日本の財政状況は、ギリシャよりはるかに悪い(3/6)
日本の財政状況は、ギリシャよりはるかに悪い
現在は“潜在的に貨幣化”された状況
円安による物価上昇で国民はすでに負担
日本国債の最大の保有者は、かつては民間の金融機関であったが、いまは日本銀行だ。日銀当座預金を増やすことによって購入したのである。
したがって、政府と日銀を一体として見れば、国債という形の債務が、日銀当座預金という形の債務に変わったことになる。
ところで、日銀当座預金はマネタリーベースには含まれるが、マネーストックには含まれない。したがって、日本の場合には、まだ「貨幣化」には至っていない。
しかし、銀行が日銀当座預金の払い戻しを要求すれば、日銀は日銀券を増刷することによって支払いを行なう。そうなれば、マネーストックが増加し、国債は「貨幣化」される。したがって、現在の状況は、「潜在的に貨幣化されている」というべきであろう。
日本の場合、マネーストックの増大によるインフレーションはまだ起きていないが、マネタリーベースの増大が円安を引き起し、それによる物価上昇が実質消費を減少させている。このような意味で、国民はすでに負担を負っていると考えることができる。
なお、「国債の貨幣化」と似た手法は、他にもある。
シャープは、リストラ策の一環として、三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行との間で、合計2000億円のDES(デッド・エクイティ・スワップ)を行なうとしている。シャープはすでに両行から6000億円以上の融資を受けているが、このうち2000億円を優先株に振り替えようというものだ。これが実行されれば、シャープは有利子負債を減らすことができる。他方で、銀行側は貸出金を回収できなくなる。
国債の貨幣化とは、基本的にこれと同じものだ。返済を要する国債という負債を、返済の必要がない「貨幣」という形の負債に換えるものだからである。
歴史を遡れば、フランス革命前のフランスで、ジョン・ローによって導入されたシステムと同じものだ。ローは、ミシシッピ会社という(架空の)会社を設立し、フランス国債をこの会社の株券に転換したのである(しかし、このシステムは長続きせず、フランス財政は破綻した。これがフランス革命の遠因になった)。
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