黒点群2192は過去数十年で最も巨大な黒点群と並ぶ規模までに成長
2014年10月23日
黒点群2192は過去数十年で最も巨大な黒点群と並ぶ規模にまで成長

・Big Sunspots Compared
今回の本題とは全然関係ないですが、少し前、トンボを飛んでいるのを見まして、ふと、「最近ってトンボって本当に見なくなったなあ」と思いました。
というより、昆虫そのものが、ものすごく減っている感じがします。
今年の夏、実家のある北海道に帰った際、結構自然のあるところなどにも行ったのですが、昔はバッタやらキリギリスやら夏の昆虫がワンサカいたような場所でも、ほとんど見ることがなくなっていました。
バッタも飛んでいないし、キリギリスの声も聞こえません。
夜になっても、コオロギの声もあまりしません。
昔は夜ともなれば電柱の外灯の周囲はウジャウジャといろいろな昆虫が飛び回っていたものですけど、ふと思えば、そんな光景はもう何年も見ていない気がします。
そういえば、今年9月に、赤トンボが激減しているという報道がありました。
赤トンボ急減・絶滅の恐れ? 農薬関連を調査
TBS 20014.09.30赤トンボの代表種「アキアカネ」が全国的に減っている。20年で生息数0.1%の地域も。
三重県は今年、絶滅の恐れがある生物を記載する「県レッドリスト」の「準絶滅危惧」にアキアカネを加えた。富山県は2012年に6段階で上から5番目の「絶滅にいたる可能性があるが、情報が不足しており、今後生息・生育状況に注意すべき種」に指定。環境省が調査に乗り出した。
石川県立大・上田教授は同県内で調査を行い、「ここまで極端な減少はおかしい。農薬の影響だと考える」と指摘。
というような報道があり、上では抜粋していませんが、この報道は、いわゆるネオニコチノイド系農薬を問題にしている内容でした。このネオニコチノイド系農薬はミツバチの減少などの時にも話に上ることはありますが、影響は確かにあるのだろうとしても、それが原因のすべてかどうかは何とも言えないところもあるようです。
いずれにしても、
> 20年で赤トンボの生息数が0.1%に。
というような記述を見ますと、むしろ赤トンボを見られるのは今だと奇跡的なラッキーなのかもしれないです。
高校生の時くらいまで(三十年数年前ということですが)は、北海道の秋は、誇張ではなく、「空がトンボで埋め尽くされるほど」飛んでいたものでした。
トンボの減少の原因が何であれ、ここまで極端に減ると、急激に増えることは無理そうで、トンボも「記憶の中の生き物」ということになるのかもしれないです。そして、昆虫だけでなく、そんな生き物はいくらでもいそうです。
そういうせいもあるのか、今年6月の毎日新聞には下のような記事がありました。
大阪の高校生:ムシ触れない6割 25年で倍増
毎日新聞 2014.06.05昆虫を素手で触れる高校生が激減 --- 大阪府内の高校の生物教諭でつくる府高等学校生物教育研究会が、府内の高校生に「昆虫に素手で触れることができるか」を聞いたところ、「できる」と回答した生徒が4割にとどまり、約25年前の7割から大幅に減ったことが分かった。
自然のあるところに行っても、あんまり虫がいない現況では、これも仕方ないのでしょうけれど、さわれないということは、「今後、この地球で彼らにとって虫は必要ない」ということでもありそうで、虫たちは「必要とされていないもの」となってしまったようです。
いろいろと理由はあるでしょうけれど、必要とされなくなってしまったものは消滅するということは、あらゆる面に存在して、生物も例外ではないのかもしれません。
それが健全な地球の姿なのかどうかはわかりません。
というわけで、今回の本題に入ります。
連続になるのですが、現在の太陽の黒点のことです。
これが「歴史的」という言葉がつく大きさに成長してきています。
観測史上で過去最大クラスの黒点群に成長した 2192 の今後
先日の記事、
・超巨大黒点群が地球に向いてくる
2014年10月20日
より続けて書いております現在の太陽の黒点群 2192 ですが、さらに成長を続けておりまして、 NOAA (アメリカ海洋大気庁)によりますと、
「観測史上に残る巨大黒点と並ぶ規模」
となってきています。
観測史上で巨大だったいくつかの太陽黒点の面積と現在の黒点群 2192 の比較が冒頭に載せたもので、スペースウェザーの History's Biggest Sunspots (観測史上の最も大きな黒点群)というページによれば、
・1947年4月8日の黒点群(名称不明)
が、観測史上で最も巨大な黒点群で、最近の観測では特別に大きな黒点群として、
・2001年3月29日の黒点群 9393
・2003年10月30日の黒点群 0486
などがあります。
そして、今回の黒点群 2192 も「歴史的な大きさ」に成長していて、それらと並ぶほどの巨大黒点群となっています。さらに「黒点群 2192 はいまだに成長を続けている」ということもあり、場合によっては、観測史上で最大の面積を持つ 1947 年の黒点活動領域に近く付く可能性もあります。
この黒点群 2192 は、10月 23日の時点では、過去 48 時間で、Mクラスのフレアを8回発生させていまして、Xフレアも2回放出しているというような非常に活発な太陽フレア活動を続けています。
スペースウェザーでも、この黒点群と太陽フレア、そして今後の予測にについて、かなり長い記事を掲載していますので、それをご紹介したいと思います。
LOTS OF SOLAR FLARES
Spaceweather 2014.10.23
多発する太陽フレア
太陽活動が活発になっている。モンスター黒点群 2192 は、過去 48 時間の間に、Cクラスの太陽フレアを 27回、Mクラスのフレアを8回発生させ、そして、Xフレアも2回炸裂させているというように、その強度は増加している。
NASA の太陽観測衛星ソーラー・ダイナミクス・オブザーバトリーは、その強力な紫外線を記録した。

注目すべきことに、これまでのところ、これだけ多くのフレアが起きていながら、どの爆発も地球へ向けての CME (コロナ質量放出)を発生させていない。
太陽フレアの主要な影響は、地球の上層大気をイオン化することにより、 短波無線や短波ラジオをブロックしてしまうことにある。このような無線への影響は、飛行士、船舶の乗員、そして、アマチュア無線家に影響を与える。
この先の数日間、地球での影響が増加する可能性がある。黒点群 2192 は、強力な爆発を作り出すエネルギーを持つ不安定な構造の「ベータ・ガンマ・デルタ( beta-gamma-delta )」の磁場を持っており、この活動領域は現在、地球方面に回り込んできている。
NOAA の予測では次の 48 時間(日本時間の25日まで)のMクラスの太陽フレアの発生確率を 95 %としており、Xフレアの発生確率に関しては 55 %としている。
黒点群 2192 はこの数十年の間で最大の面積を持つ太陽黒点になりつつあり、その面積は 2003年に記録された黒点群 0486 の面積に迫っている。
この黒点群 2192 は、木星ほどの大きさもあり、そして、あまりにも巨大なため、日没の時に太陽が雲や霧などで淡く映っている時に、この黒点群の存在を地上からでも気づく人がいると思われる。
下の写真は、パイロットのブライアン・ウィテッカー氏が、10月 21日にカナダ・ヌナブト準州の上空 1万 1,000キロメートルを飛行中に撮影したものだ。

「北極カナダに沈む夕日の中の巨大な黒点に感動し、撮影しました」と、ウィテッカー氏は語った。
なお、太陽を撮影するカメラマンの方々に注意申し上げるが、フィルタリングされていない機器で太陽を観測しないようにしてほしい。
たとえ雲や霧により太陽が暗く見えている場合でも、カメラのレンズによって増幅された太陽光によって重篤な眼の損傷を引き起こす可能性がある。観測したい場合は、液晶画面つきのカメラを使うか、あるいは太陽観測専用の望遠鏡を手にするのもいいかもしれない。
ここまでです。
ちなみに、記事に「太陽観測専用の望遠鏡」という言葉が出ていて、専門ショップへのリンクがされていたので見てみますと……。

・Lunt LS152THa Solar Telescope
うーむ……。大体 7000ドルから 9000ドルくらいというのは、70~ 90万くらいはするということですね。地上からの太陽観測に興味はあるんですけれど。
まあ、観測はともかく、 NOAA は今後 48時間で、
・Mクラスの太陽フレアの発生確率 95 %
・Xクラスの太陽フレアの発生確率 55 %
と、かなり高い予測を出しています。
実際、過去 48 時間で8回のMクラスのフレアと、Xクラスのフレア2回を発生させているわけで、活発な黒点だということは確かで、今後も急速に黒点領域が萎縮するということがなければ、フレアの発生はあると思われます。
それと、今回のスペースウェザーの記事の、
注目すべきことに、これまでのところ、これだけ多くのフレアが起きていながら、どの爆発も地球へ向けての CME を発生させていない。
というのは興味深く、不思議というべきなのか、そうでもないのか、そのあたりはわからないですが、Mクラス以上の太陽フレアの場合、大なり小なり、 CME を放出さるるものだと思いこんでいましたので、
・Mクラス以上のフレア 10回
・CMEなし
というのは意外な感じもしました。
もし、Mクラス以上の 10 回のフレアすべてで CME が発生していた場合、地球の磁気も相当乱れたと思いますので、今のところは、「何となく守られている感」もあります。しかし、 CME がなくとも、これだけフレアが多発していると、地磁気もかなり乱れてくると思われます。
NICT の 10月 23日の宇宙天気データでは、
・フレア予測は「非常に活発」
・地磁気攪乱予報は「やや活発」
となっています。
あ!・・・今気づきましたが、NICT 内の資料をいろいろと見ていましたら、「 1874年以降に観測された面積の大きな黒点群」という 140 年分のデータがありました。初めて見るものです。

・NICT
冒頭の写真にある「 1947年の黒点の活動領域」が過去 140年の巨大黒点の中でも飛び抜けて大きな黒点群であることがわかります。

改めて比べてみますと、 1947 年の黒点群と比べても、見た目だけでしたら現在の黒点群もなかなかの大きさではないでしょうか。
上の歴代の大きな太陽フレアの表のうち、6位と 12位に 1989年の黒点群がありますが、この年は、大きなフレアが多かったようで、NICT によれば、
・1989年08月16日 X20.0 の太陽フレア(観測史上2位)
・1989年03月06日 X15.0 の太陽フレア(観測史上6位)
・1989年10月19日 X13.0 の太陽フレア(観測史上9位)
など、1989年は巨大フレアが多発した年だったようです。
この 1989年の 3月 6日の X15.0 という超巨大フレアを起こした3日後に太陽で発生した CME が、カナダの大停電を含むさまざまな影響を地球に与えました。
下のような出来事です。
1989年3月13日に起きた磁気嵐は地球に非常に大きな影響を及ぼし、カナダではハイドロ・ケベック電力公社の電力網を破壊し深刻な被害をもたらしたり、米国の気象衛星の通信が止まるなど、各国の様々な社会インフラが影響を受けた。
この時のオーロラの発生は短波長域での電波障害を引き起こし、さらには、ラジオ・フリー・ヨーロッパとラジオ・リバティーからソビエト連邦へのラジオ放送も突然に断絶した。
極軌道上のいくつかの衛星では、何時間にもわたってコントロールが失われた。アメリカでは、気象衛星であるGOESとの通信が断絶し、気象データが失われた。
というようなことがあったわけですが、危険の目安としては、今後数日間のうちに「 X 10 」以上のフレアが発生して、それと共に CME が放出されるようなことがあれば、それなりの地球への大きな影響が出る可能性もあります。
しかし、あせるようなものでもなく、太陽からの嵐が地球に到達するには数十時間(2~3日)かかりますので、太陽フレア発生を報道などで確認してから準備をしても十分に間に合います。
ただ、 X 28 ( 2003年 11月 4日の観測史上1位の太陽フレア)とかのクラスの超巨大フレアでしたら、変に準備するより、仲間や友人と楽しく過ごしたり、あるいは、楽しかった文明生活の思い出を作っておくというのもいいのかもしれません。
そんな可能性はないでしょうけれど、ゼロでもないあたりが。
以上は「IN DEEP」より
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