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2015年1月16日 (金)

免疫細胞療法・免疫細胞療法の原点(3/12)

免疫細胞療法の原点

免疫細胞療法は、米国国立衛生研究所NIHが基礎を確立しました。            免疫を強く刺激すれば、がんを叩けること、            体内で、がん細胞を制圧する主役はNK細胞であること、             インターロイキン2(IL2)という物質が、NK細胞を活性化・増殖させることは分かっていました。
ところが、がん患者さんの体内は、非常に強い免疫抑制状態にあり、そもそも、免疫の力が抑え込まれているからこそ、がんの増殖を許したと考えられています。この非常に強い免疫抑制を外部からの物質投与による刺激で打破するには、患者さんの命を奪う位に強い刺激が必要であることが分かっています。IL2の場合も膨大な量を投与しないと治療効果がなく、そのため副作用は患者さんの生命を危険に晒すほど激しいものでした。そこで、免疫抑制の影響を受けにくい体の外にリンパ球を取り出し、大量のIL2刺激でNK細胞を活性化させてから体内に戻すLAK療法が開発されました。

対外培養に活路を拓く

健常人でも、免疫抑制は働いています。体外培養のメリットは、健常人以上に、免疫抑制が弱い環境、免疫細胞の攻撃力が解放され易い環境であるという点です。実際、NIHは、健常人の平均的な数値よりも2倍程度高いNK活性を実現します。CTL(キラーT細胞に標的を教えて活性化したもの)など、他の如何なる免疫細胞の追随を許さない、強い、がん細胞傷害活性です。

NK > CTL

ところが、単純なIL2刺激だけでは、NK細胞が増殖を始めた途端に、NK活性が低下し始めます。活性化と増殖の両立は難しいのです。そこでNIHは培養日数を3日に制限し、NK細胞が本格的に増殖する前に体外に戻す手法をとりました。増殖させずに、治療に必要な細胞数を確保するため、3日間連続で動脈血液を取り出し続け、(リンパ球以外の成分はすぐに体内に戻します)、連続培養を行いました。

免疫細胞療法の原点 LAK療法の考え方

  • 膨大な量のNK細胞を取り出す (3日連続、動脈血採取)
  • 高濃度IL2刺激により、NK細胞の活性を健常人以上に高める
  • NK細胞が増殖を始め、活性が下がってしまう前に、体内に戻す

NIHでは、患者さんの体内の免疫抑制を打破するべく、IL2の大量点滴投与を同時に行いました。米国で開発されたLAK療法は、治療効果を上げることもあったようですが、大量の薬剤を使用しながらICU内で行われ、日本で実施すれば1日の治療費が何百万円もするものです。また、副作用も大変、激しく、患者さんの生命の危険を伴うものでした。

米国の手法は、「生き物」である細胞に対して、強引に強い刺激を加えたものです。また、米国の法制度や医療保険システムには合わないため、米国では普及しません。

それでも、米国LAK療法は、免疫細胞療法の基礎を築きました。巨額の資金を投入した大掛かりで組織的な研究により、免疫細胞療法において使用される機材、容器などの資材、薬剤、などを医薬品・医療グレードとして使用可能であることを検証し、安全管理の考え方やシステムなども確立しました。こうしたビッグサイエンスの基盤があって初めて、今日の免疫細胞療法を薬事法に準じたレベルの安全管理体制で実施することが可能なのです。

米国政府研究機関の巨大プロジェクトの成果があってこそ、研究段階・初期開発段階をクリアし、応用開発の段階へ突入できました。その主役は京都大学の研究者が担います。

なお、免疫細胞療法の原理が確立される以前、がん特異抗原(がんに存在し、正常細胞には存在しない)を与えれば、免疫系が、がん細胞だけを特異的に攻撃するのではないか、という期待の下、がんワクチンと呼ばれる治療法が盛んに試されました。結果は、尽く失敗に終わっています。がん特異抗原だと思っても、実際には、体内の正常細胞にも反応する、つまり本当は明確ながん特異抗原ではなかった、という問題もあります。それ以前の問題として、原理的に、強い免疫抑制状態にある患者さんの体内で、十分な免疫応答を期待すること自体に無理があるのです。体内には沢山のがん細胞が存在する、つまり大量の「がん抗原」が存在するはずなのに、満足な反応をできない「免疫が抑制された状態」が問題なのです。本物のがん細胞の大群を目の前にしても、反応できない免疫系に対し、人工的な「がん抗原?」を投与しても、何も起こらないのは論理的に当然の帰結です。

免疫(細胞)療法の原則

  1. 免疫抑制の影響が弱い患者さんの体外における培養により、がん細胞を傷害する十分な活性をもったキラー細胞を十分な数だけ揃え
  2. 患者さんの体内の免疫抑制を打破する強い免疫刺激を加える

以上、二つの要素を満たすことが必須です。

樹状細胞療法や、がんワクチンは、免疫抑制が非常に強い患者体内でキラーT細胞をCTL化する免疫応答を目指すものであり、免疫(細胞)療法の原則を逸脱しています。

以上は「免疫療法総合支援サービス」より

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