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« 3.11の喪失(8/9) | トップページ | 地中海の東側で膨大なエネルギー資源発見される »

2012年3月24日 (土)

宇宙のバクテリアを用いての強力な発電実験に成功

2012年02月29日


宇宙のバクテリアを用いての強力な発電実験に成功した英国の研究チーム

(訳者注) 昨日の「銀河系で生命を運ぶ浮遊惑星に関しての「宇宙の概念を変える」研究発表」もそうですけど、なかなか衝撃的なニュースが多い2月です。衝撃的というより、目からいろいろ落ちる感じで(ウロコだけでOK)。

いずれにしても、科学進歩の速度が際立ってきていますが、今回の記事も私個人にとってはとても意味のあるものです。

これは、「上空30キロメートルの成層圏で発見されるバクテリアが、生物電池に極めて適していることを発見した」という英国の大学のニュースリリースです。

これの何が個人的に大事かというと、

・地球の高層上空という、ほぼ宇宙空間に常に微生物が存在することが明確となった

という事実と、

・その「生き物」がエネルギーに使える

というふたつの事実を知るからです。

strat-1.png

▲ 成層圏の位置。


関係ない話ですが、通常の物理の法則としては、たとえば、「上から下」へは物体はいつかは落ちてくるものなんですが、「下から上」となると、他の力が必要になります。

上空30キロメートルまで地上から吹き上げる力というのは、通常の地球の天候や大気の循環ではあまり存在しないと思われます。

たとえば、1707年の富士山の大噴火の噴煙の高さが 20kmにも達したということが、最近のコンピュータ・シミュレーションで判明していますが、その富士山の宝永噴火級の噴火(より大きな噴火)が毎日のように世界中で起きているのなら、地上の様々なものが上に行く可能性もあるのでしょうけれど、そんな噴火が常日頃起きているというわけでもないのに、地球の高層圏にはどこにでも生命がいることがわかっています。

高層大気圏に生命がどうしているのかということは、フレッド・ホイル博士をはじめとした、パンスペルミア説の支持者たちの最初の興味でした。「上から来るとすると、その上は宇宙だけ」だからです。

まあ、それでもいろいろな大気の循環作用もあるのでしょうから、必ずしも地上のバクテリアが上空 30キロまで行けないということもないのかもしれないですが。

話があまりそれないうちに今回の記事を。

このリリースを発表した英国ニューカッスル大学というのは、1834年創立のイギリスで3番目の歴史を誇る大学です。

今回の実験のすごいところは、「ただちに実際の生活に適用できる」ということだと思います。文中にもありますが、電気の通っていない地域に、電球程度の灯りの発電設備をなら「微生物のエネルギーだけで」作れるということだと思います。

よくわからないですが、費用もそれほどかからないのでは。
無条件に人類の科学の進歩を感じます。




Bugs from space offer new source of power
ニューカッスル大学 ニュースリリース 2012.02.22

newcastle-uni.png


宇宙の微生物が新しいエネルギー源となる


地球の上空30キロメートルで普通に見つかるバクテリアが、非常に効率的な発電に適していることが確認された。

ニューカッスル大学の研究チームは、地球の成層圏で一般的に見つかり、「成層圏の真菌」を意味する名を持つバシラス属(あるいはバチルス属)の真正細菌 B.ストラトフェリカス B.Stratosphericus が、チームにより設計された新しいバイオフィルム(微生物で作られた層)の重要な構成素材となることを発見した。

チームは、英国のダラム地区で分離・採取した 75の異なるバクテリアを、微生物燃料電池( Microbial Fuel Cell / MFC )を用いて、それぞれのバクテリアでの発電の試験を行った。

その中から、最高の人工のバイオフィルムを作ることができるバクテリアを探すという試みだ。その結果、成層圏の真菌ストラトフェリカスは、1立方メートルにつき 105ワットの微生物燃料電池での発電量を2倍の 200ワットにまで増やしたのだ。

このレベルは、電球を点灯するのに十分な発電量で、電気のない地域に必要程度の灯りをもたらすことができる。

このバクテリアは通常は上空 30キロメートルの非常に高い高層である成層圏に棲息しているが、大気の循環によって地上へと送られたことにより、チームによって分離・採取することができたものだ。

この研究はアメリカ化学会の会報「環境科学とテクノロジー( Environmental Science and Technology )」に掲載された。

ニューカッスル大学のグラント・バージャス氏によると、今回のように個別にビラ生物が個別に選別されて研究されたのは、これが初めてのことだそう。

ストラトフェリカスを地上で発見できたことはかなり予想外のことだったが、しかし、この研究は将来のこの技術の可能性を示す。何億のも微生物たちの力によるエネルギーを作り出す可能性だ。

微生物を使っての発電そのものは新しい概念ではなく、すでに排水処理などの中で使われている。「生体触媒の酸化」として知られているプロセスまでに、直接、有機化合物を電気に変換するために、微生物燃料電池ではバクテリアを使う。

バイオフィルム(微生物で作られた層)は、微生物燃料電池のカーボンの電極を覆うために使われる。そして、バクテリアがそれを摂取し、電極に移動することによって電気を発生させる。

この最近の研究結果が燃料電池を新しいステージに引き上げることができると、微生物燃料電池研究の第一人者であるニューカッスル大学のキース・スコット教授は語る。





キーワード[微生物による発電]に関しての In Deep 過去記事

ドイツで「バクテリアを使った太陽光の直接エネルギー変換プロジェクト」が始動
(2010年10月02日)

『人間の尿は最大の発電燃料』: 英国王立化学会の研究発表
(2011年10月29日)



--
[1年前の In Deep ]

2011年03月01日の記事

ボリビアの首都ラパスで地殻変動による壊滅的な被害


以上は「IN DEEP」より

宇宙に浮かぶバクテリアで電気を起こせるとは、不思議です。

視野が広がる思いです。以上

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