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2012年3月23日 (金)

銀河系で生命を運ぶ浮遊惑星に関しての研究発表

2012年02月28日


銀河系で生命を運ぶ浮遊惑星に関しての「宇宙の概念を変える」研究発表

「宇宙はもはやこれまでの私たちの知る宇宙ではない」: 今回研究発表を受けての米国カーネギー研究所のアラン・ボス氏の発言。


(訳者注) 今回は、わりと重要な記事だと思いますので、あまり変なことを書かずになるべく早く翻訳のほうに入ります。「カブリ宇宙論研究所」で発表された論文の内容をご紹介するのですが、その内容の要点は、


・今まで知られているより何万倍もの数の「流浪する惑星(浮遊惑星)」が銀河系に存在することがわかった。

・浮遊惑星が銀河系に存在する数の比率は「主系列星1個に対して約2個」(ひとつの太陽に対して2つの浮遊惑星があるという意味)。

・それらは生命を運搬している可能性があるかもしれない。




というような感じです。

文中に出てくる「カブリ」というのはよく知らなかったんですが、どうやら世界的に権威のある科学財団のようで、つい先日、「東大:宇宙研究で超名門の仲間入り 米カブリ財団が寄付 (毎日新聞 2012年02月08日)」というニュースがあり、その記事によると、

米国のカブリ財団は宇宙物理学や脳科学の分野で、米ハーバード大や英ケンブリッジ大など世界の有力大の15研究所を支援しているが、日本では初めて。記者会見した村山斉機構長は「世界の超名門クラブの仲間入りを果たした」と語った。


とのこと。

発表のあった KIPAC という研究所は米国スタンフォード大学関係の研究機関のようです。
今回の「流浪惑星」の研究はその研究機関でおこなわれたもののようです。


これまで、「彗星が全宇宙に生命を運んでいる」という可能性については以前かなり頻繁に書かせてもらっていましたが、今回出てくる浮遊惑星の大きさは彗星どころではなく、たとえば木星くらいの大きさのものなどもあるようで、「巨大な惑星そのものが生命を運んでいる可能性」という話はとてもダイナミックです。

個人的な考えでは、惑星は流浪しないと思いますが(流浪ではなく周期を持つ彗星のように「規則正しく周回している」と考えます)、いずれにしても、これらは「動いている存在」であり、それが宇宙には夥しくある、という宇宙の真実というものがわかってきたということのようです。

いずれにしても、パンスペルミア説の新しい展開だとは思います。

あるいは「宇宙そのものは絶えず動いている」というような・・・まあ、『方丈記』は宇宙全体に於いても正しいというような・・・。同じ状態というものが一瞬たりとも存在しないというのが、「瞬間」という存在だ、というか・・・(書いてて自分でわかんないですが)。


また、本記事の中で非常に興味をもったくだりとして、

それら浮遊惑星は恒星(太陽)の熱の恩恵を受けないが、内部の放射性崩壊と地殻構造上の活動を通して熱を発生させている可能性がある。


があります。

これを読んで改めて「あ!」と思いました。

これはつまり、大きな惑星なら、たとえば地球なども「太陽がなくても暖かい」ということです。大きな惑星は惑星内部で常に放射性崩壊と呼ばれる反応が起きていて、それにより常に熱が発生し続ける。

つまり、太陽の主な役割は「熱」のほうではない。



これを知っただけでも、目からカニが落ちてきました(怖いわ)。
あ、ウロコですね。


このあたり、過去記事の、

地球からのニュートリノと地球内部からの膨大な熱の源は何か
(2011年08月27日)

などをお読みいただいても面白いかと思います。地球内部からは常に、膨大な熱とエネルギーが発生し続けていて、そして、地球内部からは「宇宙線」(のようなもの)さえ発生しています。

これらは東大の宇宙線研究所などを含めた、特に、日本人研究機関の大きな研究テーマのひとつとなっています。


それでは、ここから本文です。

彗星がもたらす生命(パンスペルミア)関係の過去記事は、翻訳記事の下にリンクしておきます。




"Rogue Planets May Help Seed Microbial Life in the Universe" --Stanford University Researchers
Daily Galaxy 2012.02.23

流浪する星たちが宇宙で「生命の種」を広めることの手助けをしているかもしれない

no-mad-planet.jpg


カブリ宇宙論研究所の科学者たちによる新しい研究によれば、天の川銀河には、知られている10万倍以上の数の、宇宙をさまよう「浮遊惑星」が存在している可能性がある。

そして、その研究によれば、それらはバクテリアを運んでいるかもしれない。


「流浪する惑星」たちは、太陽系外で見つかる物質と同類の氷体(氷から作られている惑星)や、小惑星のような過酷な材質の惑星かもしれないし、あるいは、太陽系外で見つかる巨大なガス惑星である可能性さえある。

これらの研究の観測と計測が正しい場合、現在の宇宙論、特に惑星構造の理論に影響を及ぼす可能性がある。惑星の成り立ちと生命の起源に関して、さらに豊富な知識を私たちは得ることができる可能性がある。

研究チームのリーダーであり、この報告をイギリス王立天文学会に提出したルイス・ストリガリ博士はこのように言う。

「これら浮遊惑星が、大気を持つのに十分な大きさがある星の場合、そこには生命(細菌)を大気中に閉じ込めるのに十分な熱を持つはずだ」。

惑星は恒星(地球でいう太陽)の熱の恩恵を受けないが、放射性崩壊と地殻構造上の活動を通して熱を発生させている可能性がある。


昨年、重力マイクロレンズと呼ばれる手法を用いて、研究者たちはおよそ1ダースの浮遊惑星を発見した。そして、

(訳者注)「重力(マイクロ)レンズ」とは、恒星や銀河などが発する光が、途中にある天体などの重力によって曲げられたり、その結果として複数の経路を通過する光が集まるために明るく見えたりする現象だそう(Wikipediaより)



今回の研究では、主系列星ひとつに対して、約2つの浮遊惑星が存在する証拠を示した。

(訳者注)主系列星とは、たとえば「太陽」のことで、上で言っていることは、たとえば、「ひとつの太陽系には2つの浮遊惑星がある」という意味だと思います。



その数は、これまで考えられていた数の5万倍とする考えがある。あるいは、ストリガリ博士自身が言うように「天文学的な数だ」という言い方のほうがふさわしいかもしれない。中には木星よりも大きなものもあると考えられる。

米国カーネギー研究所のアラン・ボス氏は今回の発見についてこのように言う。

「オズの魔法使いでいえば、もう私たちはカンサスにはいないのです。さらにいうと、過去にも私たちがカンサスにいたことなど一度もなかったのです」

そして、氏は言う。

「宇宙は、私たちの目に見えない膨大な惑星だらけです」。






(訳者注) 上のアランさんの「オズの魔法使い」の比喩の意味がよくわからないのですが、とりあえずそのまま載せてしまいました。ドロシーって、カンザス州からどこかに行くんでしたっけ。


パンスペルミア系の話を書いたのは久しぶりでしたので、過去記事を「生命を運ぶ彗星」のキーワードで、少しリンクしておきます。

あと、可能性から考えれば、「この太陽系に2つ前後の浮遊惑星があってもおかしくなく、そして、そのサイズには木星サイズのものがあってもおかしくない」というのなら、過去記事にあった「宇宙にあった大きないろいろなもの」も特におかしな話ではないのかもしれないですね。それらの記事もリンクしておきます。

キーワード[生命を運ぶ彗星]に関しての In Deep 過去記事


キーワード[太陽系内の大きな物体]に関しての In Deep 過去記事

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[1年前の In Deep ]

2011年02月28日の記事

日本人研究者が獲得した「暗闇での視覚」: 人類と光と植物
以上は「IN DEEP」より
宇宙に関しては、まだまだ判らない事が一杯あります。まだ始まったばかりだともいえます。これからが本番です。                        以上

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