健康に良い悪いに関係なく、牛乳を飲む人が減る理由(1/2)
健康に良い悪いに関係なく、牛乳を飲む人が減る理由
「牛乳摂取量の多い人は、少ない人と比べて寿命が短く、女性では骨折が増える」
一昨年10月、英国の医学誌に発表された調査結果である。
根拠となった研究は、スウェーデンの研究機関が同国人を対象に「女性6万1000人を対象に約20年、男性4万5000人以上を対象に11年間」と大規模かつ長期に行ったもの。ではあるが、「牛乳の摂取量と死亡率・骨折頻度との関連性については偶然の可能性も排除できず、推奨摂取量の見直しにつなげるためには、さらなる研究が必要だ」と、研究者サイドも慎重な態度を示している。
日本では新潟県の三条市が学校給食での牛乳提供を試験的に取りやめ、話題を呼んでいる。米飯給食を実施している同市では和食メニューが多く、「ごはんと牛乳が合わない」という保護者らからの声が大きかった。さらに消費税増税による給食費の値上げを回避する目的もあり、2015年3月末までの牛乳停止に踏み切ったのである。栄養面からの反対意見には、メニューの工夫で補うと答え、具体例も示している。
牛乳消費の減少は20年前から
給食メニューからの排除は最大のピンチか
原料である生乳の値上がりを受け、4月から牛乳の店頭価格が上がるのも必至である。これらのニュースをもって「いま牛乳に逆風が!」と打ち上げたいところだが、逆風は今に始まったことではない。農畜産業振興機構の調査によると、日本の牛乳消費量は1996年の505万キロリットルをピークに減少傾向が続いていて、2013年には350万キロリットルまで落ち込んでいる。
牛乳は健康によいのか否かは繰り返し議論されてきたことである。前述のスウェーデンでの研究も結局のところ最終的な結論を出していないし、大きく報道されているわけでもない。「わからない」「諸説ある」「摂りすぎなければよい」としかいいようがないのだ。一定数存在する乳糖不耐症の人以外で、健康に良くないからと牛乳を避ける人は多くない。ヨーグルトなどの加工品も含めれば、最も親しまれている食品のひとつには違いない。
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