環境省が指定した「放射能汚染地域」は首都圏まであり(5/5)
環境省が指定した「放射能汚染地域」は首都圏まで
あなたが住む街の役所の行動を知っていますか?
浦安市の調査結果を見ると、実際には多くの測定箇所は0.10-0.22μSvの範囲で、環境省基準(★文書A)を少し下回っている。3箇所ほど、1μSvを超えた植え込みなどの除染を行なった、と記されていた。環境省の基準はすべての箇所で0.23μSvのはずだが、浦安市が指標とする1μSvはどこから引っ張ってきたのか。
これは政府が昨年10月に発表した基準だった。たしかに昨年10月21日付で内閣府、文部科学省、環境省が連名で「周辺より放射線量の高い箇所への対応方針」を公表している。これが10月21日付の★文書Bである。
それによると、「高さ1メートルで、周辺より1マイクロシーベルト高い数値を計測した箇所を発見した場合、文部科学省へ伝え、除染」せよ、という内容だった。周辺より1μSv高い、ということは、周辺が0.2μSvだったら、1.2μSv以上ということになるが、浦安市では高さ50センチで1μSv以上、と10月基準を読み替えて判断しているというわけだ。
環境省が12月19日には0.23μSvという12月基準を★文書Aで出しているので、10月基準(★文書B)は消滅していると思ったが、自治体によっては10月基準を指標としていることが分かった。筆者が調べた範囲では浦安市だけだったが。
一方、やはり指定地域に隣接する市川市は、0.19μSvを基準にして推定自然放射線量0.07μSvを加えた0.26μSvを昨年まで指標としていたが、★文書A(12月基準)で政府が自然放射線量を0.04μSvとしたため、0.23μSvへ指標の水準を下げている。
さらに、幼稚園、保育園、小中学校では0.19μSvを指標にして、これを上回る数値を計測した場合は除染を行なっていた。計測も継続している。つまり、環境省の基準よりも厳しく対処しているわけだ。また、給食の食材検査も行なっている。
同様に指定地域に隣接する船橋市は、市内で比較的空間放射線量が高い地域の通学ルートの側溝の集水マス7500箇所を計測し、0.23μSv以上を計測した616箇所はすべて除染する、と1月5日に発表している。また、市内のすべての通学ルートにある集水マスも3月中に計測して除染するそうだ。全部で2万2000箇所あるという。学校給食の放射能検査も行なっている。
このように、環境省が「汚染地域」に指定した地域以外の自治体の対応は、それぞれの役所が独自に指標をとり、独自に判断して実行していたのである。指定外なので費用は国が負担しない。すべて独自に対処する必要がある(後日、電力会社へ請求する可能性はあるが)。市川市と船橋市は事態を厳しくみて、徹底的に対処していることがわかった。
放射能汚染は自治体の境界線でとどまるわけではなく、隣接地域にもおよぶはずだが、対処は各自治体の判断に委ねられている。学校給食の食材の検査も同様で、「国が安全として流通しているわけだから検査の必要はない」とする自治体と、「独自に検査する」自治体に分かれてしまう。
さて、あなたの街の役所はどのように行動していますか?
★参考文献『国際放射線防護委員会の2007年勧告』(日本アイソトープ協会訳刊、2009)
以上は「DIAMOND ONLINE」より
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