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2015年1月17日 (土)

免疫細胞療法・ANK免疫細胞療法とは(4/12)

ANK自己リンパ球免疫療法(ANK療法)とは

ANK自己リンパ球免疫療法(Amplified Natural Killer Therapy)

原理はシンプルです。

患者さんご自身のリンパ球を取り出し、その中のNK細胞を選択的に活性化・増殖させ、点滴で体内に戻す、というものです。元々、体の中にあり、がん細胞を攻撃するのが本職のNK細胞の機能をそのまま引き出して使う、ということです。

ANK免疫細胞療法

免疫細胞療法の原理については、「 免疫細胞の原点 」をお読みください)

がん患者さんは、これまで調べた限り、例外なく、体内のNK細胞の活性が下がっています。NK細胞は、活性が高ければ、どんながん細胞でも攻撃します。このタイプのがん細胞は攻撃しない、と確認されたものは一つもありません。但し、がん細胞の性質によって、攻撃する効率が異なります。 ところが、NK細胞の活性が下がってくると、攻撃力が落ち、また、攻撃しないタイプのがん細胞が増えてきます。(大学の実験でよく使われる研究用にセルライン化されたNK細胞は活性が低く、しかも特殊な選別を受けたNK細胞ですので、殺さないタイプのがん細胞が沢山、存在します。)更に活性が下がると、殆どがんを攻撃しなくなります。NK細胞を中心とする、がんに対する免疫抑止力は、防波堤に喩えることができます。がんの津波は、小さいこともあれば、異常なストレス、放射線や化学物質、ウイルスなどが原因となって、大きな津波となって押し寄せることもあります。防波堤が高ければ、多少の津波に対しても平気ですが、それでも、巨大な津波には耐えられません。或いは、防波堤が低い人は、簡単に津波に乗り越えられてしまいます。ひとたび、防波堤が破られれば、がん細胞は強力な免疫抑制を仕掛け、防波堤が崩れ、低くなってしまい、どんどん、がんの波が乗り越えてしまいます。こうなると、際限ない、がんの増殖を許すことになります。波は常に押し寄せてきます。どんなに、防波堤を乗り越えた洪水を処理したつもりでも、防波堤が破れたままでは、すぐに新たな津波にやられます。防波堤を再建しない限り、がんを「治す」ことにはなりません。

さて、代米国政府研究機関NIHで開発された免疫細胞療法の原点、LAK療法では、高濃度IL-2刺激により、NK細胞の活性を高め、増殖を開始する前に体内へ点滴で戻す(増殖すると、活性が下がるため)方法を取りました。(インターロイキン2、略してIL2というのは、サイトカインと呼ばれる物質の一種で、免疫細胞を刺激する性質があります)そのため、十分なNK細胞数を確保するため、3日連続で動脈血を採取しました。 体内には1兆個ものリンパ球が存在すると考えられていますが、血液の中を流れているのはその内の1%より少ないのです。(NK細胞は、リンパ球の中の更に一部です)そこでNK細胞を含む大量のリンパ球を確保するには、動脈血を採り続け、全身から血液の中へと補充されるリンパ球を更に採り続ける、という方法を採用したのです。LAK療法の開発が本格化したのは1984年のことです。リーダーのローゼンバーグ博士は外科医であり、免疫の専門家ではありませんでした。翌1985年、京都大学にいた勅使河原計介医学博士(弊社創業者、現代表取締役会長)は、米国ダートマス大学に移動します。勅使河原医学博士は免疫の専門家であり、丁度IL-2レセプターβサブユニットの発見者でもあり、永年、細胞培養を手掛けてきた実績がありました。NIHのグループは、勅使河原医学博士に、NK細胞は培養が難しく、活性を高めながら同時に増殖させることができない高いハードルについて悩みを打ち明けました。彼らのやり方、単純な刺激を強引に押し付ける培養法では、無理があると考えていた勅使河原医学博士は、帰国後、大久保祐司医師と共同で、複雑な培養技術を組み合わせ駆使することで、世界で初めて、NIHが突破できなかった壁を乗り越えます。NK細胞の活性をNIH法よりも更に高めながら、かつ、健常人であれば1000倍以上増殖させることに成功し、ANK療法と名付けました。

ANK療法は、培養により活性を高めたNK細胞が、直接、患者さん体内のがん細胞を攻撃する「第一段」の効果に加え、体内の免疫システム全体を強力に刺激する「第二段」の効果と、二段階の効果を狙うものです。

(第一段) 培養されたNK細胞は、体内で直接、がん細胞を攻撃します。

培養されたNK細胞が体内でがん細胞を攻撃する図

(第二段)培養されたNK細胞は、大量のサイトカインを放出し、体内で
免疫抑制により眠っていたNK細胞を活性化します。

培養されたNK細胞が大量のサイトカン(信号のようなもの)を出して体内で眠っていたNK細胞を活性化させる図

(第二段の更なる効果)

培養されたNK細胞が大量放出するサイトカインは、ヘルパーTh1も活性化し、結果的に、キラーT細胞も活性化すると考えられます。活性化されたキラーT細胞が、がん細胞と接触すると、がん細胞を攻撃するCTL細胞に変化することが期待されます。

Th1(ヘルパー)細胞がキラーT細胞に信号を出し活性化させがん細胞を攻撃するよう指示を出す図

ANK療法により培養されたNK細胞は、健常人のNK細胞の平均的な活性より遥かに活性が高くなります。(健常人のNK活性は、激しい個人差があり、標準値を定める定説はありません。あくまで、参考として、ある種の平均値を取って申し上げています)一度に、点滴で体内に戻されるNK細胞は、体内にいるNK細胞(健常人の場合で、数百億個と考えられていますが、正確に測定することはできません)に比べれば、ごく僅かです。それでも非常に強力な培養NK細胞が混じることで、抹消血液中の全NK細胞の平均の活性として、効率よくがん細胞を攻撃するレベルまで上昇します。ところが、患者さんの免疫抑制は非常に強いため、点滴後、数日以内に、NK活性は急激に下がり、殆ど、がんを攻撃しないレベルに戻ってしまいます。そこで、週二回、点滴を行うことにより、つまり、NK活性が下がってしまう前に次の点滴を行うことにより、体内のNK活性の平均値として、十分、がん細胞を攻撃できるレベルを維持します。週2回ずつ6週間連続、合計12回の点滴をもって1クールとしています。費用は、1クール当り、概ね400万円程度かかります。どの位、治療回数が必要かは、患者さん、お一人ひとり、状況が異なりますので、医師とご相談ください。手術後の再発防止ならば、1クール必要ない場合もありますし、末期進行がんで、標準治療を限界まで受けられ、免疫システムが相当の打撃を被っている方の場合、1クールでは、免疫系を最低限、回復させ、がんを本格的に攻撃するのは2クール目から、ということもあります。 免疫抑制を打破し、また、抑制状態に戻りかけ、また、打破し、というサイクルを繰り返すうち、NK活性が、一定以上の状態を保つようになります。ここまでくれば、つまり強い免疫抑制を打破し、免疫監視機構を再建すれば、治療を終え、経過観察となります。なお、NK活性の正確な測定は大変、難しいもので、各地の大学で行われている方法(Crリリース法など)は、簡易式に過ぎません。東洞院クリニックでは、研究レベルで正確なNK活性を測定することが可能ですが、大量の検査を実行することができません。通常の治療効果のモニタリングには、標準治療と同様に、画像診断、腫瘍マーカー、臨床所見などを複合的に用います。

患者さんの免疫力(ここでは、 NK 細胞が、がんを傷害する効率で表します)の推移を模式化したのが次の図です。

患者さんの免疫力の推移

リンパ球の採取の方法には、リンパ球分離採取と、全血採血と二つの方法があります。米国NIHが開発したLAK療法は、3日間連続、動脈血を採取しますが、本気で、がんの治癒を目指すならば、それ位、大量の免疫細胞が必要なのです。血液を数十ml採血して、2週間程度の培養をするのでは、「焼け石に水」です。そこで、ANK療法では、概ね90分間、動脈血を採取することを基本としています(リンパ球以外の成分は、その場で直ちに体内に戻します)。米国LAK療法より、2桁、細胞数が少ないことになります(72時間vs1時間半)。その代わり、患者さんの細胞の状態や数によって個々に大きく異なるのですが、所定の細胞数に達するまで、概ね、数十倍(~数百倍)、NK細胞を増殖させます。こうして、米国LAK療法に匹敵するNK細胞数を揃えることを実現しました。

米国LAK療法では、一気に大量のNK細胞を体内に戻しますが、免疫刺激が強すぎ、サイトカインストーム状態(大量の免疫刺激物質のシャワーにより、全身炎症状態となります)となったり、一度に大きな腫瘍が全滅するため、がん細胞内にあった大量のカリウムやリンが血液中に放出され、高濃度のカリウムは心臓を、リンは腎臓を直撃します。そこで、ICUの中で、体液管理を行いながらの治療となりました。日本で今、実施すれば、一日当りの治療費が何百万円もすることになります。ANK療法では、12回の点滴に分けていますが、クリニックでも治療可能なように、一回の点滴におけるNK細胞の総数に上限を設けています。それでも、40度C近い発熱を伴いますので、これ以上、一度に体内に戻す細胞数を増やすことは、危険を伴うと考えております。(これまで、1000例近い治療実績の中で、サイトカインストーム等の事故は発生していません)

リンパ球分離採取は、遠心分離という原理で比重が一定範囲のレベルの成分を取り分けます。リンパ球が多く集まる層だけ採り出し、残りは体内に戻します。取り出すのは血液全体のごく一部ですので、全血採血よりも患者さんの体力消耗は抑えられます。リンパ球は全血液に存在する量の100倍以上、およそ1兆個が全身に存在し、すぐに血液中のリンパ球は補充されますので、リンパ球がなくなってしまう心配はありません。 ところが、分離採取可能な場所が全国に数箇所しかなく、そこまで移動が可能かどうか、という問題、また、準備や止血を含めると3時間前後、ベッドにじっと横たわり続け、動けませんので、小さなお子さんや、体力的に厳しい方にとっては辛いことになります。費用も追加で発生します(概ね400万円という中に含まれています)。どうしてもリンパ球分離採取が無理という場合、全血採血での対応をしておりますが、1クール分の細胞数を確保するには、400ml程度が必要で、これでも不足する可能性があります(その場合、追加採血に伴う培養費はいただいておりません、採血費用は、採血を行う医療機関によって異なります)。実際には、患者さんの状態によって、400mlもの血液を採取することは、とても推奨できないこともあります。そこで、6回分、200mlのみ採血し、点滴で細胞を戻し、免疫力や体力が回復した後、再度採血する、など、工夫が必要なこともあります。いずれにせよ、全血採血の場合、リンパ球分離採取に比べて、一桁以上、取れる細胞数が少なくなります。そこから培養を始めますので、増殖倍率を高くする必要があり、それだけ、培養期間も長くなり、また、NK細胞が寿命を使ってしまいます。「健常人なら、NK細胞を1000倍以上増殖可能」、というのはANK療法の優れた「技術的特長」ですが、臨床上の「良い培養」は、「大量のNK細胞を採取し」、「増殖倍率を低く抑え」、「十分、活性を高めた」NK細胞を必要な数だけそろえることです。

ANK療法が開発された当時、京都大学の「実験」として治療が行われました。他の治療法は一切拒否し、ANK療法単独で4~6クール連続治療により、末期進行がんの完全寛解及び5年間、再発の兆候がないことを確認し、その上で、リンパ球バンクが創設されました。

ANK療法が開発された当時、京都大学の「実験」として治療が行われました。他の治療法は一切拒否し、ANK療法単独で4~6クール連続治療により、末期進行がんの完全寛解及び5年間、再発の兆候がないことを確認し、その上で、リンパ球バンクが創設されました。ところが、クリニックが開業した後は、患者さんを選ぶことができません。また、治療を申し込まれる方の大半は、「がん難民」と呼ばれる状態でした。治療を優先すると、患者さんが助かるために考えられるあらゆる治療の組み合わせを提案しますので、何が効いたのか、あるいは効かなかったのかデータにはなりません。そして4~6クール連続では、費用が膨大になります。ANK療法の培養には、他の免疫細胞療法とは桁違いの薬剤を使用し、培養単価はこれ以上、下がりません。そこで、標準治療により、がん細胞の総数を減らしてから、ANKはとどめを打つために使う、最新の分子標的薬との併用による相乗効果を狙う、など、臨床応用面での工夫を重ね、少ないクール数で、十分な効果を挙げ、患者さんが負担される総費用を抑える工夫を重ねてまいりました。今後、欧米で続々と開発される分子標的薬が使えるようになり、更に、NK細胞を刺激する効率を飛躍的に高めるポテリジェント技術(キリン-協和)を導入した未来型の分子標的薬が登場することで、ANK療法が更に受けやすくなる環境が整うと考えております。

以上は「免疫療法総合支援サービス」より

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