原子力規制委員長・田中俊一氏とはどんな人物か(4/4)
100ミリシーベルト以下なら健康への影響は大きくない
元原子力委員会委員、田中俊一氏インタビュー
――もしもに備えて厳しめに見ておいた方がいい、ということなのでは…。
田中:厳しめに見るのは構いませんが、厳しくしすぎることで現実に生活できなくなってしまいます。放射線被ばくの基準は、生活を維持することの利益と健康リスクの影響を考慮して決められていますので、厳しすぎると他のマイナスの方が大きくなります。
一番のリスクは被ばくを怖れるストレス
現地に行くと、「誰を信用したら良いんですか」という質問を受けます。はっきり申し上げて、専門の世界には少数意見があり、様々なことを言う人がいます。ただ、我が国の放射線防護基準は、国連科学委員会やICRP、世界保健機関(WHO)などが協力し、蓄積した半世紀以上のデータを踏まえた作ったものです。
ヒロシマ、ナガサキ、ビキニ諸島、セミパラチンスク、スリーマイル、チェルノブイリ――。こういったところで得られた科学的なデータを基に、国際的な合意として放射線防護の基準が作り上げられています。科学者の様々な意見を否定はしませんが、現在の状況で国際的な合意と違う異見を主張して、国民を混乱させるのは控えるべきであると思います。
これを言うとよく批判されますが、100ミリシーベルト以下ではそんなに健康影響は大きくありません。私達は様々なリスクをもって生きています。よく言われますが、たばこを吸うと1シーベルトの被ばくよりもガンになる確率が高い。受動喫煙も100ミリシーベルト並みの発ガンリスクがある。野菜不足、運動不足、肥満などは100ミリシーベルトの被ばくよりリスクが大きいという国立がんセンターの統計があります。
一番のリスクは被ばくを怖れるストレスと言われています。様々なリスクのバランスを考えて、自分で判断してストレスを抑制することが大事ですと申し上げています。残念ながら過剰に恐れすぎている。恐れさせられているといった方が正確かも知れませんが…。
「日本はおかしい国になっている」
今回の原発事故で日本はおかしい国になっているのではないかと思うことも少なくありません。原発事故後の現在の状況は放射線との一種の戦争状態だと思いますが、国の基準も平時のことを基本に示され、消費者も平時のことを要求しています。
食品の暫定基準値もそうです。放射性セシウムで言えば、日本の飲料水や牛乳は1kgあたり200ベクレルですが、EUは1000ベクレルです。恐らく、欧州の方が乳製品をたくさん食べると思いますが、基準は日本よりも5倍も緩い。
日本では科学技術立国と言うけれど、科学のリテラシーはどうも怪しいのではないかと思い始めています。放射線が危険かどうかは程度の問題です。安全な食べ物も食べ過ぎれば危険です。「放射線のリスクも量の問題だから定量的に考えて下さい」と申し上げるのですが、シーベルトとかベクレルという単位もあって、なかなかそういう判断にはなりません。専門家から様々な見解が出ているために、信用できなくなっているということもあるかもしれません。
いずれにせよ、私は避難している方々が一刻も早く戻り、福島県の皆さんが少しでも安心して暮らせるように、除染活動を続けるだけです。
以上は「日経ビジネス」より
今後、本当に田中氏が言っているように安全であるのかどうか良く見て行きたいと思います。先ず、本人が実際に福島県内に住まいを移して暮らすことが一番説得力があります。言う事とやることが違うこの頃の連中の試金石となりそうです。 以上
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