space Weather 2011.10.19
静かな太陽
現在、太陽に8個もにのぼる多数の黒点群が出現している。
なのに、どうしてこんなに太陽活動が静かなのだろう?
あまりにも静かだ。
これだけの太陽黒点が出ていて、しかもこれだけ多くの黒点が地球に面しているわけだが、この二日間というものほとんど太陽フレアを発生させていない。
下のこの二日間の太陽からのX線の出力のグラフを見てほしい。
ほとんど平ら(X線が発生していない)ことがわかる。
あまりにも静謐すぎることは事実だが、しかし、これが「嵐の前の静けさ」という可能性はある。
特に太陽黒点群 1319 は、「ベータ・ガンマ」磁気構造という強いフレアを発生させる磁気構造を持っており、フレアが発生した場合、Mクラス以上になる可能性が高いと見られている。NOAA の予報官は、今後24時間のMクラス以上のフレア発生確率を 30パーセントと見ている。
タグ:太陽の異常
以上は「IN DEEP」より
世界各地における現在の大洪水も太陽活動の結果に影響されて起きているものと思われます。この太陽の異常も銀河系宇宙からの影響を受けての結果生じているものと考えられます。今の地球の異常も宇宙との一体から生じているものと思われます。以上
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