小鳥が自ら腸を吸収して3日間飛び続けることが判明
小鳥が自ら腸を吸収し3日間飛び続けることが判明
カナダから南米へ渡る体重12グラムの鳥の驚くべき生態が明らかに
出発前に、まず体重を増やして腸を除去し、3日3晩食事も取らず眠ってもいけない。もしそんな旅行があったとしたらどうだろう? ズグロアメリカムシクイは、毎年秋にそれをやってのける。
体重がわずか12グラムしかない極小の渡り鳥ズグロアメリカムシクイは、秋になるとカナダ北東部から南米へ渡って行く。そのルートはこれまで知られていなかったが、3月31日付けの科学誌「Biology Letters」に発表された論文によると、鳥たちは大西洋上空をノンストップで移動していることが明らかになった。
2013年秋の渡りのシーズンに、海上のルートを明らかにするため、生態学者らは軽量の追跡装置を5羽のズグロアメリカムシクイに取り付けた。
マサチューセッツ大学アマースト校の生態学者で、論文の主要な著者であるビル・デルーカ氏によると、鳥たちはまず長旅に備えて脂肪を蓄え、12グラムの体重を16グラムまで増やすという。なかには、体重が倍に増える鳥もいる。「基本的に、彼らは羽をもった小さなミートボールです」とデルーカ氏は言う。
次に、余分な体重を落とすため、旅に必要のない腸などの内臓を自ら吸収してしまう。そして脂肪、羽、筋肉だけになった鳥はいよいよ貿易風に乗って南の国を目指して飛び立つ。
同じ風に乗ることができないため、春は陸の上を飛ぶルートで北へ戻ってゆく。
急速に減っている
とはいえ、ズグロアメリカムシクイがなぜ秋に海上を、春に陸の上を飛ぶかはまだ解明されていない。古代からのルートをそのままたどっているのかもしれないし、それともそのほうが安全だからかもしれない。
陸の上を飛ぶと、捕食動物に狙われたり、建物や自動車に衝突したりする危険がある。
鳥にしても蝶にしても、渡りを行う生物たちはさまざまな危険を乗り越えなければならない。体の大きな鳥は、より多くの脂肪を蓄えられるため、さらに長い距離を渡ることができる。例えばキョクアジサシは、グリーンランドから南極に渡り、帰りは南米やアフリカに立ち寄ってまた北極に戻ってくる。
ズグロアメリカムシクイなどの鳥がどのルートを通って移動しているかを知ることは、種の保全に欠かせない。「北米に生息するアメリカムシクイ科のなかでも、ズグロアメリカムシクイはどこにでも見られる当たり前の鳥ですが、最も急速に数が減少している種でもあります」と、デルーカ氏は説明する。
数が減少している理由はまだわからない。原因が北米にあるのか、南米にあるのかも不明だ。そのためデルーカ氏のチームは、南米の研究者たちと協力して、鳥たちがどこで過ごしているのか、どのような脅威が存在するのかを調査したいと考えている。
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