平家滅亡の経済学、宋銭普及の謎(3/6)
また、私がどこかの商店街の会長になって
「うちの商店街では"円"だけでなく"ドル"も商売で使いましょう」
と言ったところで、誰も賛同してくれないと思います。
外国人客だらけの商店街ならともかく、地元住民にお釣りをドルで渡しても迷惑がられるだけです。それ以上に、扱う通貨が2つになれば、管理や集計といった実務的な手間も倍になります。
清盛の生きた平安時代末期も同じ状況です。
小さな銅のカタマリを見せられて「これが通貨だ」と言われても、そんな実績がないものを信認しません。それに新たな通貨が追加されても、手間が増えるだけです。
つまり、誰か一人が賛同しても、お上が強制的に勧めてもダメで、その共同体の構成員の大半が宋銭を通貨として認めなければ、流通することはないのです。
貨幣導入への涙ぐましい努力
そもそも、「貨幣を導入する」というのは大変なことです。
奈良時代の直前につくられた国産の銅銭「和同開珎(わどうかいちん)」も、簡単に普及したわけではありません。
銅銭導入の責任者である朝廷は、さまざまな手を尽くします。
それまで米で払っていた役人への給料、労働者への賃金のうち一部を銭で払ったり、当時の税金である「租・庸・調・雑徭」のうち、庸・調・雑徭を銭で納めさせることにして、なんとか銭を流通させようとしました。
また、地方にも流通させるため、旅で銭を使うことを奨励したり、土地の売買には銭を使うことを強制しました。
そして、極めつけは、一定の銭を貯めた人々には高い位を授けるという法律(蓄銭叙位令)をつくったのです。
これは貴族だけでなく、農民も対象にしたものだったので、まさに国中を巻き込んでの普及政策でした。
それでも、和同開珎をはじめとする国産の貨幣は900年代後半を最後に、つくられなくなってしまいます(その理由は、後日解説します)。
以上は「現代ビジネス」より
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