ロシアと日本の学者「未来の材料」で共同作業
ロシアと日本の学者 「未来の材料」で共同作業

© Photo: ru.wikipedia.org/Björn Gojdka/cc-by 3.0
ロシアのモスクワ国立鉄鋼合金大学と日本の東北大学の学者たちのグループが、「未来の材料」に関する作業に着手する。これは、そのユニークな特質によって新世代材料として注目され、金属ガラスと呼ばれているアモルファス金属に関するものだ。
アモルファス金属は、結晶構造を持たない金属合金を基とした均質なアモルファス材料で、私たちがよく知っているガラスとはいかなる関係性も持っておらず、透明でもない。ガラスも結晶構造を持っていないことにちなんで名づけられた。
アモルファス金属が発見されたのは20世紀中期。しかし、20世紀と21世紀の変わり目の時期に、米国、ソ連、欧州、日本、中国でよく使われ始めるようになった。アモルファス金属への関心は、その優れた特性と関連している。アモルファス金属は、従来の金属よりも強度が高く、錆びにくく、様々な環境の影響を受けても腐食しにくいという特性があるほか、耐久性にも優れている。
アモルファス金属はすでに多くの分野で使用されているが、延性の低さとコスト高という2つの欠点が幅広い応用を妨げている。露日の研究グループの前にはどのような課題が立ちはだかっているのだろうか?モスクワ国立鉄鋼合金大学・非鉄金属学部のアレクセイ・ソロニン副部長は、ラジオ「スプートニク」の記者に、次のように語った。
「モスクワ国立鉄鋼合金大学では、若くて積極的なチームがつくられた。同チームはアモルファス金属を基に新たなアモルファス材料や複合材料の開発を行う。アモルファス金属がつくられたのはずいぶん前だが、その大きさの要素によって、使用分野は限られている。今あるのは、薄いリボン、あるいは1ミリの十分1の粒だ。そのため私たちは大きなアモルファス金属の製造に取り組んでいる。この場合は、約5ミリで大きなサイズとなる。これは、アモルファス材料にとっては十分に大きいとみなされる。アモルファス金属の弱点は、強度が強いものの、非常にもろいという点だ。だがこれは驚くことではない。一般的な窓ガラスもとても強いが、もろいのと同じだ。我々の課題は、複合材料を使って延性を向上させることだ。もう一つの課題は、アモルファス金属の製造コストの低減だ。現在このような材料は、パラジウムあるいはジルコニウムを基に開発されている。これらは、別の材料だ。私たちは、基盤となるものをチタン、鉄、コバルトおよびマグネシウムなど別のものに変えてコストを削減する。マグネシウムは、機械的性質を向上させ、重量を減少させるというメリットも与える。 」
アモルファス金属は、航空宇宙、自動車製造、エレクトロニクス、また耐摩耗性と表面品質の高さが重要である時計、スマートフォン、マイクロモーターなどを含むマイクロメカニクスなどの分野で期待されている材料だ。また、チタンを基にしたアモルファス金属の錆びにくいという特質を用いて、インプラントや外科用器具の製造にも使用できる。スポーツ業界では、高い弾力性が重要なテニスのラケットやゴルフのクラブなどにも採用できる。
30人の専門家で編成されるグループは、それぞれの特質を生かして相乗効果を出すためにアモルファス金属とポリマーなどの別の材料を組み合わせた新クラスのハイブリッド材料をつくることに努力を傾ける。プロジェクト期間は2年。プロジェクトの学術責任者は、モスクワ国立鉄鋼合金大学の卒業生で、現在東北大学の教授を務めているドミトリー・ルズギン氏だ。
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