イスラエルは何故ウソをつくのか
イスラエルはなぜウソをつくのか
Chris Hedges
2014年8月3日
"TruthDig"
日曜日、南部ガザ、ラファの住宅アパートを狙ったイスラエル空爆の生存者を救出するパレスチナ人 AP/Eyad
Baba
I.F.ストーンが指摘した通り、イスラエルやハマースを含め、あらゆる政府はウソをつく。しかし、イスラエルは、独裁的・全体主義的政権に特有の、開いた口がふさがらない類のウソをついている。真実を歪めるウソではない。真実をひっくり返すのだ。それは決まって、現実とは正反対の外部世界を描き出す。そして占領地域を取材する我々記者達全員、イスラエルの「不思議の国のアリス風」言辞に出くわし、アメリカ・ジャーナリズムの規則の下ではそう要求されるので、例え、我々が虚偽だと知ってはいても、律儀に、それを記事の中に挿入するのだ。
ハンユニスのガザ難民キャンプで、少年達がイスラエル兵士にからかわれ、殺害されるのを見た。兵士達は、装甲ジープの拡声器を使い、アラビア語で男の子達を罵った。約10歳の男の子達は、そこでイスラエル軍車両に石を投げると、兵士達が発砲し、何人かを殺害し、何人かを負傷させた。イスラエル軍兵士達が、こうしたやり方で、パレスチナ人の子供達を誘い出し、射撃するのを何度も目撃した。そのような出来事は、イスラエルの語彙によれば、子供が十字砲火を浴びたことにされてしまう。F-16攻撃戦闘機が、ガザ密集地の掘っ建て小屋に、1,000ポンド鉄片爆弾を投下した際、私はガザにいた。子供を含む犠牲者達の遺骸を私は見た。これは爆弾製造工場のみを狙った、局部攻撃だということにされた。パレスチナ人と、ガザを包囲するイスラエル軍との間に、広大な緩衝地帯を作り出す為に、イスラエルが、住宅や団地を取り壊すのを目撃したことがある。貧窮した、ホームレスの家族をインタビューしたことがあるが、瓦礫の中に建てられた掘っ建て小屋で仮住まいしている人々もいた。破壊は、テロリスト住居の取り壊しということになっていた。学校の残骸に立ったことがある。過去6日間に、イスラエルは二つの国連学校を攻撃した。日曜日、ラファでは、少なくとも10人の死亡者、そして水曜日、ジェバリヤ難民キャンプでは、少なくとも19人、他には診療所やモスクも。パレスチナ人が発射した誤爆ロケットやら迫撃砲が、これやあれやの死者を生み出した、あるいは、攻撃対象の地点は、武器倉庫や発射場として使用されていたとイスラエルが主張するのを私は聞いた。私は、ガザで仕事をしたことがある他の記者達と同様、ハマースが民間人を“人間の盾”として利用している証拠など全く見たことがない。
アドルフ・ヒトラーや、ヨシフ・スターリンから、サダム・フセインに至るまで、暴君が好んだウソ、ドイツ語で言うグローセ・リューゲ、デマ宣伝の、イスラエルによる反復利用には、倒錯した論理がある。デマ宣伝は、イスラエルが引き出すことを狙っている二つの反応-支持者中の人種差別 と、犠牲者の恐怖心をあおるのだ。
決して民間人を攻撃せず、実際、民間人保護の為に尽力する軍隊なるものを描き出して、デマ宣伝は、イスラエル人は、礼儀正しく、人間的で、彼らの敵たるパレスチナ人は、非人間的な怪物だと主張する。デマ宣伝は、ガザでの虐殺は、文明の衝突、一方は、民主主義と品位と名誉、もう一方はイスラム教の野蛮という二者間の戦争である、という考え方に役だつのだ。そして、残虐行為のニュースが広範な大衆に知られてしまうような稀な場合には、イスラエルは、破壊や死傷者をハマースのせいにするのだ。
ジョージ・オーウェルは、小説“1984年”の中で、この種のプロパガンダのことを、二重思考と呼んだ。二重思考は“論理に対する論理”を用い、“道徳を主張しながら、道徳を拒絶する”のだ。デマ宣伝は、良心を呼び起こしそうな微妙な差異や矛盾は許容しない。デマ宣伝は認知的不協和というジレンマに対して、国家が作り上げた対応策だ。デマ宣伝は、どっちつかずの状態を認めない。世界は黒か白、善か悪、正義か不義なのだ。デマ宣伝は、その信者が安らぎを得ることを可能にする。自らあらゆる道徳を捨てている瞬間に、自らの道徳的卓越性という、彼らが必至に求めている安らぎを。
アメリカの宣伝広告の父、エドワード・バーネイズは書いている。デマ宣伝を制限するものは、個人と大衆の心理の底流を理解し、利用する宣伝担当者の能力だけだ。イスラエル支持者の大半には、自らの人種差別主義や、シオニストや欧米の道徳的卓越性にまつわる自己欺瞞の検証を自分達に強いる様な真実を知ろうという欲求がないので、飢えた犬の群同様、連中はイスラエル政府が提供するウソを受け入れてしまうのだ。デマ宣伝は、常に、バーネイズが“論理が通じない、ドグマ的固執という隔室”と呼んだものを、その温床とする。有効な全てのプロパガンダは、こうした不合理な“心理的習癖”を標的とし、その上に作り上げられると、バーネイズは書いている。
これはフランツ・カフカが想像した世界で、不合理さが、合理となる世界だ。ギュスターヴ・ル・ボンが“群衆心理”の中で書いているとおり、大衆に、大衆が切望する幻想を提供する人々は、大衆の主人になるが、“彼等の幻想を破壊しようとする人は誰であれ、彼らの犠牲者になる”世界だ。この不合理さこそが、真実を発言する勇気がある人々-ウリ・アヴナリ、マックス・ブルーメンソール、ノーム・チョムスキー、ジョナサン・クック、ノーマン・フィンケルシュタイン、アミラ・ハス、ギデオン・レヴィ、イラン・パッペ、ヘンリー・シーグマンや、フィリップ・ワイス等に対する、イスラエル支持者の反応が、一体なぜそれほど烈しいかという理由だ。こうした発言者の実に多くの人々がユダヤ人な為、イスラエル応援団の中にいる非ユダヤ人よりも、信ぴょう性がより高いので、憎悪のレベルを高めてしまうのだ。
しかしデマ宣伝は、また、意識的に、大変な数の自分達の住宅、診療所、モスク、発電所、上水・下水施設や、学校や病院を失い、この攻撃が始まって以来、約1,650人の死者を出し、犠牲者の大半は女性と子供だ、400,000人の人々が家から追い出されるという苦難を味わっているガザのパレスチナ人に向けて、恐ろしいメッセージを送るようにも仕組まれている。デマ宣伝は、イスラエルが国家テロ作戦をしかけつづけるだろうこと、そして決して自らの残虐行為や、意図を認めようとしないことを、パレスチナ人に、はっきり示している。イスラエルが言っていることと、イスラエルが行っていることの大きな開きが、そこには希望がないことを、パレスチナ人に語っている。イスラエルはなんでも好きなことをし、語るだろう。国際法は、真実と同様に、常に、重要ではないのだ。イスラエル指導部が現実を認めることは決してあるまいことを、パレスチナ人は、デマ宣伝から理解している。
イスラエル国防軍ウェブサイトは、こうした偽情報に満ちている。“ハマースは、民間建造物の保護に対するイスラエル国防軍気配りにつけ込み、特に聖地、司令部、武器の隠し場所や、トンネル入り口を、モスクに隠している”イスラエル国防軍サイトにはこうある。“ハマースの言葉では、病院司令部で、救急車は運送用車両で、医師は人間の盾だ”とサイトは主張している。
“..。[イスラエル軍]将校は膨大な責任を課されている。それがいかに困難なことであろうと、現地のパレスチナ人一般市民を保護する”とサイトは閲覧者に請け合っている。そしてイスラエル国防軍サイトは、オル中尉とされる無人機操縦者の下記発言を引用している。“私は個人的に、ロケットが、病院や学校から、イスラエルに向けて発射されるのを見たが、民間人が近くにいたので、反撃することができなかった。ある場合には、我々は標的を捕捉したが、その地域に子供がいるのが見えた。我々はイライラしながら待ったが、子供達が立ち去らないので、重要な標的に対する攻撃をあきらめざるを得なかった.”
駐米イスラエル大使ロン・ダーマーは、彼自身のデマ宣伝で、先月、イスラエルのためのキリスト教徒連合の会議で、イスラエル軍は“ノーベル平和賞 …想像を絶する自制心をもって戦っていることに対するノーベル平和賞”を授与されるべきだと述べた。
デマ宣伝は、歴史のあらゆる可能性を破壊し、それゆえ、敵対する両者間の真実と現実に基づいた対話へのあらゆる希望をも破壊する。ハンナ・アーレントが指摘した様に、古代や現代のソフィスト達は、真実を犠牲にして、議論に勝とうとしたが、デマ宣伝を振り回している連中は“現実を犠牲にして、長く続く勝利を欲しがっているのだ”アーレントは言った。古代のソフィスト達は“人間の思考の尊厳を破壊した。”デマ宣伝を用いる連中は“人間の行為の尊厳を破壊する。”アーレントは警告しているが、その結果“歴史そのものが、包含性が破壊される。”事実が問題でなくなれば、真実に基づく歴史共有がなければ、人々が愚かにも自分のウソを信じれば、有用な情報の交換などありえない。イスラエルによって、こん棒のように利用されるデマ宣伝は、恐らくその様な用途に意図されているのだろうが、究極的に、世界中のあらゆる問題を、狂暴な暴力という言葉に還元してしまう。抑圧されている人々が、暴力でしか対応してもらえなくなれば、彼らは暴力でのみ答えるようになるだろう。
Chris Hedges はTruthdig.comに定期コラムを書いている
2014 TruthDig
記事原文のurl:http://www.truthdig.com/report/item/why_israel_lies_20140803
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訳注というほどのものではないが、バーネイズとル・ヴォンの著作については、既に何度か触れている。お時間があれば、合わせてお読み願いたい。
バーネイズ(フロイトの甥で、アメリカ政府プロパガンタの首謀者)
THE
CENTURY OF THE SELF-自我の世紀
ル・ヴォンの群衆心理については、下記記事末で触れた。
"カラー革命"手法の完成-幼児期に退行する欧米指導部
中近東に仕事にでかけた際、現地技術者に、いきなり「お前の国は、原爆を二発も落とされた国に、どうして、のこのこついて行くのだ」と質問されたことは既に書いた。そして「私も、のこのこついていくのはおかしいと思っているが、支配者が傀儡でなんともならない。」と理由にならない現状説明をしたことも書いた。
集団的自衛権というインチキの極みの名目で、原爆を二発も落とされた国の侵略戦争用砲弾の餌食に国民を差し出す首相が、偉そうに挨拶し、それを支持する痴死期人連中が積極的侵略主義なるでたらめ意見公告を新聞掲載する。末期症状(念のために申しあげるが、電気洗脳機で報道する彼の挨拶は見聞きしていないし、新聞洗脳公告も見出ししか見ていない。聞かずに、読まずに批判するなという向きは多数おられよう。しかし、ダビデとゴリアテ。資金力、洗脳力が桁違い。批判をする為だけにデマ宣伝を聞くには、人生は余りに短い。洗脳を聞くだけで、短い人生は終わってしまうだろう。デマ宣伝、放射能と同じ。よらないに限る。)
この記事も「世界第一の属国の傀儡政治家はなぜウソをつくのか」と読み替えていただいたほうがよさそうだ。
今日乗った電車の雑誌広告、中国食品の危険さをこれでもかとばかりに書いていた。ご立派。この国には、政府や大企業を批判する言論の自由、確実に存在している。自国政府と自国大企業でない限り、いくらでも批判し放題。デマ宣伝と言わないのだろうか?
ベクレルやシーベルト表示のいい加減さについては、夏冬誌全く報じてくださらない。
極めて個人的な趣味の一つ、日本語教育にかかわる本を時折読む。最近書店で見かけたのが下記の本。
日本語が世界を平和にするこれだけの理由
金谷武洋著 飛鳥新社刊
2014年7月2日刊 本体1200円+税
「腰巻き」をそのままコピーさせていただこう。
日本人は英語が下手なのは、日本語が素晴らしすぎるから!
カナダで25年間日本語を教えてわかったこと
私たちが学校で習った日本語は、間違っています!
気鋭の日本語学者が教える「本当の姿」とは?
●ありがとうとThank
you.を比較するだけで日本語の美しさはわかる
●日本語と英語では、名前の付け方が「正反対」
●ジョン・レノンが平和を訴えるようになった理由
ここで触れたいのは、第8章 だから、日本語が世界を平和にする!
204ページの写真と文章に驚いてご紹介するわけだ。おりしも原爆投下記念日?
著者のご本、ほぼ皆拝読しているが、これまでの本には、こうした言及はなかった。
広島のあの有名な石碑の写真が載っている。
安らかに眠って下さい
過ちは
繰り返しませぬから
そして、205ページには、こうある。
その日、広島に身をおいて、ふと私には「誰の過ちか」が明らかにならない方がかえって日本語らしくていい、と思えたのでした。
一部だけのご紹介では誤解を招くおそれがあるかもしれない。この部分だけで判断されずに、是非、この本を丸ごと読んでから、ご判断いただきたいと思う。
日本語と英語の視点の違いなど、目からうろこの説明、何度拝読しても感心する。是非日本語の特質や、日本語教授法の講義を拝聴したいものだとずっと思っている。
以上は「マスコミに載らない海外記事」より
嘘を付かざるを得ない窮地に陥っているのです。今更真実を言ってもすでに遅いのです。嘘を付き通して国家消滅になるのです。 以上
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