世界中が重複災害の星の下にある事実
アメリカを駆け巡るイエローストーンの噴火に関するウワサを当局自らが打ち消した日に思う「世界中が重複災害の星の下にある」事実

▲ 2月の始めから活動が活発化したエクアドルのトゥングラワ火山。空港や学校などが一部閉鎖となっているとのこと。2014年2月2日の Piccola Era Glaciale より。
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イエローストーンのウワサの真相( Wag the Dog )
日本時間の昨日 2月6日、アメリカ地質調査所( USGS )のウェブサイトの火山情報ページが下のように更新されました。イエローストーンに関しての声明です。

▲ USGS Current Alerts for U.S. Volcanoes (アメリカの火山に関しての警報)より。
上のページは基本的には「おかしい」のです。
何がおかしいのかというと、上で囲みましたように、「異常がない」のに「情報声明ページが更新されている」からです。世界中のどんな火山情報でもそうだと思いますが、イエローストーンの火山情報も、定期更新以外で大きく情報更新がされるのは「異常があった時」だけです。
なので、「コード・グリーン(活動は正常)で、警告する異常はナシ」という状況で、なぜ、イエローストーンに関してアメリカ地質調査所が声明を出したのか。
上の内容を訳してみます。
イエローストーン火山観測所からの情報声明
アメリカ地質調査所 2014.02.05
イエローストーン国立公園での異常に強い地震活動に関してのストーリーが、ここ数日の間、インターネットを介して出回っています。しかし、実際にはイエローストーン火山の地震活動は、過去数ヶ月間、正常のままです。
現在、インターネットに出回っているストーリーは、イエローストーンの地震観測網を運営しているユタ大学地震観測ストーションのウェビコーダー計測器( webicorders )において、地震が発生しているようなグラフィックが示されていたことが元になっています。
イエローストーン公園の西の領域にある B944 と呼ばれる掘削孔の地震計は、そのデータに影響する電子ノイズの強いバーストによって、ここ数週間、機能していません。
これらノイズバーストは、地震計 B944 のグラフに干渉しており、観測経験の浅い方々にとっては、驚くべき地震のようにうつるのです。
私たちイエローストーン地震観測所は、毎月、定期的にイエローストーンの情報をアップデートしており、また、本当に異常な活動があった場合は、そのたびに情報を更新します。
というようなものです。
要するに、「インターネットでのウワサに対応した」ということのようで、そして、それは、地震計の一種の故障のせいでグラフが変動したということのようです。
イエローストーンに関してはこれまでにもインターネット上で、何度もウワサは出ていたようにも思うのですが、今回のように、当局のウェブサイトで公式に声明が出されるというのは珍しいことかもしれません。
その、上の声明にある
> これらノイズバーストは、地震計 B944 のグラフに干渉しており
というのは、実際にどのような状態であったのか。
確かに、観測経験の浅い私などは、やや驚いたものでした。
下がそのグラフです。
2014年2月1日のイエローストーン公園の地震計 B944 のグラフより
2月1日の現地時間で午前11時くらいまでは下のように地震計には変化がありませんでした。

ところが、その後の 12時過ぎから突然グラフが乱れ始めます。

▲ 共に 2014年2月2日の Turner Radio Network より。
このグラフの異変は翌日の早朝4時くらいまで続いたようです。
これがソースとなって、「イエローストーンで変な地震が起きている」という内容から発展して、「イエローストーンが噴火する!」という内容にまで成長したウワサが一気に広まったようです。
なお、上のグラフと直接関係するものではないかもしれないですが、アメリカ地質調査書の地震データでは、その直前までのイエローストーン領域内での地震発生状況は下のようになっていたようです。

▲ 共に 2014年2月2日の Turner Radio Network より。
これはかなり多いように感じるかもしれないですが、イエローストーンの群発地震としては普通の状態、あるいは「やや多い」程度だと思います。
イエローストーンでは、ここ数年の間にはもっと激しい群発地震が何度か起きています。 2010年には、「 10日間で 1000回」の群発地震を起こしていて、また、今から5年ほど前の 2008年の年末頃にかけても、イエローストーンで非常に激しい群発地震が発生し続けたことがあります。
下は、その2008年の群発地震の時のアメリカ地質調査書のデータです。
12月 27日から 12月 30日まであいだの3日間だけの地震の数がこれでした。

▲ 過去記事「 2010年1月17日からのイエローストーンの群発地震が1000回を越える」より。
2008年も 2010年も、どちらもマグニチュードが3を越えた地震が発生していて、それなりに緊張した出来事でもありました。
しかし、もちろん噴火などは起きませんでした。
ちなみに、イエローストーンのは地図では下の位置にあります。偏西風の上手にあることもあり、噴火が起きた場合、アメリカの非常に広範囲が火山灰や火山性ガスなどで荒廃することは確実だとされています。

▲ イエローストーン国立公園の場所。
ちなみに、アメリカ地質調査書の記載の中に「ノイズ・バースト」の正体というか、それはどのようなノイズで、発生源は何なのかということがふれられていなかったのは、やや残念というのか、そのようなものには興味があります。
みんな必死で単なるウワサを否定する「真意」はわからないながらも
今回のインターネット上でのウワサの広がり方はかなりのものだったようで、当局から大手メディアまでもが、火消しに走らなければならなくなっています。テクノロジー系メディアで最も著名なひとつである Wired でも、昨日、下のような記事を掲載しました。

▲ 2014年2月6日の Wired より。
タイトルからおわかりと思いますが、基本的には今回のウワサを揶揄した内容です。
非常に長い記事ですが、
1. 情報源
2. データの検討
3. さらに検討
4. 噂の発生する心理
などを記して、「イエローストーン噴火の噂は 99.9%ウソ」と断定しています。
しかし、それはそれとしていいのですが、何となく思ったこととして、この Wired の記者も「一蹴すれば済む話」を、こんなに長い記事にまでするその「心理」というのも、記者自身もアメリカ人だからなのかもしれないなあ、などとも思いました。
今やイエローストーンの噴火はアメリカ人の「元型的な恐怖」とも結びついている感じがあります。
なので、今回のものがウソや単なるウワサであるということとは別に、( Wired の記者なら科学に詳しいだろうだけに)イエローストーンに対して、常に漠然とした不安を持っているのかもしれないなあと感じました。
イエローストーンの噴火は、もし起これば、日本における富士山の噴火などとは比較にすることもできないほどの規模ですしね(カルデラ破局噴火は別として)。
カルデラ破局噴火に関しては、昨年11月に記しました過去記事の、
・世界の6つの異なる地域で7つの火山が同時に噴火を開始した2013年11月に考える地球の未来
2013年11月23日
などをご参考下されば幸いです。
いずれにしても、今回の話に関しては、現状のデータだけでは何ともいえないにしても、地震発生状況からは特に異常な点は見られないようには思います。
しかし、イエローストーンが噴火しようとしまいと、地球上の火山の噴火は勢いを増しています。
重複災害の時代に生きて
最近、10名以上が死亡したインドネシアのスマトラ島にあるシナブン山の噴火は日本のメディアでも詳細に取り上げられていますが、約 127もの数の活火山を有する世界最大規模の火山帯を持つインドネシアでは、他の火山でも、最近になって火山活動が急増しているのです。
下は、2月4日のインドネシアのジャカルタ・ポストの記事です。

▲ 2014年2月4日の Jakarta Post より。
上の記事の中の後半には以下のように書かれています。
インドネシアはここ数カ月の間に繰り返し自然災害に見舞われてきた。
豪雨による地滑りや洪水などの災害、そして、火山噴火。当局はそのたびに、悪化の可能性について、退避や避難などについて警告してきた。
2月3日には、東ジャワのジョムバン地区で 14人が地すべりによって生き埋めとなり、7名が死亡し、7名は行方不明のままだ。スマラン地区でも地すべりで多くの家屋や団地が破壊された。
その前の週は、ジャワ北部沿岸の高速道路が洪水により交通が遮断された。東ジャワでも洪水がスラバヤへの交通網を破壊した。
のように、インドネシアでも各種の自然災害に続けざまに見舞われています。
インドネシア「でも」と書きましたけれど、世界を見回すと、今はまさに自然災害ばかりでもあります。
英国で続いている雨と洪水に関しても、「過去 250年で最悪」ということが報道されています。

▲ 2014年2月7日のデイリー・テレグラフより。
世界中は今、まさに、「少しずつ」自然災害で疲弊していっているというのが、現在の地球の偽らざる姿だというように感じます。そして、まだその進行は「少しずつ」なのだとも思います。
今回のイエローストーンのことが単なるウワサでも、アメリカ「にも」他にも、数多くの災害が起きていて、今後もその「候補」が存在します。
というか、日本も含めて世界のどこでもでしょうけれど。
以上は「IN DEEP」より
イエローストーンも今すぐに噴火するわけではありませんが、しかしいずれ必ず噴火します。前回の噴火からすでに64万年経ていますし、今ではいつ噴火しても不思議ではない時期に来ています。噴火の前の前兆現象も出てきています。噴火しないで済めばそれに越したことはないのですが自然現象なのでそうも行きません。米国の行動が自然の理に反したものであるので天罰が下る時期でもあります。 以上
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