平家滅亡の経済学、宋銭普及の鍵にぎる「ドル化」他(8/8)
皇朝十二銭が流通していた時代も、安い中国銭を材料にして偽造したニセ金(私鋳銭)などが出回っていました。
この偽造の歴史を語るときに切ってもきりはなせないのが、「貨幣発行益」です。
貨幣を発行するとき、「貨幣としての値打ち(交換価値)」と「素材自体の値打ち(使用価値)」に差が生じると、その差額は利益になります。
たとえば、現在の日本の貨幣でも次のような差額が出ます。
ご覧のように、だいたいは「素材自体の値打ち」のほうが安いです。100円玉の場合は原価が「25円」なので、1枚つくるごとに「75円」の貨幣発行益が発生します。
もちろん人件費などはかかるでしょう。それでも、基本的に偽造は儲かります。
なぜなら国家自体が、貨幣発行にかかる諸費を考慮しても利益が出るように、貨幣をつくっているからです(かの和同開珎も、この「貨幣発行益」によって平城京への遷都費用を捻出することが発行理由の一つです)。
そのため、偽造は後を絶ちません。和同開珎の時代から、偽造犯は極刑---死刑と決まっていましたが、それでも収まりません。
一方、これに対抗するため、ときの為政者たちは、定期的に貨幣のデザインを変更して発行しています。この古典的・かつ普遍的な対処策は、現在の日本の紙幣でも行われているので馴染み深いと思います。
実は、この「偽造」と「貨幣発行益」をめぐる問題が、宋銭導入・普及のミステリーを解き明かす重要なカギとなるのです---この続きは、また次回。
著者:山田 真哉
『経営者・平清盛の失敗 会計士が書いた歴史と経済の教科書』
(講談社刊、税込み1,365円)
発売中
amazonはこちらをご覧ください。
« 橋下徹と日本維新の会、その① | トップページ | 極秘軍事技術シリーズ(6)瞬間移動とタイムトラベル技術③ »
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- 政権に忖度するテレビ朝日に「株主提案」で問題提起 勝算はあるのか…田中優子さんに聞いた 注目の人 直撃インタビュー(日刊ゲンダイ)(2024.05.28)
- 言論統制が強化されている米国でFOXニュースのタッカー・カールソンが解雇に(2023.05.13)
- MGMが北米でMinamataを「葬ろうとしている」と非難する著名カメラマンのステファン・デュポン(2021.11.17)
- なんでテレビはこういうことを報道しないんですかね?wwwコロナの大嘘がばれるからですね。www(2020.11.24)
- 映画『テネット[TENET]』は警告している!(2020.10.25)
コメント