ヒッグス粒子発見:すぐには役に立たぬが金を出す意義(2/4)
ヒッグス粒子発見!
すぐには役に立たぬものに
おカネを出す意義を考える
CERNにどのくらいカネがかかっているかというと、年間予算は900億円程度だ。日本の高エネルギー加速器研究機構の年間予算が400億円程度なので、それほどかかっていないというべきだろう。
小柴博士の正直な感想
欧州は経済危機で各国ともにCERNの予算を拠出するのが苦しい。目先を考えて、ヒッグス粒子が発見されて、何の役に立つのかという疑問がわくだろう。役に立たなければ予算を出さないという考えが背景にある。財政が厳しいというのが各国の財政当局の口癖だ。
本コラムで何回も紹介してきたように、日本の財政危機の話は増税キャンペーンの一環であって、あまり信用できない。それでも、重要な予算カットの口実にするときもある。日本の研究開発費は世界でもトップクラスである(下図参照)。それは誇るべきことなのだが、それさえも予算カットの口実にするかもしれない。
正直言えば、ヒッグス粒子が発見されても社会には何の役にも立たない。かつて、宇宙ニュートリノの検出でノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊博士が、自分の研究が役に立つかと問われて、「何の役にも立ちません」、「百年くらいしないと分からない」と堂々と述べている。基礎科学とはそういうもので、研究者としての正直な感想だ。
以上は「DIAMOND ONLINE」より
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