実現論32、第四部、場の転換(ロ)共認社会の生存圧力と同類圧力
もっとも、これまでサル・人類は、自然圧力・外敵圧力・縄張り闘争圧力などの動物的な生存圧力を前提として期待・応望の同類圧力=共認圧力を形成し、それを主活力源にして生存し、進化してきた。それに対して、物的な生存課題をほぼ克服した人類に、充分な同類圧力=共認圧力が形成されるのだろうかという疑問が湧く。しかし、その心配は無用である。 | ||||
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自然圧力・外敵圧力は、未来永劫に亙って働き続け、消滅することはない。第一に、科学技術の発達etc.によって物的生産の為の労働が、流通も含めて1/3 以下に縮小されたとしても、その縮小された物的生産課題は、日々の労働課題として残り続けている。第二に、現在でも環境破壊・肉体破壊をはじめ、深刻な自然圧力・外敵圧力は働き続けている。現在は、私権に関わる事にしか意識が向かわないので問題が捨象されているだけで、私権社会が消滅すれば、人々がこれまで目を逸らせてきたこれら人類的生存課題が、一気に顕在化されるだろう。第三に、現在、人類は地震さえ解明し切れていないが、未来的には氷河期・乾燥期の再来や太陽の衰弱や、更には宇宙の消滅etc.自然圧力は無限に存在する。また現在は、ガンやアトピーやエイズさえ克服できていないが、人類の進化=変化に伴う新たな外敵圧力も無限に生成され続ける。 | ||||
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要するに、人類がほぼ克服し得たのは動物的(本能を直撃する様)な自然圧力・外敵圧力だけであって、本能では感取できない、しかし観念機能では認識or 予測できる人間的(超動物的)、かつ全人類的な自然課題・外敵課題は、未来永劫生まれ続ける。しかも、人類がそれらの課題の中の何をどれだけ重視するかは、人類の共認に委ねられている。つまり、全人類的生存課題→期待と応望(=追求・創造)→評価闘争=共認闘争→社会共認の形成、そしてその社会共認にとって重要な新たな人類的生存課題が更に追求され、その環が塗り重ねられてゆく。これが、同類圧力社会=共認社会の基本パラダイムである。 | ||||
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だが、圧力=課題はそれだけではない。人類にとって最も厄介な動物的課題、即ち性闘争・同類闘争をどう止揚するのかという課題が、(おそらく未来永劫に)残り続ける。しかし、物的・動物的な生存課題をほぼ克服した人類の性闘争・同類闘争は、もはや動物的な縄張り闘争ではあり得ない。では、動物的生存課題を克服した人類の性闘争・同類闘争は、どの様なものに成るのだろうか? | ||||
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それに答える前に、「同類闘争」の中身が、既にこれまでも大きく変容して来た事に注目しておく必要がある。モグラや原猿の性闘争は、直接的には雌の獲得を目的とする(つまり、性情動を主エネルギーとする)縄張り闘争である。しかし、闘争共認によって闘争集団が形成され、その闘争集団の中に雌が組み込まれて終った為に、真猿の同類闘争では雌の獲得はもはや目的外となり、もっぱら縄張りの維持を目的とする縄張り闘争となる。つまり、雌(+縄張り)から、縄張りのみへと目的(=主回路)そのものが大きく変容し、切り換わっている。また人類も、六〇〇〇年前から三〇〇〇年前にかけて、性闘争から掠奪闘争へと同類闘争の中身を大きく変容させた(それは、原猿→真猿と基本的には同じ流れである)が、それらが国家に統合された後は、人類の同類闘争はもっぱら私権闘争に変容する(注:私権闘争とは、バラバラにされた個体の性闘争+縄張り闘争そのものであり、それは原猿というより、モグラそのものの位相である。つまり、私権時代とは、同類闘争が一気にモグラの段階まで後退して終った時代である。) | ||||
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さて、本源集団を原点(単位)とする共認社会では、まず性闘争が集団の婚姻規範によって封印されて終うだろう。もちろん、そこには人類の歴史的総括である性闘争のタブーの共認も働いている。それは基本的に真猿の位相であるとも言えるが、(真猿の性闘争の封鎖は不充分で、しばしば破られるのに対して)期待・応望の充足=共認充足を最大の活力源とするが故に、その充足を妨げる自我や性闘争を封印してゆく共認社会は、むしろ性闘争を徹底して封印した極限時代や採集時代の人類の位相に近い。従ってそれは、ごく最近まで五〇〇万年に亙ってそうであった、人類にとって最も馴染み深い在り方である。 | ||||
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また、既に動物的な生存圧力を克服した共認社会では、人類的課題に対する期待・応望の同類圧力=共認圧力が解脱充足と並んで主活力源となり、人々の期待に応える政治や哲学や科学や芸術が主活動となる。そして、期待・応望を主活力源とするそれらの活動は、評価収束によって必然的に創造闘争=共認闘争の圧力を形成し、それが期待・応望の主活力を加圧する。つまり、共認社会の同類闘争は、人類的課題に応える創造競争=共認闘争となる。(政治であれ哲学であれ科学であれ芸術であれ、提起された認識は共認の獲得を目的としており、最終的には社会共認となることを目指しているので、創造競争は本質的には共認闘争である。)但し、あくまでも人々の期待に対する応望が主目的であって、闘争が主目的なのではない。闘争圧力は、評価収束によって期待・応望から必然的に派生する期待・応望の強化圧力であり、それによって人類的課題に対する期待・応望の活力は、極めて強力なエネルギーを持つことになる。 | ||||
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人類的課題に対する期待と応望を主活力源にして創造活動を営み、評価収束による創造競争=共認闘争(=同類闘争)によって圧力=活力を高め、その同類闘争を同じ評価収束⇒評価共認によって統合する社会、これは原始人には夢想だにできなかった社会である。にも拘わらず、同類圧力=共認圧力を生命源とする社会であるという根本パラダイムは、極限時代と同じである。ただ人類は、動物的な生存圧力の場を超えて、超動物的な同類圧力=共認圧力の場へ移行する段階を迎えただけである。それは、共認動物が到達するべくして到達した必然的世界であり、実は滅亡の危機に瀕した今こそ、動物的限界を引きずっていた前史が終わり、真の人類史が始まる、その起点となる時なのである。 以上は「るいネット」より |
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