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2014年3月29日 (土)

核戦争だけでなく、経済戦争も避けたい米国の苦境

核戦争だけでなく、決済通貨としてのドルの地位を危うくする経済戦争も避けたい米国政府の苦境                   

カテゴリ:カテゴリ未分類    
     ウクライナの経済は破綻している。EUと「連合協定」の締結に向けた準備を停止、ロシアとの協議を再開するとビクトル・ヤヌコビッチ大統領が11月21日に発表した最大の理由もここにある。天然ガスの価格の30%値下げ、150億ドルの支援をロシア政府が提示し、それを受け入れたのだ。EUとの協定が導く先にはギリシャのような状況が待ち受けている。

 ロシアにとってウクライナは地政学的に重要な意味を持っている。1990年に東西ドイツの統一が問題になっていた際、アメリカの国務長官だったジェームズ・ベイカーはソ連の外務大臣だったエドゥアルド・シュワルナゼに対し、東へNATOを拡大することはないと約束、ソ連のミハイル・ゴルバチョフ大統領はそれを真に受けた。

 ところが、1991年にスロベニア、クロアチア、マケドニア、そして翌年にボスニア・ヘルツェゴビナがユーゴスラビアからの独立を宣言、それに対してセルビア・モンテネグロがユーゴスラビア連邦共和国を結成するのだが、そこからコソボが分離独立を図る。一連の独立を「西側」は支援、NATOは東へ拡大していく。そして1999年にNATOはユーゴスラビアを先制攻撃するのだが、その際、爆撃を正当化するために流された話はことごとく嘘だった。

 旧ソ連圏からのNATO加盟国は、1999年にチェコ、ハンガリー、ポーランド、2004年にブルガリア、エストニア、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、2009年にアルバニア、クロアチア。エストニア、ラトビア、リトアニアのバルト3国にはNATO系の軍事訓練施設があり、ポーランドやリトアニアなどにはCIAの秘密尋問(拷問)施設が設置されている。

 グルジアでは「バラ革命」、そして到達したのがウクライナ。「オレンジ革命」でビクトル・ユシチェンコが大統領に就任するが、いずれも「西側」の支配層や、その同盟者であるオリガルヒが仕掛けたものだ。ウクライナを「西側」が制圧すればロシアを弱体化させることができ、世界支配が実現するのだが、逆にロシアが押さえたなら、ロシアの影響力はEU、そして世界へと広がっていくと考える人は少なくない。つまり「唯一の超大国アメリカ」は実現できない。ウクライナは重要な位置にある。

 軍事的に最も重要視されているのは、クリミアのセバストポリにあるロシア海軍黒海艦隊の軍港。クリミアが住民投票を経て独立、ロシアへ編入されたなら、ネオ・ナチを使ってクーデターを起こした意味が半減してしまう。

 ロシア軍が実際に軍事侵攻してくれば軍事的に対応することも可能だが、今のところロシアは演習で威嚇しているだけ。そこで「経済制裁」という声が出てくるわけだが、経済戦争になるとEUは勿論、アメリカも崩壊する。アメリカの財務省証券を投げ売りし、ロシアの石油や天然ガスを購入している国々に対し、ドル以外の通貨を要求するだけでもアメリカには致命的なダメージになる。

 立場上、アメリカ政府はロシアに対して強く出なければならないのだろうが、全面核兵器だけでなく、経済戦争も避けたいと考えているはず。イスラエルのモシェ・ヤーロン国防相はアメリカ政府を弱腰だと批判、それに同調している人もいるようだが、あらゆる意味で、そうしたことのできる状況ではない。ウラジミル・プーチン露大統領は「西側」の制裁を相手にしないとしているが、すでに「西側」が報復を恐れていることを理解しているから出てくる発言だ。ロシアのウクライナ救済策を取りやめるだけでも大きな影響が出ている。

 地政学的な重要性だけでなく、「西側」にとってウクライナには経済的な魅力もある。有名な穀倉地帯であり、東部には工業都市も存在する。そこで、モンサントカーギルなどのアグリビジネスやシェブロンのような巨大石油企業も食指を伸ばしてきた。EUと結びつくと、巨大資本の食い物になるということだ。

 シェブロンは11月5日、ウクライナ西部で石油と天然ガスを50年間、開発することでウクライナ政府と合意、昨年12月13日にヌランド次官補が米国ウクライナ基金の大会で演壇に登場した際、彼女の背後にはシェブロンのマークが飾られていた。

 ところが、11月21日、ウクライナ政府はEUと経済や政治などでの関係を強化する「連合協定」の締結に向けた準備を停止、ロシアとの協議を再開すると発表する。ロシア政府が天然ガスの価格を30%値下げし、150億ドルを支援すると提案、その好条件を受け入れたのだ。EUの実態を見てもわかるように、巨大資本は所詮、ターゲット国を食い物にするだけで、ロシア側の提案に乗ったのは当然だった。

 そして、キエフではビクトル・ヤヌコビッチ大統領に対する抗議活動が始まる。2月21日に平和協定が調印され、事態が収束に向かいそうになったところでネオ・ナチが狙撃を始めて死者が急増、クーデターを成功させたわけである。その「功績」で現在、キエフではネオ・ナチが主導権を握ったようだ。アメリカはアル・カイダに続き、ネオ・ナチというモンスターを育て上げた。

 その一方、キエフの暫定政権は「西側」との関係を強化する方向へ動いている。IMFが支援すると言われているが、カネを貸すというだけのこと。そのカネは支配層の懐へ入ってしまい、「西側」の金融機関へ還流していくのだろう。そして庶民は借金の返済を迫られ、緊縮政策を押しつけられる。

 いわゆる「オレンジ革命」を経て大統領になったユシチェンコにしろ、今回のクーデターで首相になったアルセニー・ヤツェニュクにしろ、銀行出身でウクライナ国立銀行のトップを経験している。「西側」の金融機関にとっては好ましいのだろうが、ウクライナの庶民にとっては最悪。庶民の不満をネオ・ナチが抑え込むことになりそうだ。「西側」の支配された状態で自由や民主主義を実現することは困難で、庶民が豊かさを実現することも不可能に近い。    
以上は「櫻井ジャーナル」より
ウクライナにおける欧米の自分がってな行動はうまく行くはずはありません。最終的には常識的な結論に落ち着くことになるでしょう。そうでなければ騒動はなくなりません。一部の利権者だけを優先させた政策はいずれ崩壊するのです。安倍政権の政策も同様です。以上

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