日本政府は今、「秘密保全法」の成立を急いでいる!
2011.12.31 |
東電福島第一原発の事故でエリートは「秘密の保全」に失敗して嘘が暴かれ、原発の「安全神話」は崩壊したが、それに懲りたのか、政府は「秘密保全法」の成立を急いでいる |
日本を動かしている「エリート」が日本を「共同体」とは考えていないことが、東京電力福島第一原子力発電所の事故によって再確認された。
大企業の経営者、そうした大企業と結びついた政治家、官僚、学者、そして報道機関にとって、庶民は富を搾り取る対象にすぎない。しかしエリートたちがここまで庶民の命を軽く考えているとは、多くの人が思っていなかっただろう。人間を魚雷やミサイルの「自動操縦装置」くらいにしか考えていなかった日本軍の作戦参謀と大差がないと言える。
長年の間、日本の政府、マスコミ、教育機関は原発を安全な発電方法だと宣伝、洗脳、教育してきた。そして原発の「安全神話」が作り上げられたわけだが、こうした神話が広がると神話を「エリート」も信じはじめる。そうなるとカルトの領域だ。福島第一原発で「過酷事故」が起こる前、日本は「原発カルト」の国になっていた。
当初、日本政府は嘘で神話の崩壊を誤魔化し、カルト体制を維持しようとしたのだが、フリーランスのジャーナリスト、内外の環境保護団体、事実に向き合う勇気を持った一部の科学者、そして庶民自身などの手で嘘は次々に暴かれていった。カルト体制を支えているマスコミは嘘の拡散に努めていたが、インターネットによって事実は暴かれつつある。エリートたちにしてみると、「秘密の保全」に失敗したわけだ。
ある体制で実際の主権者が誰なのかを知りたいなら、資金と情報の流れを見れば想像がつく。日本の場合、資金は一部の大企業に集中する仕組みで、その周辺には一握りの富裕層が取り巻いている。中曽根康弘政権で新自由主義経済に踏み出して以来、そうした傾向は強まった。そんな特権集団の外にいる庶民は急速に貧困化している。
情報に関しても、日本の庶民は主権者として扱われていない。主権者が知るべき情報を握っているのは一部の官僚、政治家、財界人だ。ところが、福島第一原発の事故でエリートが情報を隠し、嘘を発信していたことが後に露見してしまう。事実を隠すことは可能でも、事実を隠していることは隠せなかった。
政府や東電の嘘が次々と明るみに出ていた2011年8月、「有識者会議」が「秘密保全法案」に関する報告書をまとめた。官僚の書き上げた法案を「有識者」の名前で公表したということだろう。行政機関が決めた「秘密」を暴いたら、最高で懲役10年を科すのだという。今回、原発の事故で政府や東電の嘘を暴いた人たちは、当然、処罰の対象になりそうだ。
この法律が住民基本台帳ネットワークとつながるのは時間の問題だろう。個人情報の調査対象は、氏名、生年月日、住所歴、国籍、本籍、親族、学歴、職歴、犯罪歴、懲罰処分歴、渡航歴、通院歴などでは収まらないはず。
アメリカ国防総省のDARPA(国防高等研究計画局)が進めたTIAなるプロジェクトでは、個人の学歴、銀行口座の内容、ATMの利用記録、投薬記録、運転免許証のデータ、航空券の購入記録、住宅ローンの支払い内容、電子メールに関する記録、インターネットでアクセスしたサイトに関する記録、クレジット・カードのデータなどあらゆる個人情報の収集と分析を目的にしていた。当然、日本政府も同じことを考えているはずだ。
そのアメリカでは現在、憲法の規定は機能を停止している状態にある。当局は令状なしに盗聴も逮捕も気ままにできる。12月に上院と下院で可決された「国防権限法」が発効すると、「テロ容疑者」と認定された市民を令状なしに無期限、軍の施設で拘束できる。軍事国家に移行するというだけでなく警察の重武装化も進んでいるのだが、それだけ体制が揺らいでいることを示している。
アメリカ政府は「テロ容疑者」を拘束するだけでなく、法律で定められた手続きを経ずにアメリカ市民を殺害するようになっている。その際、無関係な子どもを巻き添えにしても平気でいられるのがアメリカだ。こうした暗殺を公然と批判しているのが共和党の大統領候補、ロン・ポール。このところ、メディアから激しく攻撃されている人物である。
今から60年近く前、1952年に日本はアメリカの指示に基づいて一種の情報機関を設置した。内閣総理大臣官房調査室(内閣調査室)である。初代室長は国警本部の警備部警備第1課長だった村井順。後に綜合警備保障を創設した人物だ。
当時、内閣調査室で仕事をしていた人物によると、調査は全て下請けに回され、下請け団体は2通の報告書を作成していたという。1通は内閣調査室向け、もう1通はCIA向けなのだが、CIA向けの報告書は内閣調査室向けの10倍程度の厚さがあったという。内閣調査室を中心にする仕組みは、アメリカの情報ネットワークだったということだ。
1986年、内閣官房組織令の一部改正で内閣調査室は内閣情報調査室に組織替えになるのだが、WikiLeaksが公表したアメリカの外交文書によると、内閣情報調査室の下に新たな情報機関を設置する動きがあるのだという。
この問題に関し、2008年10月には内閣情報官の三谷秀史がランダル・フォート米国務省情報調査局長と会談し、HUMINT(人を使った情報活動)について話し合っている。福田康夫と麻生太郎両政権で新機関設置が決まり、この話し合いになったようだ。こうした動きと秘密保全法の成立を急ぐ動きは連動しているのだろう。
1985年に自民党の議員が「国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案」、いわゆる「スパイ防止法」を提出したのだが、その時に元特務機関員の知人は笑いながらこんなことを言っていた:「そんな法律があろうとなかろうと、情報をとるのが情報機関員の仕事だ。」
そうした法律で縛られるのは一般庶民だということ。アメリカの例を見ても、そうした法律が取り締まる対象はスパイや「テロリスト」ではなく、権力犯罪を追及したり戦争に反対する個人や団体である。「国家安全保障上の秘密」とは、ほとんどの場合、「権力者の不正行為」と同義語だ。
以上は「桜井ジャーナル」より
大企業の経営者、そうした大企業と結びついた政治家、官僚、学者、そして報道機関にとって、庶民は富を搾り取る対象にすぎない。しかしエリートたちがここまで庶民の命を軽く考えているとは、多くの人が思っていなかっただろう。人間を魚雷やミサイルの「自動操縦装置」くらいにしか考えていなかった日本軍の作戦参謀と大差がないと言える。
長年の間、日本の政府、マスコミ、教育機関は原発を安全な発電方法だと宣伝、洗脳、教育してきた。そして原発の「安全神話」が作り上げられたわけだが、こうした神話が広がると神話を「エリート」も信じはじめる。そうなるとカルトの領域だ。福島第一原発で「過酷事故」が起こる前、日本は「原発カルト」の国になっていた。
当初、日本政府は嘘で神話の崩壊を誤魔化し、カルト体制を維持しようとしたのだが、フリーランスのジャーナリスト、内外の環境保護団体、事実に向き合う勇気を持った一部の科学者、そして庶民自身などの手で嘘は次々に暴かれていった。カルト体制を支えているマスコミは嘘の拡散に努めていたが、インターネットによって事実は暴かれつつある。エリートたちにしてみると、「秘密の保全」に失敗したわけだ。
ある体制で実際の主権者が誰なのかを知りたいなら、資金と情報の流れを見れば想像がつく。日本の場合、資金は一部の大企業に集中する仕組みで、その周辺には一握りの富裕層が取り巻いている。中曽根康弘政権で新自由主義経済に踏み出して以来、そうした傾向は強まった。そんな特権集団の外にいる庶民は急速に貧困化している。
情報に関しても、日本の庶民は主権者として扱われていない。主権者が知るべき情報を握っているのは一部の官僚、政治家、財界人だ。ところが、福島第一原発の事故でエリートが情報を隠し、嘘を発信していたことが後に露見してしまう。事実を隠すことは可能でも、事実を隠していることは隠せなかった。
政府や東電の嘘が次々と明るみに出ていた2011年8月、「有識者会議」が「秘密保全法案」に関する報告書をまとめた。官僚の書き上げた法案を「有識者」の名前で公表したということだろう。行政機関が決めた「秘密」を暴いたら、最高で懲役10年を科すのだという。今回、原発の事故で政府や東電の嘘を暴いた人たちは、当然、処罰の対象になりそうだ。
この法律が住民基本台帳ネットワークとつながるのは時間の問題だろう。個人情報の調査対象は、氏名、生年月日、住所歴、国籍、本籍、親族、学歴、職歴、犯罪歴、懲罰処分歴、渡航歴、通院歴などでは収まらないはず。
アメリカ国防総省のDARPA(国防高等研究計画局)が進めたTIAなるプロジェクトでは、個人の学歴、銀行口座の内容、ATMの利用記録、投薬記録、運転免許証のデータ、航空券の購入記録、住宅ローンの支払い内容、電子メールに関する記録、インターネットでアクセスしたサイトに関する記録、クレジット・カードのデータなどあらゆる個人情報の収集と分析を目的にしていた。当然、日本政府も同じことを考えているはずだ。
そのアメリカでは現在、憲法の規定は機能を停止している状態にある。当局は令状なしに盗聴も逮捕も気ままにできる。12月に上院と下院で可決された「国防権限法」が発効すると、「テロ容疑者」と認定された市民を令状なしに無期限、軍の施設で拘束できる。軍事国家に移行するというだけでなく警察の重武装化も進んでいるのだが、それだけ体制が揺らいでいることを示している。
アメリカ政府は「テロ容疑者」を拘束するだけでなく、法律で定められた手続きを経ずにアメリカ市民を殺害するようになっている。その際、無関係な子どもを巻き添えにしても平気でいられるのがアメリカだ。こうした暗殺を公然と批判しているのが共和党の大統領候補、ロン・ポール。このところ、メディアから激しく攻撃されている人物である。
今から60年近く前、1952年に日本はアメリカの指示に基づいて一種の情報機関を設置した。内閣総理大臣官房調査室(内閣調査室)である。初代室長は国警本部の警備部警備第1課長だった村井順。後に綜合警備保障を創設した人物だ。
当時、内閣調査室で仕事をしていた人物によると、調査は全て下請けに回され、下請け団体は2通の報告書を作成していたという。1通は内閣調査室向け、もう1通はCIA向けなのだが、CIA向けの報告書は内閣調査室向けの10倍程度の厚さがあったという。内閣調査室を中心にする仕組みは、アメリカの情報ネットワークだったということだ。
1986年、内閣官房組織令の一部改正で内閣調査室は内閣情報調査室に組織替えになるのだが、WikiLeaksが公表したアメリカの外交文書によると、内閣情報調査室の下に新たな情報機関を設置する動きがあるのだという。
この問題に関し、2008年10月には内閣情報官の三谷秀史がランダル・フォート米国務省情報調査局長と会談し、HUMINT(人を使った情報活動)について話し合っている。福田康夫と麻生太郎両政権で新機関設置が決まり、この話し合いになったようだ。こうした動きと秘密保全法の成立を急ぐ動きは連動しているのだろう。
1985年に自民党の議員が「国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案」、いわゆる「スパイ防止法」を提出したのだが、その時に元特務機関員の知人は笑いながらこんなことを言っていた:「そんな法律があろうとなかろうと、情報をとるのが情報機関員の仕事だ。」
そうした法律で縛られるのは一般庶民だということ。アメリカの例を見ても、そうした法律が取り締まる対象はスパイや「テロリスト」ではなく、権力犯罪を追及したり戦争に反対する個人や団体である。「国家安全保障上の秘密」とは、ほとんどの場合、「権力者の不正行為」と同義語だ。
以上は「桜井ジャーナル」より
「9.11テロ」「3.11テロ」後は、日米ともお互いに、権力犯罪を犯した為に、国民がその権力犯罪を追及出来ないように「秘密保全法」の悪法を制定しようとしているのです。「治安維持法の現代版」とも言えます。 以上
« 実現論30、第三部、滅亡(ホ)観念機能、作動せず | トップページ | 野田政権「共謀罪」創設へ、現代版治安維持法! »
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
« 実現論30、第三部、滅亡(ホ)観念機能、作動せず | トップページ | 野田政権「共謀罪」創設へ、現代版治安維持法! »
コメント