中国次世代戦略と日本の対中政策はどうあるべきか(8/8)
中国ニューリーダーの誕生は日本に何をもたらすか?
大国の次世代戦略と日本がとるべき対中政策の要諦
――朱 建栄・東洋学園大学人文学部教授
国民1人当たりの所得が1000ドル以下なら、「開発独裁」の体制(政治は独裁、経済は自由化)でも国はすぐに発展する。ところが、4500~5000ドル程度の段階まで発展すると、「一部の特権階級に大多数の低所得層」という社会状況が出現し易い。
ここで富の分配を適切に行なうシステムを構築できなければ、むしろ成長を停滞させてしまうリスクが高い。そのバランスが、なかなか難しい。
民主化を一気に進めると国が崩壊
「真の変化」は若い世代が担い手に
今の中国でも、一種の戸籍制度はあるが、民主主義国家と比べて完全なものではない。たとえば農村出身者は、北京や上海に出稼ぎには行けても、そこで正式に戸籍を取得することは簡単にできないようになっている。
それを許すと、一気に数千万人もの低所得者が流入し、スラム街が乱立して、都市機能が麻痺してしまうと恐れられるからだ。人口が多い中国が抱える民主化リスクは、ラテンアメリカ諸国の比ではない。
そのため現時点では、共産党の指導の下で、あと10~20年ほどは「秩序ある発展」を続けることが必要になる。かつて毛沢東時代に行なわれた文化大革命も、見方によっては一種の民主化だったが、それに伴う混乱のせいで、中国の発展は大きく遅れてしまった。
その意味でも、中国の真の担い手である50代以上の「文革世代」は、むしろ徹底した民主化を求めない傾向がある。あと10年ほどで、中国経済の骨格はある程度できあがり、格差はある程度是正されるだろう。
総人口の過半数も中流意識を持ち、政治に参加する権利を本気に主張していく。そうなってから初めて、若い世代を中心に、本格的な民主化が国家レベルで議論されるようになるのではないか。
以上は「DIAMOND ONLINE」より
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