平家滅亡の経済学、清盛式貿易革命(3/6)
それは、清盛の「真の目的」が「"本当の"日宋貿易の確立」にあったからではないか、と推察できます。
偽りの日宋貿易とは---日本不在の「宋宋」貿易
当時の日宋貿易は、輸出も輸入もすべて博多にいる宋商人(博多綱首)が仕切っていた・・・という話を以前しました(「経営者・平清盛の失敗」2011.8.26記事5ページ参照)。
博多綱首がその立場を独占できた理由の一つは、日本で宋船を受け入れられる港が、実質的には博多港しかなかったからです。
たしかに、博多港のライバルとして、越前国の敦賀港もありました(同・2011.9.8記事3ページ参照)。しかし敦賀港は、往路は対馬海流に乗って楽に行ける反面、復路は逆流になるので陸沿いを進まねばならず時間がかかる・・・という弱点もあったのです。(*4)
その結果、宋船はほぼ博多に到着。こうなると博多綱首の影響力から逃れられません。
つまり、「日宋貿易」とは名ばかり、その経済的実態は大国・宋と商売上手な宋商人の手による「宋宋貿易」であったのです。儲けは、ほとんど宋側のものでした。
ここで、勘のよい人なら「宋船に出資すれば儲かるのでは?」と想像するかもしれません。
実際、日本の寺社が出資者として名を連ねることもありました。
しかし当時、宋船の多くは宋の寺社も出資していました。日本側が得られる分け前が、多いはずがありません。(*5)
これが幻の清盛式"貿易革命"
さて、宋側が独占していた貿易体制に対し、清盛は「瀬戸内海航路」という大きな楔を打ち込みます。
実はこれこそ、清盛が目指した「"本当の"日宋貿易の確立」、壮大な貿易革命の道筋だったのです。
(*5)ここからずっと後の江戸時代初期になって初めて、日本の豪商が外国の貿易船に無担保で買付用の銀を融資し、航海成功時に3~11割の高利子を付けて大儲けする「投銀(なげがね)」という方法が編み出されました。
« 瀕死の”末期患者”アメリカが「米ドル札刷り散らかし作戦」を決定 | トップページ | 米国・ミシシッピー川枯渇危機、水運は片側通行 »
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 政権に忖度するテレビ朝日に「株主提案」で問題提起 勝算はあるのか…田中優子さんに聞いた 注目の人 直撃インタビュー(日刊ゲンダイ)(2024.05.28)
- 言論統制が強化されている米国でFOXニュースのタッカー・カールソンが解雇に(2023.05.13)
- MGMが北米でMinamataを「葬ろうとしている」と非難する著名カメラマンのステファン・デュポン(2021.11.17)
- なんでテレビはこういうことを報道しないんですかね?wwwコロナの大嘘がばれるからですね。www(2020.11.24)
- 映画『テネット[TENET]』は警告している!(2020.10.25)
« 瀕死の”末期患者”アメリカが「米ドル札刷り散らかし作戦」を決定 | トップページ | 米国・ミシシッピー川枯渇危機、水運は片側通行 »
コメント