平家滅亡の経済学、清盛の二大事業(4/5)
最終的に清盛は、瀬戸内海における平家の新たな拠点を築こうとしていたのです。(*3)
このように考えると、「音戸の瀬戸の開削が当時の文献に残っていない」という謎についても、ひとつの理由が想像されます。
そもそも、「当時の文献」の大半は、貴族の書いた日記などです。そのため、朝廷に報告がされたり、京の都で噂にのぼったりしない限り、史料として残らないのです。
地元の伝承によると、音戸の瀬戸の工事が行われたのは1160年代。ちょうど、清盛が太政大臣に、嫡男・重盛が大納言になるなど、平家一門が大きく地位を高めた時期でした。
音戸の瀬戸開削に「瀬戸内海の新たな拠点の開発」という真の目的があることを知られれば、平氏一門のさらなる伸長を危惧する朝廷に目をつけられるかもしれません。
余計な警戒を避けるため、清盛は工事をすべて私費で賄い、都の噂にも流れぬよう秘密裡に実行していたのかもしれません。
清盛の「秘密基地」のその後
結局、この構想は平家滅亡により日の目を見ることはありませんでした。しかし、なんと後の世の人々によって次々に実現されていったのです。
まず、太田川河口。
清盛の死後350年以上経った戦国時代、その物流の中心地としての重要性に着目したのは、毛利元就でした。そして孫にあたる後継者の毛利輝元が、山間部の盆地にあった吉田郡山城から太田川河口に本拠地を移し、そこに新たに城を築きます。
それが広島城、その一帯が現在の広島市です。
さらに300年後の明治時代には、ここに陸軍第五師団司令部が置かれ、日清戦争に伴い天皇・大本営・帝国議会が東京から移ってきます。前線に近く、かつ防衛しやすい場所として選ばれたのです。
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