第二回目は「コレステロールは有害だ」と言われ始めた頃のデータを見てみます。すでに当時から、欧米と日本の差を無視すれば危険と言えないこともないが、日本人だけ見ると、何も悪くないという結果だったのです。

そこで、表紙にだしたグラフを少し丁寧に解説したいと思います。

横軸がコレステロールの量、縦軸が心疾患の死亡率を示しています。全体としてみれば「コレステロールが増えたら、心疾患が増える」と見えますが、よほどの初学者、学生でなければ科学者はそれほど雑ではありません。

フィンランド、アメリカの群、南ヨーロッパ方面、そして日本の3つの群で傾向が違うからです。北方の白人の特徴はコレステロールの値が高く、コレステロールが心疾患に関係しています。

これに対して南ヨーロッパの群はほとんど関係がなく、わずかにかなり高い値の時に心疾患の増加が見られます。日本はほとんど見られず、むしろ虚心坦懐に見れば、「コレステロールが高いほど、心疾患が少ない」とも言えます。

科学というのは自然が相手ですから、「それは常識と違う」などという話や、WHOがどう言っているか(WHOは国連の機関で政治的機関)、多くの学者がどういっているか(多数決の原理)などとは独立です。

どんなものでも適量というのがあるのですから、まずは適量はどのぐらいかが問題です。特にコレステロールのように体にどうしても必要で、もともと体内で70%を合成しているものですから、それも頭に入れておく必要があります。

(平成27521日)