関西電力、高浜原発「暗殺指令」(4/4)
関西電力・高浜原発「町長暗殺指令」
(その6)後編
◆テープに録音された執行役員の発言MOX燃料のデータ改竄事件のほと ぼりもさめた04年3月、関電のプル サーマル計画がようやく再開されたが、 わずか半年で暗礁に乗り上げる。同 年8月、美浜原発で死者5名を出す大事 故が起こったのだ。今井町長は再び プルサーマル計画への態度を硬化させ、 関電のプルサーマル計画は白紙撤回 された。 この頃、K氏はすでに福井県美浜町に ある若狭支社(現『原子力事業本 部』、三つの原発を統轄する)の副支 社長に昇格していたにもかかわらず、 加藤氏に対しても露骨に町長の〝暗殺″ を命じるようになったという。前号 で報じたとおり、「標的」であった当の 今井町長もまた、その〝暗殺計画〟 を認識している。 「実行者」も「標的」もその存在を 認める〝暗殺指令″について、関電は、 「(〝暗殺〟を)指示したのか確認 したところ、K本人は否定しました。 当時の上司と部下にも確認しましたが、 誰も認識していません」(広報室報 道グループ・島田佳明報道課長) と回答した。しかし、これは、事実 に反する。 関電の執行役員が、K氏による 〝町長暗殺計画″を認めていたというのだ。 矢竹氏が事の経緯を解鋭する。 「ワシは06年7月中旬に、福井県美 浜町にある関電の原子力事業本部を 訪ねて、執行役員と面会し、直談判に及 びました」 その場に立ち会った関電側の人間は、 原子力事業本部に所属する執行役員 のA氏と部長2名(写真左下はその名刺) だった。 「A執行役員に、Kの〝暗殺指令〟に ついて、洗いざらいぶちまけたんで す。そのうえで、「ワシらの本業である 警備犬事業が結局、Kによってまっ たく違った方向に行ってしまい、尻す ぼみになったことを会社として認めて、 謝罪して下さい』とお願いしました」 矢竹氏に対する回答があったのは 約2週間後。矢竹氏は7月31日に再び 原子力事業本部を訪れ、A執行役員ら 前出の3名と面会した。ここでのやり 取りを矢竹氏はテープに録音している。 その一部を再現しよう。 A 事実関係を調査した結果、そのよ うなこと(K氏による高浜町長〝暗 殺計画〟)はあったようです。しかし、それはあくまでK個人がやったこと。 矢竹 Aさん、それは、あなたの考え ですか?それとも関電としての答え ですか? A 関電としての答えです。矢竹さん、 一つ言っておきますが、この件に ついて、今後K個人とどのような話をし てもらってもええです。しかし、関 電には受付の窓口はありません。 矢竹氏がこう憤る。 「まったく無茶苦茶な論理じゃないで すか。Kによる〝暗殺計画〟を事実 として認めながらも、会社としてはまる で関係ない、だから会社として謝ら んと言いよったわけです」 この面談の結果を矢竹氏から聞いた 加藤氏も憤りのあまり、直談判に及ん だ。 「ワシがA執行役員ら3人に会った のは、8月7日のことです。しかし、 私が聞いても彼らの答えは同じでした。 平たくいえば『K個人がやったこ と』、そう言うだけです。関電として 事実関係は認めても、Kの言動につい て『会社の意向でした』とは口が裂け ても言えんのやろうね」 |
◆関電側が提示した姑息な〝懐柔策〟それだけではない。その場で関電 は加藤氏に、姑息ともいうべき〝懐柔策〟 まで提示したというのだ。 「A執行役員は、私にこう言いました。 『(関電と)ダイニチさんとは、 固い絆で結ばれると信じております。 だから、これからも私どもとのお付き 合いをお願いしたい。私の部下とこれか らのことをなんなりと話し合って下 さい』と。Kのことは脇に置いて、警備 犬事業はこれからも続けてくれとい うわけです。それを聞いて、ワシは怒る よりも『この件を暴露されると困る から、懐柔策に出てきよったな』と呆れ ました。ワシは『御社との仕事は、 一切お断りします。警備事業も何もかも 全部こちらから止めさせてもらいま す』と言いました。結局、関電側は今ま で一度も誠意ある態度を示していま せん」 加藤氏の直談判から約8ヵ月後、K氏 は定年を前に関電を退職したものの、 現在、関電の100%子会社の部長職に 収まっている。本誌は直接取材を試 みたが、K氏は3月10日から「私用」 を理由に会社を休み、いっさい取材 を受けようとしない。そこで、再び関電 に問い質したが、 「当社が(Kが〝暗殺〟を指示したと) 認めるような発言をするはずがあ りませんし、そのような事実はありません」( 前出島田課長) と答えるのみだった。 K氏を庇(かば)い、〝暗殺指令〟 を揉み消そうとさえした関西電力。日 本を代表する電力会社として、 その責任はあまりに重い。 |
以上は「週刊現代」より
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