平家滅亡の経済学、密貿易だけで儲かるとは甘すぎる(4/5)
しかし、ここはビジネスの頭で、あと一歩踏み込んで考えてみてください。
公貿易だと国家権力により独占できますが、密貿易の場合は国家権力を上回る圧倒的な力がないと独占などできません。また、宋商人のほうも価格設定権を手に入れたいので、独占が起きることは望まなかったはずです。
つまり、密貿易というのは独占状態が発生しにくく、必然的に自由競争が繰り広げられていく状態になるのです。
さて、この当時の自由競争のメンバーは、博多周辺の寺社や、博多周辺に所領を持つ貴族たちでした。寺社を具体的に挙げると、日本三大八幡宮(*4)の一つ筥崎宮(はこざきぐう)、地名にもなっている香椎宮(かしいぐう)、「海の正倉院」を持つ宗像大社(むなかたたいしゃ)、大宰府にある古寺・観世音寺(かんぜおんじ)、そして、現在の大宰府天満宮である安楽寺(あんらくじ)など、今でも存在する寺社ばかりです。
戦国時代、延暦寺や本願寺が織田信長と対抗したように、寺社は昔から領地を持ち僧兵・神人(神社の武者)を抱える一大勢力で、寄付に頼らない収入源として貿易にも積極的だったのです。
さらに、自由競争の時代ですが、力が弱まったとはいえ大宰府の政庁もありますので、国家権力も随時介入してきます。
そのなかに参入したのが、平忠盛。清盛の父親にあたります。
彼はもともと西国での海賊退治を任されていたので、貿易の魅力については十分知っていたことでしょう。
1133年、忠盛は海に面した肥前国神崎庄(現在の佐賀県・有明海側)という荘園の管理を任されると、そこに宋船でやってきた宋商人と貿易を行います(*5)。
さらに、調べに来た大宰府の役人に対し、「(当時の最高権力者である)鳥羽法皇から許可をもらった!」と偽の院宣(いんぜん)を作って、役人を追い返してしまいます。
(*5)これについては、「宋船は、神崎庄がある有明海に来航したのではなく、博多にある神崎庄所有の倉庫にやってきたのだ」という説もあり、学会を二分しています。
以上は「現代ビジネス」より
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