次期FRB議長イエレン氏はどんな人?
『次期FRB議長イエレン氏はどんな人?』 タカ派のサマーズではなく,量的緩和を継続するだろうイエレン女史をオバマの民主党は選んだ.

「量的緩和(QE)」の急先鋒であるジャネット・イエレン女史が連邦準備制度理事会(FRB)になる.
これでアメリカは,特に株式など金融市場が「ミニ・ハイパーインフレ」に向かって突き進むことになる.
が,その前にソフトランディングさせる手法をイエレン女史のFRBは考え出すはず…,というのが私の予想だ.
cf.→ http://p.tl/yxAc , http://p.tl/Yf7p (飯山一郎)
これでアメリカは,特に株式など金融市場が「ミニ・ハイパーインフレ」に向かって突き進むことになる.
が,その前にソフトランディングさせる手法をイエレン女史のFRBは考え出すはず…,というのが私の予想だ.
cf.→ http://p.tl/yxAc , http://p.tl/Yf7p (飯山一郎)

ジャネット・イエレン連邦準備制度理事会(FRB)副議長(67歳)が、来年1月末で任期を終えるバーナンキ議長の後任として指名された。FRBの議長・副議長は大統領が上院の承認に基づいて任命し、任期は4年間。民主党が多数派となっている上院はイエレン氏の指名を承認する見込みである。もしFRB議長になれば女性初である。写真をみても、なかなかチャーミングな「おばさん」である。
イエレン氏は1971年に、イェール大学で経済学の博士号をジェームズ・トービン教授('81年ノーベル賞受賞)の下で取得した。失業のコストと原因を研究し、中央銀行は失業率の低下に貢献できるという師の考えを学んだ。
イエレン氏が夫であるジョージ・アカロフ氏と出会ったのが'77年。イエレン氏が大学のテニュア(終身雇用資格)がなかなかとれず、FRBのエコノミストになっていたときのことで、FRBのカフェテリアで会ったという。アカロフ氏も大学のポストの昇進が遅れたのは有名な話だが、今では、アカロフ氏はノーベル賞受賞者('01年)、イエレン氏は次期FRB議長である。
イエレン氏とアカロフ氏は、'81年に二人の職場であったカリフォルニア大学バークレー校で興味深いベビーシッターの求人広告を出している。「Good pay」。つまり通常より高いお金を払うと書いた。
何気ないようだが、高い賃金でより良いベビーシッティングが期待できるというわけだ。これは、その後、賃金上昇によって労働者の生産性が向上し会社の利益が増すという、イエレン氏の代表的な研究成果にまでなっている。
通常より高い賃金というのを、「企業が均衡状態の賃金より高い賃金で雇用する」と言い換えれば、不況の時に企業が大胆に賃金カットしないこともある程度説明がつく。これが賃金の硬直性につながる。
しかし、この硬直性は金融政策の有効性にもつながる。金融政策で景気を刺激すると企業収益が増えるが、賃金があまり変化しないと雇用はすぐに増えるからだ。
これが、イエレン氏の金融政策の背景にある考え方だ。'94年からFRB理事、'97年からクリントン政権で大統領経済諮問委員会委員長、'04年からサンフランシスコ連邦準備銀行総裁、'10年からFRB副議長と実務に長く関わってきた。
FRB副議長時代には、バーナンキ議長と長年の共通の考えであったインフレ目標をFRBに公式採用させたのが大きな貢献だ。インフレ目標2%はFRB理事時代から主張していた。それは暗黙のものとして事実上採用されていたが、これはイエレン氏がFRBに長く関わってきたからだ。
イエレン氏の場合には、FRB副議長としての実績もあるので、金融政策のスタンスは明確で予見性は高いだろう。政策スタンスはバーナンキ路線とほぼ同じであり、ハト派的なものだ。出口戦略についてはより慎重になるだろう。イエレン氏は指名を受けた10月9日、「多くの米国民が仕事をみつけられず、生活や家族のことを心配している」と述べている。雇用を重視した金融政策に期待する人は多い。
不安は、議会共和党の一部にいる緊縮財政論の茶会派だ。彼らはFRB廃止論を唱えるなど、マクロ経済運営では首をかしげたくなる存在だ。そうした議会の一部や出口戦略を性急に要求する一部の金融機関などが、イエレン氏の足を引っ張ってくるだろう。これをどのようにいなしていくのか、注目したい。
『週刊現代』2013年11月2日号より (原典)
イエレン氏とアカロフ氏は、'81年に二人の職場であったカリフォルニア大学バークレー校で興味深いベビーシッターの求人広告を出している。「Good pay」。つまり通常より高いお金を払うと書いた。
何気ないようだが、高い賃金でより良いベビーシッティングが期待できるというわけだ。これは、その後、賃金上昇によって労働者の生産性が向上し会社の利益が増すという、イエレン氏の代表的な研究成果にまでなっている。
通常より高い賃金というのを、「企業が均衡状態の賃金より高い賃金で雇用する」と言い換えれば、不況の時に企業が大胆に賃金カットしないこともある程度説明がつく。これが賃金の硬直性につながる。
しかし、この硬直性は金融政策の有効性にもつながる。金融政策で景気を刺激すると企業収益が増えるが、賃金があまり変化しないと雇用はすぐに増えるからだ。
これが、イエレン氏の金融政策の背景にある考え方だ。'94年からFRB理事、'97年からクリントン政権で大統領経済諮問委員会委員長、'04年からサンフランシスコ連邦準備銀行総裁、'10年からFRB副議長と実務に長く関わってきた。
FRB副議長時代には、バーナンキ議長と長年の共通の考えであったインフレ目標をFRBに公式採用させたのが大きな貢献だ。インフレ目標2%はFRB理事時代から主張していた。それは暗黙のものとして事実上採用されていたが、これはイエレン氏がFRBに長く関わってきたからだ。
イエレン氏の場合には、FRB副議長としての実績もあるので、金融政策のスタンスは明確で予見性は高いだろう。政策スタンスはバーナンキ路線とほぼ同じであり、ハト派的なものだ。出口戦略についてはより慎重になるだろう。イエレン氏は指名を受けた10月9日、「多くの米国民が仕事をみつけられず、生活や家族のことを心配している」と述べている。雇用を重視した金融政策に期待する人は多い。
不安は、議会共和党の一部にいる緊縮財政論の茶会派だ。彼らはFRB廃止論を唱えるなど、マクロ経済運営では首をかしげたくなる存在だ。そうした議会の一部や出口戦略を性急に要求する一部の金融機関などが、イエレン氏の足を引っ張ってくるだろう。これをどのようにいなしていくのか、注目したい。
『週刊現代』2013年11月2日号より (原典)
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