平家滅亡の経済学、銭の病に苦しむ人々(7/9)
大半の貴族は、宋銭の普及には反対でした。自らの収入減のこともありますが、そもそも估価法は朝廷の権威たる「通貨発行権」に等しいものです(第二部4話2ページ参照)。これをないがしろにするものは許せません。
一方で平家寄りの貴族は「估価法の時代に戻すのはナンセンス」と主張し、朝廷内は激しく対立したのです。
会議は白熱! されど・・・
また、高倉天皇は同時に
「宋銭の流通についても認めるかどうか考えてほしい」
という指示も出しています。
これまで朝廷は「外国貨幣の流通を認めるなど論外!」という立場でしたが、ここにきて初めて天皇が「宋銭の流通公認」を提案したのです。
前回述べたとおり、高倉天皇は平清盛とタッグを組んでいる関係ですから、この提案の背後には宋銭の流通を公認させようとした清盛の要請があったとみられます。
さて、この高倉天皇の指示に対して、明法博士(みょうほうはかせ、法律の専門家)の中原基廣という人物は、
「宋銭は朝廷がつくったものではないから私鋳銭(ニセ金)と同じ。流通を禁止すべきである」
と提言します。
実はこの中原基廣、もともと平家寄りの貴族です。それでも平家を批判する側にまわってしまうほど、貴族の間では宋銭反対の意見が根強かったのです。
宋銭普及賛成「高倉天皇・平家・一部の貴族」
VS
宋銭普及反対「大半の貴族(荘園領主)」
しかし、反対派の激論むなしく、8月に高倉天皇によって発布された成文法(公家新制三十二条)は、宋銭について「ノーコメント」でした。
停止されることも規制されることもなかった---つまり、実質的に黙認された、という結果になったのです。
負けた貴族の不満が溜まって"ドロ沼"に
こうして朝廷を二分した対立は、平家方が勝利しました。これは、前回の記事でいうところの「重商主義派」の勝利でもあります。(第三部1回7ページ参照)
以上は「現代ビジネス」より
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