脱原発と消費税増税反対で倒閣の流れ
[6日 東京]民主「慎重」117人分提出 再稼働問題 小沢元代表らの名も
関西電力大飯(おおい)原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働問題で、政府に慎重な判断を求める民主党有志議員の呼び掛け人代表の荒井聡元国家戦略担当相らが五日、国会議員百十七人分の署名を首相官邸で斎藤勁官房副長官に手渡した。最終的に精査した結果、署名数は衆院八十一人、参院三十六人で、うち呼び掛け人は六十五人。福島県選出の渡部恒三最高顧問や小沢一郎元代表、羽田孜と鳩山由紀夫両元首相も署名した。現職の政務三役や党役員には署名を求めなかった。
荒井氏は署名提出後、記者団に「信頼を失った経済産業省原子力安全・保安院が安全性を主張しても国民の理解は得られない」と強調。「署名は多くの党議員が再稼働に慎重な証拠だ」と述べた。
これに先立ち、民主党は関連する部門会議や作業チームの合同会議で再稼働問題を議論し、出席者から「強引に手続きをとっている」と政府への批判が続出。再稼働を最終決定する首相と三閣僚の四者会合に同席している仙谷由人政調会長代行は「安全をないがしろにしていない。強引にもやっていない」と反論したが、議論を続けることになった。
前日に関西広域連合の最後の抵抗、4大臣会合での最終の確認を終え、残るは政権与党である民主党議員が数の論理で自制させるしかないのだ。
民主党の原発事故収束対策PTでは、4月10日に原発再稼働するための最低5条件を提示している。署名活動の背景には、野田政権が様々な条件や提言が出されても聞く耳を持たず再稼動への暴走にある。
原発再稼働問題に関する緊急提言(抜粋)
「安全神話」と決別し、「原子炉の安全」ではなく「住民の安全を守る」という観点から原発事故収束対策PTは、以下の点を再稼働を判断するにあたっての「前提条件」として政府に強く申し入れるものである。
(1)「国会事故調」並びに「政府事故調」の報告による事故原因の究明・解析を待ち、その知見を再稼働に向けての判断の中に取り入れるべきである。
(2)国会に提案されている「原子力規制庁法案等」を与野党の精力的な審議により一刻も早く成立をさせ、「住民の安全を守る」為の新規制組織、法律、マニュアル等の策定を待つこと。
(3)(2)に関連して改正原子力災害対策特別措置法が施行される。これに基く地域防災計画(拡大されたUPZにおける避難計画等)の策定を待つこと。
(4)中越地震における柏崎刈羽の事故を教訓として福島第1に「免震重要棟」が設置されていたことが、今回の事故における、現場の作業を支えた「最後の砦」であった。免震重要棟のない発電所においては、早急にその設置を行うこと。
(5)「住民の安全を守る」観点から、止むを得ず格納容器ベントをせざるを得ない事態等が想定されるところ。「ベント管の設置」あるいは「放射性物質を除去するためのフィルター設置」は必須である。
驚くべきは、その会議の様々な批判に対して、4大臣会合の出席者であり事実上の最高権力者である仙谷政策調査会長代行の発言である。
「安全を蔑ろにしていない。強引にもやっていない」「政府は国民に対し、丁寧な説明を心がけている。運転再開の判断は党が結論を出すものではなく、政府に任されている」
対策をせず安全を蔑ろにしていないとはどういうことか。会議の回数だけ数え経過日数だけ重ね強引にやっていないとはどういうことか。
安全安全と唱えるだけで丁寧な説明を心がけるとはどういうことか。判断は政府に任されているとは口出しするなということなのか。
本当に危険な思想家に実権を握られている。
この結果、117人の賛同する署名を携えて夕方に首相官邸に提出した。民主党所属議員は397人であるので約3割が慎重なのである。
そして、現時点で野田内閣の方針に反対している人数であるので、おそらく大飯原発再稼動の政治判断後には世論もあり過半数を超えよう。
ここまで批判を浴びる理由は、原発に対する安全対策の欠如のみならず、野田政権が政策遂行する政治手法に根本的な問題があるのだろう。
野田総理が官僚に洗脳されたことが原因だが、取り巻きに仙谷政策調査会長代行の如き「全体主義」思想の「共産主義左翼」の人間が多すぎたのだ。
過去の発言を振り返ると悍ましい。自衛隊を「暴力装置でもある自衛隊」発言したり、天皇及び皇室を「天皇陛下を含めて日本で最もリベラルな方々の集団」と発言したり、かなり歪んで明らかに常識的ではない。
また、官僚に洗脳された野田総理も経団連総会のあいさつで原発再稼動、消費税増税、TPP参加に改めてを意欲を述べたのである。
「本当に国家、国民のことを考えた時に何をやらないといけないかは分かっている。当たり前のことが当たり前のように決まる政治を実現したい」
これは、官僚機構による官僚機構のための政治を実現するから皆さん所属する社会主義ムラの繁栄に力を貸してくれと言っているのだ。
本当に国民のための政治を行ないたいなら民意に即した政治を行なうべきだし、民意に反した政治を行なうなら説得して納得させるべきだろう。
野田総理は、民意に即した政治を行なっているのにも関わらず、国民に説明しても説得できないので国民が全く納得していないのだ。
やはり、野田総理が街頭演説で国民に約束した「シロアリ退治」を行なわず、2009年のマニフェストを反故にして消費税増税に走る罪は重い。
このままでは野田総理=口だけ総理となろう。
そして、野田総理に真っ向から反対を訴えた小沢元代表が消費税増税反対のみならず、いよいよ大飯原発再稼動反対の意思表示も示したのである。
これまで、あまり原発については方向性を明らかにしていなかったが、これにより脱原発に向けて舵を切ったと見て良いだろう。
著名した名簿の中に小沢元代表以外にも、鳩山元首相、羽田元首相、渡部最高顧問など民主党のいわゆる重鎮と言われる方の名も多い。
これは、結論ありきのまま身勝手な手続きによって進められてきた野田政権の政治手法を経験の豊富な政治家が問題視し始めた表れだろう。
これにより、消費税反対では小沢グループ約120人が、大飯原発再稼動反対でも約120人が野田政権に異議を唱えていることになった。
そして、さらに形振り構わず消費税増税法案のみを通そうとする幹部の姿勢により、民主党の中間派をも敵に回そうとしているのである。
というのは、自民党が消費税増税法案に賛成する代わりとして社会保障の最低保障年金や年金一元化の取り下げを訴えているからだ。
これは、2009年マニフェストの最後の砦だ。
つまり、野田政権は2009年マニフェストを完全反故にした上で、公約違反である消費税増税法案を通そうとしているのである。
これでは何のために政権交代を果たしたのかわからない。民主党の存在意義さえ問われかねない事態に発展するのではなかろうか。
たとえ、消費税増税に賛成できても、金看板である最低保障年金や年金一元化まで降ろすことはできないという民主党議員が多いだろう。
そして結局のところ、マニフェスト回帰か反故かの踏み絵となるのである。つまり、どちらが選挙に勝てるのかということである。
おそらく野田政権が主張する政策に全て賛成しているのは野田グループ、前原グループのみだろう。それ以外は反野田で固まりつつある。
ここまで来れば一度、菅政権と野田政権を担ってきた主流派と鳩山政権を担った反主流を逆転させたほうが真っ当な民主党に戻るのかもしれないと考える民主党議員も少なくないのではないだろうか。
つまり、政権奪取に成功した選挙に強い民主党復活である。
そして、次のトリガーを引く切欠となるのが、野田政権の4大臣会合という密室会合での大飯原発の再稼動という政治判断である。
ここで倒閣運動が活発になれば、自民党との協議は進まず消費税法案も提出できず、野田総理は解散総選挙もできず内閣総辞職しかないだろう。
民主党がグレートリセットする日も近い。
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