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2012年4月25日 (水)

米国国家安全保障局が過去最大級の「情報監視センター」建設中

アメリカ国家安全保障局が過去最大級の「情報監視センター」を建設中

国家安全保障局のプログラムの集大成施設。稼働の予定はは2013年の秋。

(訳者注) 先月だったか、米国はすでにインターネット上での内戦に突入しているというようなことを書いたことがありましたが、最近の様々な強気な行動の背景には政府側の「準備」がかなり進んでいたのだと今回の記事で知りました。

米国のメディア、ワイヤードがアメリカの国家安全保障局がユタ州に建設中の「世界最大のデータセンター」のことを大きく報じていました。それは非常に長い記事で、米国の人々の関心の高さを伺わせます。

その記事から抜粋してご紹介します。

なお、オリジナル記事の見出しでは「Spy Center (スパイセンター)」と書かれていますが、適切な日本語がよくわからないので、監視センターとしました。


それにしても、これは 1985年のハリウッド映画『未来世紀ブラジル』そのものの世界で、そこでは未来社会が描かれるのですが、すべての官公庁のトップに君臨するエリート省庁が「情報剥奪省 Department of Information Retrieval 」で、情報剥奪省にはすべての国民のすべてのデータが集められ、すべての「国家の危険に対しての予防措置」を行使する権利も政府は有しているというものでした。



▲ 情報剥奪省の尋問施設の受付。テロ被疑者はここで「医学的尋問」を受けますが、情報剥奪省の捜査に「間違いはない」ので被疑者側の「否認」は存在せず、基本的に「自白するか死ぬまで」尋問は続きます。このシーンで最後に振り向く尋問担当官は、私の大好きな英国のお笑い集団モンティ・バイソンのマイケル・ペイリン。


black-mail.jpg

▲ 初期モンティ・パイソンの傑作コント「恐怖のブラックメール」(1970年)のマイケル・ペイリン。


『未来世紀ブラジル』での社会は、国家は国民のすべての情報を持ち、そして、「情報を剥奪されると、その国民はその世界に存在しない」という社会の話です。そんな社会の中での「恋」の話がメインです。

監督はモンティ・バイソンのテリー・ギリアムで、お笑いを中心としながら「情報による国民完全支配社会」の様相を今から30年前に見事に描きました。実は、この映画は、私はストーリーより美術セットが大好きで、今までビデオでなら 100回以上見ていると思います。


ちなみに、映画『未来世紀ブラジル』では、政府側の勝利で終わります。不正を暴こうとした主人公は、医療手術により「生きる屍」となってジ・エンドでした。


ところで、ワイヤードの記事を読む限り、今回のデータセンターは国家安全保障局(NSA)のこれまでの活動の集大成のもののようです。NSAの活動の段階については、一昨年あたりも結構多く書きましたので、下にリンクしておきます。

ただ、今回のものが今までと違うのは、この施設は米国のみならず、「全世界のネットワーク」の取得を目的としているようです。

そんな「未来世紀アメリカ」の記事です。



The NSA Is Building the Country’s Biggest Spy Center (Watch What You Say)
Wired 2012.03.15

国家安全保障局が「あなたの言動を監視する」米国最大のデータセンターを建設中

us-info-center.jpg

▲ 建築中のユタ州データセンター。敷地面積は連邦議会議事堂の五倍


米国ユタ州にあるブラフデールは、西にオーカー山脈を構える地域にあり、この地は 160年以上前にモルモン教徒たちが最初に米国にたどり着いた場所で、その教義に基づき、この地を拠点として集団生活を続けた。

現在、このブラフデールは、モルモン教の宗派「アポストリック・ユナイテッド・ブレスレン教団」( Apostolic United Brethren Church / 以下、AUB )の本拠地となっている。この AUB 教団は、多妻婚主義、つまり、一夫多妻制度を認めている教派の最大の団体で、ブラフデールには 9,000人の信者が住んでいる。

ここには AUB 教団の教会、学校、運動場、資料館などがある。

最近、 AUB の人々はこの地から他の地域へと引っ越しを始めている。


かわりに目にするのがその数キロ以内の地域で額に汗して働く何千人もの労働者たちの姿だ。

その労働者たちが現在建築を進めている施設。それは完成すると、現在のアメリカ連邦議会の議事堂の5倍以上の面積を持つ施設となる。


かつてモルモン教徒たちの聖典や寺院が並んだこの地域は、今度は、多数のサーバーとコンピュータ、そして武装警備員たちで埋め尽くされることになる。

そして、モルモン教徒たちが「天界からの声を聞く」ために耳を澄ませていたこの地は、そのかわりに、世界最大規模の電気通信網とインターネット情報施設が設けられ、世界中のインターネットで流れる膨大な言葉の管理と分析を行う。


情報監視センターの目的

現在建設中のこの施設の詳細は最高機密となっていて、その名称は「ユタ州データ・センター」という当たりさわりのない名称がつけられているが、この施設は国家安全保障局がこの 10年の間に築き上げたプロジェクトの集大成といっていい。


その目的は、通信衛星や、地下ケーブル、あるいは海底ケーブルを含む「世界中のあらゆる通信網」に介入することにある。そして、それらを、解読、分析、保存すること。あるいは、介入、妨害する。

これには個人のインターネットでのメールから、すべてのコミュニケーションツールまでを含み、また、すべての携帯電話、スマートフォンの情報取得も含む。インターネットでの買い物の詳細、送受した金額、旅行に行った場所などもすべて含まれる。

これは 2003年にアメリカ議会に提出された「全体情報認識プログラム」の実現化といえる。

センターの建設予算は 20億ドル( 1600億円)で、2013年9月の稼働を目指している。



utah-dc.jpg

▲ 米国陸軍関係者により提供されたユタ州データセンターの計画図。


また、専門用語の解読のために、銀行取引や株取引などの専門家、海外の軍事専門家、また外交機密暗号解読のスペシャリスト、あるいは個人のコミュニケーションの解読専門家も置かれる。

関係者曰く、監視のターゲットは「全員」だという。






(訳者注) 上の「監視のターゲットは全員」の「全員」がアメリカ国民全員という意味なのか、全世界の全員という意味なのかはよくわかりません。

ちなみに、上記のワイヤードのオリジナル記事は上の翻訳の3倍以上の長さのある大変に長い記事です。後半は、911後の安全保障局の歴史などが書かれています。

In Deep の過去の関係記事をリンクしておきますが、 NSA と FEMA は着実にシステムの完成を目指して進んできました。なので、予定通りという感じにもうつります。

これらは陰謀というより、すべて「すでに実際に施行、実施されている」ものです。要するに現実です。現実に対しては現実として対処するしかないというのが実際のところです。

--
[NSA]に関係する過去記事:

非常事態時に FEMA を通じて大統領警報が国民に直接届く「アメリカ国家緊急警報システム」が近く稼働 (2011年02月08日)

アメリカ国土安全保障省が発表した住民相互監視運動「何か見たら何か言って下さい」キャンペーン (2010年12月07日)



▲ 「疑わしい行動を見つけたら、地元の捜査当局や警官に知らせて下さい」と語りかけるナポリターノ長官。

繰り返されること: 50年前にあった旅客機によるニューヨークと空軍施設への「同時墜落」事故 (2010年12月17日)

--
[1年前の In Deep ]

2011年03月19日の記事

人類の大きな希望 : 女性「性」の文明(震災8日目)
以上は「IN DEEP」より
この情報センターは世界中の情報をチエックする為のものと言う事ですから、米国の言うことを聞かない人々は、いつでも逮捕されてしまう恐れが出てくるということです。googleやfacebookを利用して、個人も特定できるようになった模様です。ある面では大変怖い時代になったものです。                                 以上

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