天皇と皇族のお言葉に秘められた国家と国民への重いメッセージ(6/6)
「天皇の役割を果たそうと努力できたことを幸せだったと思う」
天皇と皇族のお言葉に秘められた国家と国民への重いメッセージ
(SAPIO 2014年3月号掲載) 2014年3月24日(月)配信
皇位継承の危機打開を求める
ギリギリ政治的発言の一歩手前まで近づいた例を挙げよう。平成21年、ご即位20年に際し開かれた記者会見で天皇陛下は次のように述べられた。記者からの「皇室についてはこの先、皇族方の数が非常に少なくなり、皇位の安定的継承が難しくなる可能性があるのが現状です。(中略)両陛下は皇室の現状、将来をどうお考えでしょうか」との質問へのご回答だ。
「皇位の継承という点で、皇室の現状については、質問のとおりだと思います。皇位継承の制度にかかわることについては、国会の論議に委ねるべきであると思います」
今の憲法では皇室典範の改正は「国会の議決」によるとされている(第2条)。したがって、右の陛下のご回答を政治的発言と見なす者は誰もいないはずだ。では何の変哲もないお座なりのご発言かと言えば、決してそうではない。というのは、陛下はあえて「皇位の継承という点で……」と質問者の現状認識にわざわざ同意を与えておられるからだ。
これによって、陛下ご自身も「皇位の安定的継承が難しくなる可能性がある」との危機感を抱いておられることが、お言葉によって明らかにされたことになる。そうなると「国会の論議に委ねるべきである」とのお言葉も、まるでニュアンスが変わってくる。つまり陛下は「皇位の継承」の将来への憂慮を直截に披瀝された上で、制度の改正は「国会の論議に委ねる」とされたのであるから、ほとんど言外に危機打開のための典範改正を国会に求めておられるに等しい。まさにギリギリのご発言である。
陛下の切実なこのお訴えに応えようとする政治家はいないのか。皇室の将来を真剣に憂える政治家はいないのだろうか。
最後に、皇室の存在意義についての皇后陛下のお言葉を引いておく。
「人の一生と同じく、国の歴史にも喜びの時、苦しみの時があり、そのいずれの時にも国民と共にあることが、陛下の御旨であると思います。陛下が、(中略)絶えずご自身の在り方を顧みられつつ、国民の叡智がよき判断を下し、国民の意志がよきことを志向するよう祈り続けていらっしゃることが、皇室存在の意義、役割を示しているのではないかと考えます」(平成7年のお誕生日に際しての文書回答)
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